他大学から東京大学大学院への進学は不利?外部受験の実態をデータで解説
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今回のテーマは「他大学から東京大学大学院を受験する場合、本当に不利なのか」です。
東京大学以外の大学から東大大学院を目指す方の中には、「内部生のほうが有利なのではないか」「自分の大学から受験しても合格できないのではないか」と不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
確かに、内部生は授業や研究室を通じて、教員や先輩から情報を得やすい環境にあります。しかし、東京大学大学院の入試は、他大学出身者にも広く開かれています。
過年度の一般選抜データを見ると、修士課程と専門職学位課程の入学者3,453名のうち、東京大学出身者は1,745名、他大学出身者は1,708名でした。他大学出身者の割合は約49.5%で、全体のほぼ半数を占めています。
この記事では、研究科ごとの入学者データを確認しながら、外部受験の実態と対策のポイントを解説します。
修士課程では入学者の約半数が他大学出身
過年度の修士課程および専門職学位課程の一般選抜では、入学者総数3,453名のうち、東京大学出身者が1,745名、他大学出身者が1,708名でした。
他大学出身者の割合は約49.5%です。つまり、入学者のおよそ2人に1人が東京大学以外の大学などから進学していることになります。
この数字からも、東京大学大学院が内部生だけを対象とした進学先ではないことがわかります。
大学院では、学部入試とは異なり、これまで在籍していた大学名だけで評価されるわけではありません。専門科目の筆記試験、研究計画書、英語資格、口述試験などを通して、大学院で研究するための知識や適性が確認されます。
他大学出身であっても、志望研究科が求める力を理解し、適切に準備すれば合格を目指せます。
文系・学際系では他大学出身者が多数を占める研究科もある
研究科別に見ると、文系や複数分野を横断する学際系の研究科では、他大学出身者の割合が高い傾向があります。
過年度のデータでは、総合文化研究科の入学者234名のうち、他大学出身者は145名で、約62%でした。
教育学研究科では、入学者94名のうち68名が他大学出身者で、割合は約72%です。
学際情報学府では、入学者95名のうち81名が他大学出身者で、約85%を占めています。公共政策学教育部でも、入学者78名のうち59名が他大学出身者で、約76%でした。
法学政治学研究科の法曹養成専攻でも、入学者216名のうち116名が他大学出身者で、過半数となっています。
これらの研究科や課程では、さまざまな専門性や経験を持つ学生が集まることに意味があります。特に学際情報学府や公共政策学教育部では、出身学部や職歴の違いが、研究や議論に活かされる場合があります。
外部出身であることを弱みとして捉えるのではなく、これまで学んできた内容を志望分野にどう結びつけるかを考えることが大切です。
理系でも他大学から多くの学生が進学している
理系研究科でも、他大学出身者は決して珍しくありません。
理学系研究科では、入学者384名のうち、東京大学出身者が198名、他大学出身者が186名でした。ほぼ半数ずつの構成です。
工学系研究科では、入学者973名のうち334名が他大学出身者で、割合は約34%です。内部出身者の割合は高いものの、人数で見ると300名を超える他大学出身者が入学しています。
農学生命科学研究科では、入学者291名のうち132名が他大学出身者で、約45%でした。
理系の外部受験で特に注目したいのが、新領域創成科学研究科です。入学者352名のうち、他大学出身者は251名で、割合は約71%に達しています。
新領域創成科学研究科は学部を持たない独立研究科であるため、特定の学部から進学する学生だけで構成されていません。東京大学の他学部、他大学、社会人、留学生など、多様な背景を持つ学生が集まります。
学部とは異なる分野へ進みたい方や、複数の領域を組み合わせた研究をしたい方にとっても、検討しやすい研究科です。
医学系では専攻によって他大学出身者の割合が高い
医学系研究科では、専攻によって入学者の構成が大きく異なります。
過年度のデータでは、保健学の入学者30名のうち27名が他大学出身者でした。医科学では、入学者25名のうち24名が他大学出身者です。
公共健康医学専攻でも、入学者30名のうち22名が他大学出身者でした。
