東京大学大学院「新領域創成科学研究科」とは?学融合と柏キャンパスの魅力を解説
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今回のテーマは「東京大学大学院新領域創成科学研究科の特徴と魅力」です。
大学院で研究したいテーマを考える中で、「自分の関心が一つの学問分野に収まらない」「理系と文系の知識を組み合わせて社会課題を研究したい」と感じている方もいるのではないでしょうか。
そのような受験生に知ってほしいのが、東京大学大学院の新領域創成科学研究科です。新領域創成科学研究科は1998年に設置され、学部を持たず、修士課程と博士課程を中心に構成される独立研究科です。
従来の学問分野をそのまま深めるだけではなく、異なる領域を結びつけることで、新しい研究分野を生み出すことを目指しています。この記事では、新領域創成科学研究科が掲げる学融合の考え方、専攻構成、柏キャンパスの研究環境、入試対策のポイントを具体的に解説します。
新領域創成科学研究科が掲げる「学融合」とは
新領域創成科学研究科を理解するうえで重要な言葉が「学融合」です。
学融合とは、複数の学問分野を並べて学ぶだけではありません。異なる分野の知識や研究方法を組み合わせ、従来にはなかった新しい研究領域を生み出すことを意味します。
例えば、環境問題は自然科学だけでは解決できません。気候や生態系の分析に加えて、都市計画、エネルギー政策、経済、文化、国際協力などの視点も必要です。また、医療分野でも、生命科学だけでなく、情報科学やデータ分析を組み合わせることで、新しい診断方法や治療技術につながる可能性があります。
このように、一つの専門だけでは扱いにくい課題に対して、複数の分野を横断しながら研究できることが、新領域創成科学研究科の大きな特徴です。
3つの研究系と11専攻で構成されている
新領域創成科学研究科は、基盤科学系、生命科学系、環境学系の3つの研究系から構成されています。
基盤科学系には、物質系専攻、先端エネルギー工学専攻、複雑理工学専攻があります。物質やエネルギー、情報、複雑な自然現象などを対象に、基礎科学から工学的な応用まで幅広く研究します。
生命科学系には、先端生命科学専攻とメディカル情報生命専攻があります。遺伝子、細胞、発生、疾患、医療情報などを扱い、生命科学と情報科学、医学を結びつけた研究も行われています。
環境学系には、自然環境学専攻、海洋技術環境学専攻、環境システム学専攻、人間環境学専攻、社会文化環境学専攻、国際協力学専攻があります。
環境学系では、自然環境や海洋だけでなく、都市、建築、人間生活、文化、国際開発まで扱います。理系の研究方法を中心とする専攻もあれば、社会科学や人文科学の視点を取り入れる専攻もあります。
3研究系11専攻に加えて、生命データサイエンスや持続可能な社会、フュージョンエネルギーなどを扱う研究組織もあり、研究系や専攻を越えた共同研究が進められています。
約180名の教員と約1,580名の大学院生が集まる環境
新領域創成科学研究科には、約180名の教員と約1,580名の大学院生が所属しています。
学部からそのまま進学する学生だけではなく、東京大学の他学部や他大学の出身者、社会人、外国人留学生など、多様な経歴を持つ学生が集まっている点も特徴です。
独立研究科であるため、特定の学部とのつながりだけで構成されているわけではありません。出身大学や学部が違う学生同士が、それぞれの専門知識を持ち寄って研究する環境があります。
例えば、工学を学んだ学生と生物学を学んだ学生が生命情報を研究したり、環境科学を学んだ学生と社会科学を学んだ学生が国際的な環境政策を検討したりすることも考えられます。
他大学から受験する方や、学部とは異なる分野へ進みたい方にとっても、自分の経験を研究に活かしやすい研究科といえるでしょう。
柏キャンパスには先端的な研究機関が集まっている
新領域創成科学研究科の主な拠点は、千葉県柏市にある東京大学柏キャンパスです。
本郷キャンパスとは異なり、柏キャンパスは先端的な研究を進める新しい拠点として整備されました。広い敷地と比較的新しい研究施設があり、落ち着いて研究に取り組める環境です。
柏キャンパスには、新領域創成科学研究科のほか、物性研究所、大気海洋研究所、宇宙線研究所、カブリ数物連携宇宙研究機構などが集まっています。生産技術研究所の研究施設もあり、研究科の枠を越えた交流や共同研究が行われています。
例えば、海洋や気候に関する研究では大気海洋研究所、物質科学では物性研究所、宇宙や素粒子の研究では宇宙線研究所など、世界的な研究機関と接点を持ちながら学べる可能性があります。
研究室を選ぶ際は、新領域創成科学研究科の教員だけでなく、連携する研究所や研究設備についても確認しておくと、入学後の研究環境をより具体的にイメージできます。
柏の葉では研究成果を社会で試す取り組みも進んでいる
