東京大学大学院から海外留学へ!国際交流協定と海外研究ネットワークを解説

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今回のテーマは「東京大学大学院在学中の海外留学と国際交流」です。

大学院への進学を考えている方の中には、「海外の大学で専門分野を学びたい」「国際共同研究に参加したい」「将来は世界を舞台に活躍したい」と考えている方もいるのではないでしょうか。

東京大学は、日本国内に研究拠点を持つだけでなく、世界各地の大学や研究機関と交流協定を結んでいます。交換留学、共同研究、海外での調査、国際学会への参加など、大学院生が国外で研究経験を積める機会もあります。

ただし、東京大学へ入学すれば誰でも自由に海外留学できるわけではありません。研究科や専攻によって利用できる制度が異なり、語学力、研究計画、指導教員との調整、費用の準備も必要です。

この記事では、東京大学の国際交流ネットワークや海外研究拠点、大学院在学中に海外で学ぶ方法について解説します。


東京大学は67の国と地域で570件の国際交流協定を結んでいる

東京大学が大学間または部局間で結んでいる国際交流協定は、延べ67の国と地域に対して570件あります。

協定先は、北米、ヨーロッパ、アジアを中心に世界各地へ広がっています。北米では、マサチューセッツ工科大学、カリフォルニア大学バークレー校、プリンストン大学、コーネル大学などが挙げられます。

ヨーロッパでは、オックスフォード大学、ケンブリッジ大学、スイス連邦工科大学チューリッヒ、フランス国立科学研究センター、マックスプランク協会などと交流があります。

アジアでも、ソウル大学校、北京大学、清華大学、シンガポール国立大学など、多くの大学や研究機関と協定を結んでいます。

ただし、協定校であれば、すべての研究科の学生が同じ条件で留学できるとは限りません。大学全体の協定と、研究科や専攻が独自に結んでいる協定では、対象者や応募条件が異なります。


大学院生の海外経験は交換留学だけではない

大学院生が海外で研究する方法は、交換留学だけではありません。

一定期間、海外の大学で授業を履修する交換留学のほか、指導教員の共同研究先に滞在する方法、海外で調査や実験を行う方法、国際学会で研究成果を発表する方法などがあります。

例えば、理系の大学院生であれば、海外の研究室に数週間から数か月滞在し、現地の実験設備を使うことがあります。文系や社会科学系では、海外の図書館や文書館で資料を調査したり、現地で聞き取り調査を行ったりする場合があります。

海外留学という言葉から1年間の長期滞在を想像しがちですが、研究内容に応じて数日間の学会参加から数か月の研究滞在まで、さまざまな形があります。


令和6年度は9,088人が海外で研究活動を行っている

令和6年度の研究者交流に関するデータでは、共同研究や研究活動を目的として、東京大学から海外へ派遣された人数は合計9,088人でした。

地域別では、アジアが3,141人で全体の約34.5%、ヨーロッパが3,095人で約34.0%、北米が2,107人で約23.1%です。

この数字には教員や研究者も含まれますが、博士課程の学生をはじめとする大学院生が海外で研究活動を行う機会もあります。

欧米の大学や研究機関だけでなく、アジアの大学との共同研究が活発である点も東京大学の特徴です。研究対象がアジアの社会、経済、文化、環境などに関係する場合、現地の大学と連携しながら研究を進められる可能性があります。


世界各地に25の海外研究拠点がある

東京大学は、協定校との交流に加え、世界各地に25の海外研究拠点を持っています。

海外研究拠点は、現地の大学や研究機関と共同研究を進めたり、観測や調査を継続したりするために設置されています。

大学院生がすべての拠点を自由に利用できるわけではありませんが、所属する研究室が海外拠点の活動に関わっている場合は、現地で研究に参加する機会を得られることがあります。

研究室を選ぶ際は、教員の専門分野だけでなく、海外のどの研究機関と共同研究を行っているのか、大学院生の海外派遣実績があるのかも確認するとよいでしょう。


チリのアタカマ天文台で宇宙を観測する

東京大学の代表的な海外研究拠点の一つが、南米チリにある東京大学アタカマ天文台です。

天文台は、チャナントール山の標高5,640メートル付近に設置されています。空気が薄く、水蒸気が少ない環境を活かし、赤外線による天体観測を行います。

理学系研究科などで天文学を学ぶ大学院生は、観測計画の作成、装置の開発、取得したデータの解析などに関わる可能性があります。

海外の観測施設を利用する研究では、専門知識だけでなく、現地の研究者と英語で意思疎通する力や、国際的なチームで役割を果たす力も必要です。


スイスのCERNでは国際的な素粒子研究に参加

スイスにある欧州合同原子核研究機構、通称CERNは、世界有数の素粒子物理学の研究拠点です。

東京大学はCERN内に研究活動の拠点を持ち、国際的な大型研究プロジェクトに参加しています。

素粒子の実験では、一つの大学や国だけで研究を完結することはできません。世界各国の研究者が共同で装置を運用し、膨大なデータを分析します。

大学院生も研究チームの一員として、実験装置の開発、データ解析、研究発表などを担当する場合があります。世界規模の共同研究に参加したい方にとって、貴重な研究環境です。


