東京大学大学院の図書館を解説!1,000万冊を超える蔵書と研究環境の魅力
院試専門オンライン予備校「志樹舎」が運営する「東京大学大学院の院試対策ガイド」をご覧いただき、ありがとうございます。
今回のテーマは「東京大学大学院の図書館ネットワーク」です。
大学院で研究を進めるうえで欠かせないのが、先行研究の調査です。自分が扱いたいテーマについて、これまで何が明らかにされ、どの部分がまだ十分に研究されていないのかを確認しなければ、研究の目的や独自性を示すことはできません。
そのため、進学先を選ぶ際は、教員や研究設備だけでなく、利用できる図書館、専門書、学術論文、データベースの充実度も重要です。
東京大学には、本郷、駒場、柏の各キャンパスにある拠点図書館をはじめ、研究科や研究所ごとの専門図書館が整備されています。この記事では、1,000万冊を超える蔵書を持つ東京大学の図書館ネットワークと、大学院生が研究に活用する方法を解説します。
東京大学の総蔵書数は1,000万冊を超える
2025年3月31日現在、東京大学附属図書館が所蔵する図書や資料の総数は10,077,542冊です。
そのうち洋書は4,596,685冊で、全体の約半数を占めています。日本語で書かれた資料だけでなく、英語をはじめとする外国語の専門書にも幅広くアクセスできる環境です。
さらに、紙の学術雑誌も年間約13,800種類を受け入れています。長年にわたって蓄積された雑誌のバックナンバーには、現在の研究につながる重要な論文が数多く含まれています。
大学院の研究では、最近発表された論文だけを読めばよいわけではありません。研究テーマによっては、数十年前の文献や入手しにくい外国語資料を確認する必要があります。
東京大学の幅広い蔵書は、研究テーマの歴史的な背景から最新の議論まで調べるための大きな支えになります。
本郷キャンパスの総合図書館
東京大学の図書館ネットワークの中心となるのが、本郷キャンパスにある総合図書館です。
総合図書館は、単体で約145万冊の蔵書を持つ大規模な図書館です。1928年に建てられた本館には、歴史を感じさせる閲覧室や大階段があり、落ち着いた環境で資料を読めます。
2017年には別館が開館し、個人で静かに学習するだけでなく、会話や議論をしながら学べるライブラリープラザも設けられました。
地下には、約300万冊を収容できる自動書庫があります。利用者が資料を請求すると、保管された資料が自動的に運び出される仕組みです。
また、アジアに関する資料を幅広く収集するアジア研究図書館も整備されています。歴史、文化、政治、経済、地域研究など、アジアを対象とした研究を行う大学院生にとって重要な拠点です。
駒場図書館は学際的な研究に活用しやすい
駒場キャンパスにある駒場図書館は、約127万冊の蔵書を持っています。
教養学部の学生が利用する図書館という印象があるかもしれませんが、総合文化研究科や数理科学研究科の大学院生にとっても重要な研究拠点です。
駒場キャンパスでは、文学、言語、文化、地域研究、国際関係、社会科学、自然科学など、多様な分野の教育と研究が行われています。そのため、駒場図書館にも特定の分野だけに偏らない幅広い資料があります。
例えば、国際的な環境問題を研究する場合、自然科学の資料だけでなく、政策、経済、文化、地域社会に関する文献も必要です。複数の分野を横断して資料を探せることは、学際的な研究を進めるうえで大きなメリットになります。
柏図書館は自然科学系資料の重要拠点
柏キャンパスにある柏図書館は、新領域創成科学研究科や柏地区の研究所に所属する学生が利用する拠点図書館です。
蔵書数は約49万冊で、約100万冊を収容できる自動書庫も備えています。
柏図書館は、自然科学系の学術雑誌のバックナンバーを集約する役割も担っています。物質科学、宇宙、海洋、環境、生命科学などに関する過去の論文を調べる際に活用できます。
新領域創成科学研究科では、複数の学問分野を組み合わせた研究が多く行われています。そのため、一つの専門分野だけでなく、周辺分野の資料まで広く調査する必要があります。
柏図書館の資料と電子ジャーナルを組み合わせることで、学融合型の研究に必要な情報を集めやすくなります。
27の部局図書館で専門資料を探せる
東京大学には、3つの拠点図書館に加えて、研究科や研究所ごとに27の部局図書館があります。
人文社会系研究科に関係する図書室には約113万冊、法学部研究室図書室には約92万冊、経済学図書館には約85万冊の資料があります。
理系分野でも、工学・情報理工学図書館に約40万冊、農学生命科学図書館に約45万冊、医学図書館に約25万冊の資料が収蔵されています。
部局図書館の魅力は、各分野の研究に必要な専門資料がまとまっていることです。一般的な図書館では見つけにくい専門書、紀要、統計資料、研究報告書などにアクセスできる場合があります。
また、東洋文化研究所や地震研究所などの研究所にも、それぞれの研究分野に特化した図書室や貴重資料があります。
所属部局以外の図書館も利用できる
東京大学の図書館は、個別に存在しているだけではなく、一つのネットワークとして連携しています。
