東京大学大学院の修士課程修了後の進路は?就職先で多い業界をデータで解説

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今回のテーマは「東京大学大学院の修士課程修了後の進路」です。

東京大学大学院への進学を考える中で、「修士課程を修了した後は、どのような業界に就職するのか」「大学院へ進むことで就職先が狭くならないか」と不安を感じる方もいるのではないでしょうか。

特に文系の大学院を志望する方からは、「専門分野が深くなりすぎて、民間企業への就職が難しくなるのではないか」という相談もよく聞かれます。

しかし、東京大学大学院の修士課程修了者は、製造業、情報通信業、官公庁、コンサルティング業界、金融業界など、幅広い分野へ進んでいます。また、修士課程修了後に博士課程へ進学し、研究を続ける学生も少なくありません。

この記事では、東京大学が公表している令和6年度修了者のデータをもとに、修士課程修了後の進路と、就職者が多い業界について解説します。


修士課程修了者の約56.5%が就職している

令和6年度の東京大学大学院修士課程修了者は、合計3,150名でした。

そのうち、企業や官公庁などへ就職した人は1,779名で、全体の約56.5%です。また、博士課程などへ進学した人は1,012名で、約32.1%となっています。

この数字を見ると、修士課程修了者の半数以上が就職し、約3人に1人がさらに研究を続けていることがわかります。

東京大学大学院では、修士課程を研究者になるための途中段階として考える人もいれば、2年間で専門性を高めた後、民間企業や官公庁で働く人もいます。

大学院進学後の進路は一つではありません。研究者を目指す場合も、専門性を仕事に活かす場合も、自分の希望に応じて進路を選べます。


就職先で最も多いのは製造業

令和6年度の就職者1,779名のうち、最も多かったのは製造業で、462名でした。就職者全体の約26%を占めています。

製造業には、自動車、電機、機械、化学、素材、医薬品、食品など、幅広い業種が含まれます。

特に工学系研究科、理学系研究科、農学生命科学研究科などの理系修了者が、研究開発職や技術職として就職するケースが多く見られます。

大学院で行う研究では、仮説を立て、実験や分析を行い、結果を検証して改善する力が身につきます。こうした経験は、企業の研究開発や製品開発でも直接活かしやすいものです。

また、大学院で使用した分析機器やプログラミング、データ処理の経験が、入社後の業務につながることもあります。


情報通信業には342名が就職

2番目に多い就職先は情報通信業で、342名でした。就職者全体の約19%です。

情報通信業には、IT企業、通信会社、ソフトウェア企業、Webサービス企業などが含まれます。

情報理工学系研究科や学際情報学府の修了者だけでなく、工学系研究科、理学系研究科、総合文化研究科など、さまざまな研究科から就職しています。

現在は、多くの業界でAI、データ分析、システム開発、業務のデジタル化が進んでいます。そのため、情報系を専門としていなくても、大学院でデータを扱った経験や論理的に問題を整理する力を評価される場合があります。

文系の研究であっても、統計分析、テキスト分析、デジタルアーカイブなどを扱っていれば、情報通信業との接点をつくることが可能です。


公務には186名が進んでいる

3番目に多いのは公務で、186名でした。就職者全体の約10%にあたります。

公務には、国家公務員や地方公務員などが含まれます。公共政策学教育部や法学政治学研究科の修了者だけでなく、理系研究科から技術系職員として進む人もいます。

例えば、工学系研究科から国土交通分野、農学生命科学研究科から農林水産分野、新領域創成科学研究科から環境・エネルギー分野の行政に関わることが考えられます。

大学院で得た専門知識を、研究室の中だけでなく、政策や制度づくりに活かしたい方にとって、公務員は有力な進路です。

ただし、官公庁への就職には採用試験への対策も必要です。大学院の研究と並行しながら、試験日程や必要科目を早めに確認しておきましょう。


専門・技術サービス業には141名が就職

学術研究、専門・技術サービス業への就職者は141名で、就職者全体の約8%でした。

この分類には、コンサルティング会社、シンクタンク、法律事務所、特許事務所、調査・研究機関などが含まれます。

コンサルティング業界では、課題を整理し、必要な情報を集め、仮説を立てて提案する力が求められます。これは、大学院で研究計画を立て、調査や分析を進める過程と共通する部分があります。

理系修了者が技術コンサルタントや特許分野へ進む場合もあれば、文系修了者が政策、組織、人材、経営などの課題を扱う場合もあります。

自分の専門分野そのものを仕事にするだけでなく、研究を通じて身につけた問題解決力を活かす進路として選ばれています。


金融業・保険業と卸売業・小売業にも各130名が就職

令和6年度のデータでは、卸売業・小売業と金融業・保険業への就職者は、それぞれ130名でした。

金融業界には、銀行、証券会社、保険会社、資産運用会社などが含まれます。経済学研究科の修了者だけでなく、数理科学研究科や工学系研究科などの理系修了者が、数理モデルやデータ分析を扱う専門職へ進む場合もあります。