柏キャンパス周辺では、大学、自治体、企業、地域住民が連携したまちづくりが進められています。
柏の葉アーバンデザインセンターなどを拠点として、スマートシティ、健康、交通、環境、エネルギーなどに関する実証実験が行われています。
大学内で研究を完結させるのではなく、実際の地域を使って研究成果を検証できる点は、新領域創成科学研究科の魅力の一つです。
例えば、人の移動を分析する研究、地域のエネルギー利用を改善する研究、高齢者の健康を支える仕組みを考える研究などでは、現実の社会と関わりながら研究を進められる可能性があります。
研究成果を論文として発表するだけでなく、社会で役立つ形にしたい方にとって、柏キャンパス周辺は実践的な研究環境となるでしょう。
多様な学生を受け入れる国際的な研究科
新領域創成科学研究科には外国人留学生も多く、研究室や授業で英語を使う機会があります。
留学生や海外研究者の来日手続き、生活、研究活動を支援する体制も設けられており、国際的な環境で研究したい方に適しています。
また、博士課程の学生を対象とした教育プログラムや、専門分野以外の知識、コミュニケーション力、実践力を身につけるための機会もあります。
自分の専門だけを深めるのではなく、他分野の研究者と協力し、研究内容を社会や海外へ伝えられる力を身につけたい方にとって、学びやすい環境です。
入試では早い出願時期に注意する
新領域創成科学研究科を受験する場合、入試日程を早めに確認することが重要です。
過年度の修士課程一般選抜では、5月頃、6月頃、11月頃に出願時期が設けられた例があります。博士課程では、6月頃や11月頃に出願が行われる場合があります。
特に夏入試では出願時期が早いため、学部4年生になってから研究テーマを考え始めると、研究計画書や必要書類の準備が間に合わない可能性があります。
学部3年生の冬頃までには志望専攻や研究室を調べ、春までに研究テーマの方向性を固めておくと安心です。指導を希望する教員への事前連絡が必要かどうかも、専攻ごとの募集要項で確認してください。
試験では、筆記試験に加えて、論文や口述試験が行われる場合があります。専門科目の基礎知識だけでなく、自分の研究が複数の分野や社会課題とどのように関係するのかを説明する力も必要です。
研究計画書では分野を組み合わせる理由を明確にする
新領域創成科学研究科を志望する際、「学融合に興味があります」と書くだけでは、研究計画として十分ではありません。
まず、解決したい問題や明らかにしたい問いを具体的に示す必要があります。そのうえで、なぜ一つの学問分野だけでは不十分なのか、どの分野の知識や研究方法を組み合わせるのかを説明します。
例えば、都市の暑さを研究する場合、気温や建物のデータを分析するだけでなく、人の生活行動、都市計画、エネルギー利用まで扱う理由を明確にします。
複数の分野を並べるのではなく、それぞれの分野が研究の中でどのような役割を持つのかを示すことが大切です。
また、志望専攻や教員の研究内容と、自分の研究計画がどのようにつながるのかも具体的に確認しましょう。
まとめ
東京大学大学院新領域創成科学研究科は、異なる学問分野を融合し、新しい研究領域を生み出すことを目指す独立研究科です。
基盤科学系、生命科学系、環境学系の3研究系に11専攻があり、物質、エネルギー、生命、医療、情報、海洋、都市、環境、国際協力など、幅広い研究テーマを扱っています。
柏キャンパスには世界的な研究所が集まり、研究機関との連携や社会実験に取り組める環境もあります。他大学出身者、社会人、留学生など、多様な学生が集まる点も大きな特徴です。
新領域創成科学研究科を目指す場合は、興味のある分野を広く挙げるだけではなく、自分が解決したい課題と、それに必要な研究方法を具体的に整理することが重要です。専攻と研究室の違いを比較し、自分の研究に合う環境を見つけましょう。
※研究系、専攻、教育プログラム、教員数、学生数、入学時期、出願日程、試験方法は年度によって変更される場合があります。最新の募集要項や入試情報については、必ず東京大学大学院新領域創成科学研究科の公式サイトでご確認ください。
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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。
この記事を監修した人
小杉 樹彦(こすぎ・たつひこ)
志樹舎 創業者/博士(学術)
慶應義塾大学院修了後、2015年1月に院試専門オンライン予備校「志樹舎」を設立。
代表講師として10〜60代まで延べ5,000人以上の受験生を指導。
早慶・国公立をはじめとする難関大学院で合格率9割超の実績を持つ。
現在は大学院入試対策の専門家として、テレビ・新聞・雑誌など幅広いメディアで活動中。
ロングセラー『減点されない!勝論文』(エール出版社)ほか著書・論文多数。