これらの専攻には、医学部出身者だけでなく、看護、薬学、生命科学、情報科学、社会科学などを学んだ人や、医療現場で経験を積んだ社会人も進学します。
医療や健康に関する研究は、臨床医学だけで完結するものではありません。統計、政策、保健、データ分析など、多様な専門性が必要になるため、他分野からの進学が活かされやすいと考えられます。
博士課程でも他大学からの進学は可能
博士課程では、過年度の入学者総数1,423名のうち、東京大学出身者が1,006名、他大学出身者が417名でした。他大学出身者の割合は約29%です。
修士課程や専門職学位課程と比べると割合は低くなりますが、毎年400名を超える他大学出身者が博士課程へ入学しています。
博士課程では、東京大学の修士課程を修了した学生がそのまま進学するケースが多いため、内部出身者の割合が高くなりやすい面があります。
ただし、研究科によっては他大学出身者のほうが多い場合もあります。医学系研究科の医学では、入学者223名のうち136名が他大学出身者というデータがあります。
博士課程の入試では、出身大学よりも、修士課程までの研究実績、論文、研究計画、指導希望教員との研究上の相性が重要になります。
外部受験で注意したいのは情報の集め方
データを見る限り、他大学出身であること自体が大きな不利になるとは考えにくいでしょう。
ただし、外部受験生には情報を得にくいという課題があります。
内部生は、授業や研究室で教員と接する機会があり、先輩から過去問の傾向や試験準備について聞けることがあります。一方、外部受験生は、募集要項、研究室のウェブサイト、過去問、説明会などを自分で探さなければなりません。
特に注意したいのが、専攻ごとの試験科目、過去問の公開方法、英語資格の提出条件、指導希望教員への事前連絡です。
研究科全体の募集要項だけを読んで安心せず、自分が受験する専攻やコースの案内まで確認しましょう。同じ研究科でも、専攻によって試験科目や提出書類が異なることがあります。
外部受験では研究室との相性を具体的に示す
外部受験生が研究計画書や面接で意識したいのは、「なぜ東京大学なのか」を具体的に説明することです。
東京大学だから、研究環境が良さそうだからという理由だけでは、志望理由として十分ではありません。
自分が研究したいテーマに対して、どの教員の研究や、どの設備、授業、研究プロジェクトが必要なのかを整理しましょう。
例えば、「〇〇という問題を研究するために、△△教授が進めている□□の研究手法を学びたい」という形で、自分の計画と志望研究室の特徴を結びつけます。
また、現在の大学で身につけた知識や経験をどのように活かせるかを説明できれば、外部出身であることが強みに変わります。
まとめ
過年度の一般選抜では、東京大学大学院の修士課程および専門職学位課程の入学者3,453名のうち、1,708名、約49.5%が他大学出身者でした。
総合文化研究科、教育学研究科、学際情報学府、公共政策学教育部、新領域創成科学研究科などでは、他大学出身者が半数を大きく上回っています。
工学系研究科のように内部出身者の割合が高い研究科でも、他大学から毎年300名以上が入学しているデータがあります。
外部受験で重要なのは、出身大学への不安を抱え続けることではなく、志望専攻の試験内容と研究環境を正確に把握することです。必要な情報を早めに集め、専門科目、研究計画書、英語資格、口述試験を計画的に準備しましょう。
※入学者数、出身大学別の人数、試験方法、出願資格、募集日程は年度や研究科、専攻によって変更される場合があります。最新の募集要項や入試情報については、必ず東京大学大学院の公式サイトでご確認ください。
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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。
この記事を監修した人
小杉 樹彦(こすぎ・たつひこ)
志樹舎 創業者/博士(学術)
慶應義塾大学院修了後、2015年1月に院試専門オンライン予備校「志樹舎」を設立。
代表講師として10〜60代まで延べ5,000人以上の受験生を指導。
早慶・国公立をはじめとする難関大学院で合格率9割超の実績を持つ。
現在は大学院入試対策の専門家として、テレビ・新聞・雑誌など幅広いメディアで活動中。
ロングセラー『減点されない!勝論文』(エール出版社)ほか著書・論文多数。



