専門分野の枠を超える!同志社大学院の「他研究科・専攻科目の履修促進制度」

院試専門オンライン予備校「志樹舎」が運営する「院試お役立ち記事」をご覧いただき、ありがとうございます。今回のテーマは「他研究科・専攻科目の履修促進制度」です。

大学院では一つの専門分野を深く研究することが基本ですが、実際の研究テーマは、一つの学問だけでは十分に扱えないことがあります。たとえば少子高齢化について研究する場合、社会学だけでなく、経済学、法学、政策などの知識が必要になることがあります。AIを研究する場合も、情報技術だけではなく、法律、倫理、ビジネス、心理などとの関係を考える場面が出てくるでしょう。

同志社大学大学院には、こうした分野を超えた学びを後押しする仕組みがあります。2018年度から導入されている、所属する研究科・専攻を超えて履修することを推奨する科目の制度です。大学院進学後に専門性を高めながら、隣接領域や異なる分野についても学びたい受験生は、ぜひ知っておきたい制度です。


所属する研究科だけに学びを限定しない仕組み

この制度では、自分が所属する研究科や専攻で学ぶ専門知識に加えて、隣接する領域や異なる分野の科目についても積極的に学べるよう、大学院全体で履修が推奨される科目が案内されています。

対象となるのは、大学院生として必要となる実践的な研究能力を身につける科目や、隣接領域の知識を学ぶための科目などです。所属する研究科・専攻以外の学生にも履修を推奨する科目を示すことで、自分の専門分野だけに閉じない学びにつなげています。

大学院というと、一つのテーマを狭く深く研究するイメージを持つ方もいるかもしれません。もちろん専門性を深めることは重要ですが、自分の研究を別の分野から見直すことで、新しい問いや研究方法が見つかることもあります。

異分野の知識を単に増やすのではなく、自分の専門と結びつけながら活用することが、この制度を利用する大きな意味といえるでしょう。


なぜ大学院で異分野を学ぶ必要があるのか

現代の社会課題は複雑化しており、一つの専門知識だけで解決策を考えることが難しくなっています。

たとえば企業の働き方について研究する場合、経営学だけでなく、労働法、経済学、心理学などの視点が関係することがあります。環境問題であれば、自然科学の知識に加えて、政策、企業活動、消費者行動、国際関係などを考える必要があるでしょう。

自分の専門とは異なる分野を学ぶことで、「自分の研究分野では当然だと思っていたことが、別の分野では違う見方をされている」と気づくこともあります。こうした経験は、自分の研究を客観的に捉え直すきっかけになります。

同志社大学大学院では、専攻する学問領域の知識だけではなく、隣接領域や異分野についても学び、それぞれの知識を相対化・統合しながら活用できる力を重視しています。多様な価値観や文化的背景を持つ人々と関わりながら活躍するうえでも、専門外の考え方を理解する力は大きな強みになります。


研究テーマによっては他研究科の科目が大きなヒントになる

受験生にとって重要なのは、この制度が自分の研究テーマにどのように役立つのかを考えることです。

たとえば法制度と企業行動の関係を研究したい場合、法学を中心に研究しながら、経済や経営に関する知識が必要になる可能性があります。国際的な社会問題を研究するのであれば、政治や経済だけでなく、歴史や文化について学ぶことで研究の視野が広がるかもしれません。

データを使った研究でも同様です。統計やデータ分析の手法を身につけることで、これまで文献中心で考えていたテーマを別の方法から検証できる可能性があります。

このように、「自分は○○研究科だから、その研究科の授業だけを受ける」と考えるのではなく、自分の研究を進めるためにどのような知識や研究方法が必要なのかという視点から科目を考えることがポイントです。


研究計画書では制度名を書くことが目的ではない

大学院入試を考えると、「研究計画書にこの制度について書けば志望度をアピールできるのでは」と考える方もいるかもしれません。しかし、制度名を書くだけでは十分ではありません。

大切なのは、自分の研究テーマとのつながりです。「他研究科の科目も履修したい」というだけではなく、「自分の研究では○○という視点が必要になるため、入学後は△△分野についても学びたい」という形で具体的に説明できるようにしましょう。

たとえば、地域経済について研究したい人であれば、経済学の理論だけでなく、政策や地域社会について学ぶ必要性を説明できます。企業の意思決定について研究するのであれば、経営学に加えてデータ分析や心理学の知識が研究に役立つ場合もあるでしょう。

研究計画書で重要なのは、制度を知っていることを示すことではなく、その教育環境を自分の研究にどう生かすのかを説明することです。同志社大学大学院でなければならない理由を考える際の一つの材料として、この制度を捉えるとよいでしょう。


入学前に履修したい科目まで調べてみよう

志望研究科がある程度決まったら、カリキュラムや科目一覧にも目を通してみましょう。その際、自分の所属予定の研究科だけを見るのではなく、関連する研究科の科目についても確認すると、入学後の研究計画をより具体的に考えられます。

たとえば、自分の研究テーマに必要な理論を学べる科目、研究方法を身につけられる科目、隣接分野の基礎を学べる科目などに分けて考えると整理しやすくなります。

ただし、他研究科・専攻の科目であれば自由に何でも履修できるという意味ではありません。履修対象となる科目、履修条件、手続き、修了に必要な単位への算入方法などは、研究科や年度によって異なる可能性があります。また、時間割やキャンパスの違いによって、実際には履修が難しいケースも考えられます。

そのため、「この科目を必ず履修できる」と決めつけて研究計画を作るのではなく、最新の履修要項やシラバスなどで確認することが重要です。


専門性と幅広い視点の両方を大学院で育てる

大学院で異分野を学ぶ目的は、専門分野を曖昧にすることではありません。まず自分の専門をしっかりと持ち、そのうえで必要な知識を他分野から取り入れることが大切です。

大学院入試でも、「いろいろなことを幅広く学びたい」という志望理由より、「この研究課題を深めるために、○○の専門性に加えて△△の視点が必要だ」と説明できる方が、研究の方向性は伝わりやすくなります。

同志社大学大学院には16研究科があり、人文・社会科学、理工学、生命医科学、心理学、脳科学、ビジネスなど幅広い研究分野があります。こうした環境を自分の研究にどう生かせるのかを考えてみることも、志望校研究の一つです。

志望研究科だけを見るのではなく、大学院全体にどのような研究分野や科目があるのかまで調べてみると、研究計画をさらに深めるヒントが見つかるかもしれません。


この記事の内容は執筆時点の情報です。他研究科・専攻科目の履修制度、対象科目、履修条件、単位の取り扱いなどは年度や研究科によって変更される場合があります。受験・履修を検討する際は、必ず同志社大学の公式サイト、最新の履修要項、シラバスなどをご確認ください。

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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。

この記事を監修した人

小杉樹彦(志樹舎 創業者)

小杉 樹彦(こすぎ・たつひこ)
志樹舎 創業者/博士(学術)
慶應義塾大学院修了後、2015年1月に院試専門オンライン予備校「志樹舎」を設立。 代表講師として10〜60代まで延べ5,000人以上の受験生を指導。 早慶・国公立をはじめとする難関大学院で合格率9割超の実績を持つ。 現在は大学院入試対策の専門家として、テレビ・新聞・雑誌など幅広いメディアで活動中。 ロングセラー『減点されない!勝論文』(エール出版社)ほか著書・論文多数。