関西学院大学大学院の修士・博士学位論文の審査基準を知っておこう

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大学院に進学すると、多くの方が最終的に修士論文や博士論文の作成に取り組むことになります。出願時点ではまだ先の話に感じられるかもしれませんが、研究計画書を書く段階から「この研究を最終的にどのような論文にまとめるのか」を意識しておくと、入学後の研究の進め方が見えやすくなります。

関西学院大学では、各研究科が修士学位論文や博士学位論文の審査基準を公開しています。研究科ごとに表現や評価項目は異なりますが、研究テーマ、先行研究、研究方法、論理性、独創性、論文の形式などが重要な観点になっています。この記事では、研究科ごとの特徴を見ながら、受験前に審査基準を確認する意味を整理します。


修士論文では研究テーマや論理性が重視される

各研究科の修士学位論文の審査基準を見ると、共通して重視されているのが、研究テーマが明確で適切であること、先行研究を十分に確認していること、研究方法がテーマに合っていること、論理展開に一貫性があることです。引用や参考文献、論文の体裁といった基本的な形式も評価の対象になります。

たとえば文学研究科では、研究テーマの適切性、情報収集の度合い、研究方法の適切性、論旨の妥当性、論文作成能力という5つの観点が示されています。研究領域やテーマによっては、研究計画の立案から成果発表、データの保管に至るまで、研究倫理への配慮も審査の対象になります。

社会学研究科では、テーマの明確性や先行研究への批評性、分析方法の明確さに加え、社会問題の解決を意識した実践的な志向や、研究の将来性も評価されます。単に既存研究を整理するだけでなく、自分の研究が社会や今後の研究にどうつながるのかまで意識する必要があります。


経済学や商学では独創性も重要になる

経済学研究科では、テーマの学術的・社会的意義と貢献を意識した明確な問題設定、論文構成と結論の妥当性、高い専門知識、適切な分析方法、独創性という5つの要件が示されています。問題設定から結論までが一貫していることに加え、自分なりの貢献が求められている点が特徴です。

商学研究科でも、問題意識の明確さや先行研究の検討だけでなく、分析内容にオリジナリティがあることが評価項目に含まれています。大学院での研究は、既存の本や論文をまとめ直すだけではなく、先行研究を踏まえたうえで、自分は何を新しく明らかにするのかを示す必要があります。

これは研究計画書にもそのままつながります。受験準備の段階から「これまで何が分かっているのか」「まだ何が十分に明らかになっていないのか」「自分は何を調べたいのか」の3点を分けて考えておくと、研究の独自性を整理しやすくなります。


法学研究科では進路によって評価の考え方が異なる

法学研究科では、研究者を目指す方向けの修士論文審査基準に加え、高度な専門知識を社会で活かす人材としての力を見るリサーチペーパーの審査基準も設けられています。研究者として学術研究を深めるのか、実務家として専門性を活かすのかによって、成果物に求められる性格が異なります。

総合政策研究科では、研究テーマの設定や論理性、独創性だけでなく、研究成果を社会でどのように活かそうとしているのかという視点も重視されています。また、論文に加えて映像、ソフトウェア、建築設計などの作品制作について審査を受ける場合には、作品の独創性、技術力、デザイン力なども評価されます。

研究科ごとに重視するものが違うからこそ、志望研究科の審査基準を読むことには意味があります。同じ「研究計画書」であっても、どのような問題意識や研究方法を示すと研究科の方向性と合うのかを考える手がかりになります。


研究科の理念や論文形式まで確認しておこう

国際学研究科では、研究テーマが研究科のミッションに照らして適切かどうかという点も評価項目になっています。研究内容そのものだけでなく、研究科がどのような人材を育て、どのような研究を重視しているのかを理解することも大切です。

言語コミュニケーション文化研究科では、論文の形式についてMLAやAPAなど、一定の学術スタイルに沿っているかどうかまで具体的に示されています。研究分野によって、引用方法や参考文献の書き方、論文の構成には違いがあります。

出願前の段階では完璧に身につける必要はありませんが、志望分野でどのような論文作法が一般的なのかを知っておくと、先行研究を読むときにも役立ちます。気になる論文を読む際には、内容だけでなく、構成や引用の仕方にも目を向けてみてください。


理系では学会発表まで意識した研究が求められる

理工学研究科では、数理科学、物理学、先進エネルギーナノ工学、化学、環境応用化学、生命科学、生命医化学、情報科学・人間システム工学など、専攻ごとに審査基準が定められています。

多くの専攻に共通する特徴として、修士論文に含まれる研究成果が学会などで発表されていること、または修了までに発表予定であることが望ましいとされています。論文を書くだけでなく、研究成果を外部に発表し、他の研究者に説明するところまでが研究活動として意識されています。

理系大学院を目指す方は、志望研究室の教員や在学生がどのような学会で発表しているのかを調べてみると、入学後の研究活動をイメージしやすくなります。教員の研究業績や研究室のニュースなども確認してみましょう。


博士論文は原則として大学リポジトリで公開される

博士論文については、原則として関西学院大学のリポジトリで全文が公開される仕組みになっています。やむを得ない事情がある場合には要約による公表が認められることもありますが、基本的には研究成果が広く公開されることを前提に博士論文を作成することになります。

博士課程を目指す方にとっては、実際に提出された博士論文そのものが重要な情報源になります。自分が関心を持っている研究分野の博士論文を探し、どのような問題設定、方法、構成で研究がまとめられているのかを読むことで、博士課程で求められる研究の水準を具体的に知ることができます。

志望研究科が決まったら、まず公式サイトで学位論文の審査基準を確認してみてください。そのうえで、自分の研究計画書について「テーマは明確か」「先行研究との差は何か」「研究方法は適切か」「どのような成果を目指すのか」を見直してみましょう。修了時の評価基準から逆算して研究計画を考えることは、大学院入試の準備にも役立ちます。


本記事の内容は執筆時点の情報をもとにしています。学位論文の審査基準、研究科や専攻の構成、論文公開に関する取り扱いなどは変更される場合があります。また、入試日程、出願期間、試験内容、必要書類についても変更される可能性があるため、必ず関西学院大学大学院の公式サイトおよび対象年度の最新の募集要項をご確認ください。

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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。

この記事を監修した人

小杉樹彦(志樹舎 創業者)

小杉 樹彦(こすぎ・たつひこ)
志樹舎 創業者/博士(学術)
慶應義塾大学院修了後、2015年1月に院試専門オンライン予備校「志樹舎」を設立。 代表講師として10〜60代まで延べ5,000人以上の受験生を指導。 早慶・国公立をはじめとする難関大学院で合格率9割超の実績を持つ。 現在は大学院入試対策の専門家として、テレビ・新聞・雑誌など幅広いメディアで活動中。 ロングセラー『減点されない!勝論文』(エール出版社)ほか著書・論文多数。