ボストンでは脳科学とAIの融合研究が進む

アメリカのボストンには、ニューロインテリジェンス国際研究機構の連携研究拠点があります。

脳神経科学とAIを組み合わせ、人間の知性や学習の仕組みを明らかにする研究が進められています。

ボストン周辺には、大学、病院、研究機関、企業が集まっており、異なる分野の研究者と交流しやすい環境があります。

生命科学、医学、情報科学、心理学などを学ぶ学生が、自分の専門を活かしながら分野横断的な研究に参加する可能性もあります。


海外留学には研究室の方針が大きく関わる

東京大学に多くの国際交流制度があっても、実際に海外へ行けるかどうかは、所属する研究科や研究室の方針によって異なります。

修士課程は通常2年間で、授業、研究、修士論文、就職活動を進める必要があります。そのため、長期留学をすると修了時期や研究計画に影響することがあります。

博士課程では比較的長期の研究滞在を計画しやすい場合もありますが、国内で行う実験や調査との調整が必要です。

研究室訪問では、大学院生がどのような海外経験をしているか、留学中の研究指導はどうなるか、修了時期への影響があるかを確認しましょう。


費用と奨学金の確認も必要

海外留学や国際学会への参加には、渡航費、宿泊費、現地での生活費、保険料などが必要です。

大学や研究科の支援制度、奨学金、研究室の研究費などから費用が支給される場合もありますが、すべての費用が必ず補助されるとは限りません。

交換留学では、協定によって留学先の授業料が免除される場合があります。一方で、東京大学の授業料や現地の生活費については、別途確認が必要です。

応募期限が出発の半年前から1年前に設定される制度もあります。海外留学を希望する場合は、入学後に考え始めるのではなく、利用できる制度と募集時期を早めに調べておきましょう。


語学力は研究内容を伝えるために必要

海外で研究するためには、試験のスコアだけでなく、専門的な内容を伝える語学力が必要です。

交換留学の応募では、TOEFLやIELTSなどのスコア提出を求められることがあります。ただし、必要な点数を取るだけでは、現地での研究発表や議論に十分対応できるとは限りません。

自分の研究目的、方法、結果を英語で説明する練習を行い、質問に対して簡潔に答えられるようにしておきましょう。

また、調査対象となる国によっては、英語以外の言語が必要になる場合もあります。研究テーマと渡航先に合わせて準備することが大切です。


グローバル教育センターが国際的な学びを支援

東京大学には、学生の国際交流や海外での学びを支援するグローバル教育センターがあります。

外国語で学ぶ授業、国際交流プログラム、短期海外体験、留学に関する情報提供などが行われています。

長期留学が難しい場合でも、短期プログラムや国際的な授業を利用することで、海外の学生と学び、英語で議論する経験を積めます。

また、東京大学には多くの外国人留学生が在籍しています。所属研究室や授業によっては、日本国内にいながら日常的に英語を使い、異なる文化や考え方に触れられます。


研究計画書では海外志向だけを書かない

海外留学や国際共同研究を希望している場合でも、研究計画書に「世界で活躍したい」と書くだけでは十分ではありません。

まず、自分が何を研究したいのかを明確にする必要があります。そのうえで、なぜ海外の資料、設備、地域、研究者との連携が必要なのかを具体的に説明します。

例えば、海外の都市政策を比較する研究であれば、どの都市を対象にし、どの資料やデータを集めるのかを示します。理系研究であれば、海外研究機関が持つ装置や技術を利用する必要性を説明します。

海外経験そのものを目的にせず、自分の研究を進めるための手段として位置づけることが大切です。


まとめ

東京大学は、世界67の国と地域で570件の国際交流協定を結び、海外に25の研究拠点を持っています。

令和6年度には、共同研究や研究活動を目的として9,088人が海外へ派遣されました。アジア、ヨーロッパ、北米を中心に、幅広い地域で研究交流が行われています。

大学院生は、交換留学だけでなく、海外研究室への滞在、現地調査、国際学会、共同研究などを通して海外経験を積むことができます。

ただし、利用できる制度は研究科や専攻によって異なり、語学力、費用、研究計画、修了時期の調整も必要です。

海外で研究したい方は、志望研究室の共同研究先や大学院生の派遣実績まで調べ、自分の研究目的に合う環境を選びましょう。


※国際交流協定の件数、協定校、海外拠点、派遣人数、留学制度、応募条件、費用支援の内容は年度や研究科によって変更される場合があります。最新の国際交流情報や募集内容については、必ず東京大学および各研究科の公式サイトでご確認ください。

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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。

この記事を監修した人

小杉樹彦(志樹舎 創業者)

小杉 樹彦(こすぎ・たつひこ)
志樹舎 創業者/博士(学術)
慶應義塾大学院修了後、2015年1月に院試専門オンライン予備校「志樹舎」を設立。 代表講師として10〜60代まで延べ5,000人以上の受験生を指導。 早慶・国公立をはじめとする難関大学院で合格率9割超の実績を持つ。 現在は大学院入試対策の専門家として、テレビ・新聞・雑誌など幅広いメディアで活動中。 ロングセラー『減点されない!勝論文』(エール出版社)ほか著書・論文多数。