例えば、金融商品の価格やリスクを数理的に分析するクオンツ、膨大な取引データを分析するデータサイエンティストなどが考えられます。

卸売業・小売業でも、事業企画、マーケティング、データ分析、技術開発など、大学院で培った力を活かせる仕事があります。

業界名だけで仕事内容を判断せず、職種や配属先まで確認することが大切です。


工学系研究科は製造業と情報通信業への就職が多い

工学系研究科の就職者は688名で、東京大学大学院の中でも大きな規模となっています。

内訳を見ると、製造業が209名、情報通信業が105名と多く、この2業界が中心です。

そのほか、建設業に59名、学術研究・専門・技術サービス業に51名が就職しています。

工学系研究科では、研究成果を社会で使える技術や仕組みへつなげることを重視するため、メーカー、IT企業、建設会社、コンサルティング会社など、多様な進路につながっています。

同じ工学系でも、専攻によって就職先は異なります。機械系、電気系、建築系、化学系など、自分の専攻と希望する業界のつながりを確認しましょう。


経済学研究科は金融業界への就職が目立つ

経済学研究科の就職者は56名で、そのうち金融業・保険業への就職者は20名でした。

経済理論、統計、計量分析、経営などの専門知識が、金融機関やシンクタンク、コンサルティング会社などで活かされています。

経済学研究科へ進学したからといって、研究者になる道だけに限定されるわけではありません。大学院で身につけた分析力を、企業の経営判断や市場分析に活かすこともできます。

ただし、金融業界を目指す場合でも、研究テーマだけで就職が決まるわけではありません。インターンシップや業界研究を通じて、希望する職種に必要な力を補うことが大切です。


総合文化研究科は幅広い業界へ進んでいる

総合文化研究科の就職者は113名でした。

主な就職先は、情報通信業が31名、教育・学習支援業が18名、製造業が17名です。

総合文化研究科では、一つの専門分野だけでなく、複数の学問領域を横断する研究が行われています。そのため、特定の業界に集中するのではなく、教育、IT、メーカー、コンサルティング、官公庁など、多様な進路が考えられます。

分野横断的な研究を就職活動で伝える際は、「幅広く学びました」だけで終わらせず、どの課題に対して、どのような方法で取り組んだのかを具体的に説明しましょう。


大学院進学で就職の選択肢が狭まるとは限らない

大学院進学によって専門性が高まることは、必ずしも就職先を限定することを意味しません。

企業が評価するのは、研究テーマの知識だけではありません。問題を見つける力、情報を整理する力、分析結果を説明する力、長期的な課題に粘り強く取り組む力も評価対象になります。

一方で、大学院に進めば自動的に就職が有利になるわけでもありません。研究に集中するだけで就職活動の準備が遅れると、希望する企業の応募時期を逃すことがあります。

修士課程は通常2年間であり、入学後早い段階からインターンシップや業界研究が始まることもあります。研究と就職活動を両立できるよう、入学前から大まかな進路を考えておくと安心です。


まとめ

令和6年度の東京大学大学院修士課程修了者3,150名のうち、1,779名、約56.5%が就職し、1,012名、約32.1%が博士課程などへ進学しました。

就職先で最も多い業界は製造業の462名で、次いで情報通信業が342名、公務が186名、学術研究・専門・技術サービス業が141名となっています。

大学院修了後の進路は、研究科や専攻によって異なりますが、メーカー、IT、官公庁、金融、コンサルティングなど、幅広い選択肢があります。

大学院を選ぶ際は、研究内容だけでなく、修了生がどの業界や職種へ進んでいるのかも確認しましょう。自分が身につけたい専門性と将来の働き方を結びつけて考えることが、納得できる進学先選びにつながります。


※修了者数、就職者数、進学者数、業界別の就職者数は年度や集計方法によって変わる場合があります。最新の進路状況や就職データについては、必ず東京大学および各研究科の公式サイトでご確認ください。

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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。

この記事を監修した人

小杉樹彦(志樹舎 創業者)

小杉 樹彦(こすぎ・たつひこ)
志樹舎 創業者/博士(学術)
慶應義塾大学院修了後、2015年1月に院試専門オンライン予備校「志樹舎」を設立。 代表講師として10〜60代まで延べ5,000人以上の受験生を指導。 早慶・国公立をはじめとする難関大学院で合格率9割超の実績を持つ。 現在は大学院入試対策の専門家として、テレビ・新聞・雑誌など幅広いメディアで活動中。 ロングセラー『減点されない!勝論文』(エール出版社)ほか著書・論文多数。