東京大学大学院の専門職学位課程とは?法曹・公共政策・公衆衛生などの特徴を解説
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今回のテーマは「東京大学大学院の専門職学位課程」です。
大学院というと、修士論文や博士論文を執筆し、研究者を目指す場所というイメージを持つ方も多いのではないでしょうか。しかし、東京大学大学院には、特定分野の高度な専門職として活躍する人材を育てる「専門職学位課程」が設置されています。
法曹、公共政策、公衆衛生、原子力など、将来進みたい分野が明確な方にとって、専門職学位課程は実務に必要な知識や判断力を体系的に身につけられる進学先です。
平成17年度から令和5年度までの累計では、東京大学の専門職学位課程から約7,000名の修了者が社会へ進んでいます。この記事では、代表的な専門職学位課程の特徴と、過年度の入試データをもとにした選抜方法の違いを解説します。
専門職学位課程と一般的な修士課程の違い
一般的な修士課程では、特定の研究テーマを設定し、調査や実験を行いながら修士論文をまとめることが中心です。将来、博士課程へ進学して研究を続けたい方にも適しています。
一方、専門職学位課程では、研究者の養成だけではなく、特定分野で実務を担う高度専門職業人の育成が重視されます。法律、政策、医療、工学などの現場で必要となる専門知識に加え、実際の課題に対応する力を身につけることが目的です。
授与される学位も、通常の修士とは異なります。課程によって、法務博士、公共政策学修士、公衆衛生学修士、原子力修士などの専門職学位が授与されます。
ただし、同じ専門職学位課程でも、教育内容や入試方式は大きく異なります。志望先を選ぶ際は、将来の職業だけでなく、カリキュラムや選抜方法まで確認することが重要です。
法曹養成専攻は法律家を目指すための法科大学院
法学政治学研究科の法曹養成専攻は、弁護士、裁判官、検察官などを目指す人のための法科大学院です。
法律知識を学ぶだけでなく、高い倫理観や責任感を持ち、複雑な法律問題に対応できる法曹を育てることを目的としています。修了者には法務博士の学位が授与されます。
過年度のデータでは、入学定員230名に対して志願者は825名でした。入学者216名のうち、東京大学出身者は100名、他大学出身者は116名であり、他大学からの入学者が過半数を占めています。
社会人の志願者も71名おり、そのうち18名が入学しています。東京大学出身者だけが中心となる課程ではなく、他大学や社会人からも挑戦できることがわかります。
過年度の入試では、10月頃に出願し、冬に試験が実施されています。選抜では筆記試験が中心となり、論文または口述試験が課されない方式が採用された例があります。
面接がない場合でも、対策が簡単になるわけではありません。法律の知識を正確に理解し、限られた時間で論点を整理して、筋道の通った答案を書く力が求められます。知識の暗記だけでなく、過去問を使った記述練習を積み重ねる必要があります。
公共政策学教育部は政策立案を担う実務家を育てる
公共政策学教育部、いわゆる公共政策大学院は、官公庁、国際機関、自治体、シンクタンク、民間企業などで政策の立案や実施、評価に関わる人材を育てる専門職大学院です。
法政策、公共管理、国際公共政策、経済政策、国際プログラムの5コースが設けられています。法律、行政、政治、経済などを組み合わせ、現実の政策課題を多角的に考えられる点が特徴です。
国際性も高く、在籍学生の約半数が留学生で、授業の約半数が英語で行われています。海外14校との交換留学や、複数の大学で学位取得を目指すダブル・ディグリー・プログラムも用意されています。
修了者には公共政策学修士の学位が授与されます。過年度のデータでは、入学定員135名に対して志願者は279名でした。入学者78名のうち、東京大学出身者は19名、他大学出身者は59名であり、外部からの入学者が多いことがわかります。社会人も12名が入学しています。
過年度には7月頃と11月頃に出願時期が設けられ、一般選抜では筆記試験を課さず、論文または口述試験を中心に選抜する方式が採用された例があります。
この場合、これまでの学習や実務経験、入学後に学びたい内容、将来の進路を一つの流れとして説明する力が重要です。「公共政策に関心がある」というだけではなく、どの課題を、どの視点から学び、将来どのように活かしたいのかを具体的に整理する必要があります。