自分の所属する研究科の図書館に必要な本がない場合でも、学内の別の図書館に所蔵されていれば、資料を取り寄せたり、所蔵する図書館へ行って閲覧したりできます。
例えば、工学系の大学院生が経済政策に関する資料を調べる場合は、経済学図書館の資料を利用できます。人文社会系の大学院生がデジタル技術に関する文献を探す場合は、工学・情報理工学図書館の資料が役立つこともあります。
分野を越えて資料を探せる環境は、従来の学問領域に収まらない研究テーマを扱う際に大きな強みとなります。
電子ジャーナルとデータベースも研究を支える
現在の研究活動では、紙の本や雑誌に加えて、電子ジャーナルやオンラインデータベースが欠かせません。
世界の主要な学術雑誌に掲載された論文は、オンラインで公開されることが一般的です。しかし、多くの論文は有料であり、個人で継続的に利用するには大きな費用がかかります。
東京大学は、国内外の学術出版社やデータベース提供会社と契約しており、学内のアカウントを使って多くの電子資料を閲覧できます。
分野によって利用できるサービスは異なりますが、自然科学、医学、工学、人文科学、社会科学などの幅広い論文や統計データを検索できます。
学外から利用できる電子資料もあるため、自宅で先行研究を調べたり、論文を読み進めたりすることも可能です。
UTokyo Repositoryで研究成果を公開している
東京大学では、大学内で生み出された研究成果を公開するUTokyo Repositoryも運営しています。
研究論文、博士論文、紀要、研究報告書などが登録されており、インターネットを通じて無料で閲覧できる資料もあります。
志望研究室を調べる際は、教員のウェブサイトだけでなく、UTokyo Repositoryで関連する論文や博士論文を検索する方法もあります。
過去の博士論文を読むと、その研究科でどのような研究テーマが扱われ、どの程度の資料や研究方法が求められているのかを具体的に理解できます。
院試の研究計画書を作成するときにも、自分のテーマに近い研究がすでに行われていないかを確認するために役立ちます。
図書館の規模だけで研究環境を判断しない
1,000万冊を超える蔵書は大きな魅力ですが、蔵書数が多いだけで研究が進むわけではありません。
重要なのは、必要な資料を適切に検索し、研究目的に合わせて読み取る力です。
同じテーマに関する本を集めるだけではなく、どの文献が研究分野で重要なのか、主張の違いは何か、どの研究方法が使われているのかを整理する必要があります。
東京大学の図書館では、資料の検索方法やデータベースの利用方法を学ぶ講習会が行われることもあります。入学後はこうした機会を活用し、効率的な文献調査の方法を身につけましょう。
研究計画書では先行研究を具体的に示す
大学院入試の研究計画書でも、先行研究の調査は重要です。
「この問題は重要だと思う」という自分の意見だけでは、研究の必要性を十分に説明できません。
これまでの研究で何が明らかになっているのか、どのような意見の違いがあるのか、何がまだ検討されていないのかを具体的に示す必要があります。
先行研究を調べる際は、最初から大量の文献を読むのではなく、まず研究分野の全体像を説明する本やレビュー論文を確認します。その後、自分のテーマに近い論文や原著資料へ進むと整理しやすくなります。
東京大学の図書館環境は入学後の研究を支えるものですが、受験前から利用できる公開資料や他大学の図書館、国立国会図書館なども活用し、研究計画書の準備を進めましょう。
まとめ
2025年3月31日現在、東京大学附属図書館の総蔵書数は10,077,542冊で、そのうち洋書は4,596,685冊です。
本郷の総合図書館、駒場図書館、柏図書館を中心に、27の部局図書館が連携し、大学院生の研究を支えています。
さらに、電子ジャーナル、専門データベース、UTokyo Repositoryなど、オンラインで利用できる研究資料も整備されています。
大学院の研究では、資料を多く読むだけではなく、先行研究の違いや未解明の課題を整理し、自分の研究へつなげることが重要です。
志望研究科を選ぶ際は、教員や研究設備に加えて、自分のテーマに必要な資料やデータベースを利用できるかどうかも確認しましょう。
※蔵書数、雑誌数、図書館の施設、電子ジャーナル、データベース、利用条件は年度や所属によって変更される場合があります。最新の図書館情報や利用方法については、必ず東京大学附属図書館および各研究科の公式サイトでご確認ください。
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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。
この記事を監修した人
小杉 樹彦(こすぎ・たつひこ)
志樹舎 創業者/博士(学術)
慶應義塾大学院修了後、2015年1月に院試専門オンライン予備校「志樹舎」を設立。
代表講師として10〜60代まで延べ5,000人以上の受験生を指導。
早慶・国公立をはじめとする難関大学院で合格率9割超の実績を持つ。
現在は大学院入試対策の専門家として、テレビ・新聞・雑誌など幅広いメディアで活動中。
ロングセラー『減点されない!勝論文』(エール出版社)ほか著書・論文多数。