公共健康医学専攻は公衆衛生の専門家を目指す課程
医学系研究科の公共健康医学専攻は、疫学、保健学、医療政策などを学び、公衆衛生の専門家を育てる専門職学位課程です。修了者には公衆衛生学修士の学位が授与されます。
個人の診断や治療だけでなく、集団全体の健康を守るための方法を考えることが特徴です。感染症対策、生活習慣病の予防、医療制度、地域保健、健康に関するデータ分析など、社会と医療を結ぶテーマを扱います。
過年度のデータでは、入学定員30名に対して志願者は116名でした。志願者116名のうち98名が社会人で、入学者30名のうち24名が社会人です。
医師や看護師などの医療従事者に限らず、行政、企業、研究機関などで健康に関わる仕事を経験した方が、専門性を高めるために進学するケースも考えられます。
過年度には6月頃に出願が行われ、筆記試験と口述試験の両方が課されています。専門知識の確認に加えて、これまでの経験を公衆衛生の学びへどうつなげるのかを説明できるようにしておくことが大切です。
原子力専攻は高度な技術者と安全管理の専門家を育てる
工学系研究科の原子力専攻は、原子力分野の高度な技術者や、安全管理を担う専門家を育てる専門職学位課程です。修了者には原子力修士の学位が授与されます。
過年度のデータでは、入学定員15名に対して志願者は20名で、15名が入学しています。少人数で専門性の高い教育を受けられる点が特徴です。
出願は11月頃に設定され、筆記試験を中心とした選抜が行われた例があります。原子力工学に関する知識だけでなく、安全性、社会的責任、リスク管理について考える力も必要となります。
原子力分野は専門性が高いため、自分の学部で学んだ内容と試験範囲の差を早めに確認することが重要です。他分野から受験する場合は、必要な基礎科目を洗い出し、計画的に補う必要があります。
専門職学位課程ごとに入試対策は大きく異なる
専門職学位課程の入試では、すべての課程に共通する対策があるわけではありません。
法曹養成専攻や原子力専攻のように筆記試験の比重が高い課程では、専門知識と答案作成力が重要です。一方、公共政策学教育部のように提出書類や口述試験が重視される課程では、志望理由や将来像を具体的に説明する準備が欠かせません。
公共健康医学専攻のように筆記試験と口述試験の両方がある場合は、知識面と面接面を並行して準備する必要があります。
まずは志望課程の募集要項を確認し、試験科目、提出書類、出願資格、試験日程を整理しましょう。そのうえで、筆記試験、志望理由書、面接のどこに時間をかけるべきかを判断することが大切です。
まとめ
東京大学大学院の専門職学位課程は、研究者だけでなく、法律、公共政策、公衆衛生、原子力などの分野で高度な専門職を目指す人に向けた進学先です。
法曹養成専攻では法務博士、公共政策学教育部では公共政策学修士、公共健康医学専攻では公衆衛生学修士、原子力専攻では原子力修士が授与されます。
また、他大学出身者や社会人も多く、これまでの所属にかかわらず挑戦できる環境があります。ただし、筆記試験のみの課程、口述試験を中心とする課程、両方を課す課程があり、入試方式は大きく異なります。
自分の将来像から志望課程を選び、求められる試験方法に合わせて早めに準備を始めましょう。
※入学定員、志願者数、入学者数、学位名称、出願時期、試験方法、カリキュラムは年度によって変更される場合があります。最新の募集要項や入試情報については、必ず東京大学大学院の各専門職学位課程の公式サイトでご確認ください。
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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。
この記事を監修した人
小杉 樹彦(こすぎ・たつひこ)
志樹舎 創業者/博士(学術)
慶應義塾大学院修了後、2015年1月に院試専門オンライン予備校「志樹舎」を設立。
代表講師として10〜60代まで延べ5,000人以上の受験生を指導。
早慶・国公立をはじめとする難関大学院で合格率9割超の実績を持つ。
現在は大学院入試対策の専門家として、テレビ・新聞・雑誌など幅広いメディアで活動中。
ロングセラー『減点されない!勝論文』(エール出版社)ほか著書・論文多数。



