
筆記試験なし?同志社大学院「社会人特別選抜入試」の選考プロセスと対策ポイント
院試専門オンライン予備校「志樹舎」が運営する「院試お役立ち記事」をご覧いただき、ありがとうございます。今回のテーマは「同志社大学大学院の社会人特別選抜入試」です。
社会人になってから大学院進学を考えたとき、「仕事をしながら英語や専門科目の筆記試験まで準備できるだろうか」と不安を感じる方もいるのではないでしょうか。平日は仕事があり、まとまった受験勉強の時間を確保するのが難しいこともあります。
同志社大学大学院では、研究科や課程によって社会人を対象とした特別選抜が実施されています。選考方法によっては、一般入試とは異なり、研究計画書や小論文、口頭試問などを中心に評価される場合があります。ただし、「社会人入試なら筆記試験がない」と一律に考えるのは注意が必要です。実際の出願資格や試験科目は研究科・年度によって異なるため、必ず最新の入試要項を確認しましょう。
社会人特別選抜入試とは?

社会人特別選抜入試は、一定の社会人経験などを持つ受験生を対象とした入試方式です。同志社大学大学院でも、博士課程前期課程などで社会人を対象とする入試が設けられている研究科があります。
一般入試では、外国語や専門科目などの筆記試験が課されることがあります。一方、社会人向けの選抜では、研究計画書、小論文、口頭試問などによって、これまでの実務経験や問題意識、大学院で研究するための基礎的な力を確認する方式が採用される場合があります。
ここで注意したいのは、筆記試験の負担が少ないからといって、簡単な入試になるわけではないことです。むしろ、これまで何をしてきたのか、なぜ今大学院で学ぶ必要があるのか、何を研究したいのかを明確に説明する力が求められます。
社会人としての経験そのものが評価されるというより、その経験からどのような問題意識を持ち、それを研究としてどう掘り下げたいのかが重要になります。
実務経験を「研究テーマ」に変えることが重要
社会人受験生の強みは、実際の仕事を通して具体的な課題に触れてきたことです。しかし、仕事上の悩みをそのまま研究計画書に書けばよいわけではありません。
たとえば、人事担当者として若手社員の離職に悩んできた場合、「若手社員が辞めない会社をつくりたい」というだけでは、業務上の課題にとどまります。大学院で研究するのであれば、「若手社員の離職意思には、上司との関係や組織文化がどのように影響するのか」など、調査や分析が可能な問いへ整理する必要があります。
営業職であれば顧客との関係、管理職であれば組織マネジメント、自治体職員であれば地域政策など、実務経験の中には研究テーマにつながる材料が数多くあります。
「仕事で困ったこと」から一歩進み、「なぜその問題が起きるのか」「これまでの研究ではどこまで分かっているのか」「自分は何を明らかにしたいのか」と考えていくことが、社会人の研究計画づくりでは重要です。
研究計画書では「なぜ大学院で研究するのか」を示す

社会人特別選抜の準備で特に重要になるのが研究計画書です。
研究計画書では、研究テーマだけでなく、研究の背景、問題意識、先行研究、研究目的、研究方法、入学後の計画などを整理していきます。研究科によって指定される内容や文字数は異なりますが、共通して意識したいのは「なぜ大学院という学術的な環境で研究する必要があるのか」という点です。
たとえば「会社で新規事業を担当しているので、イノベーションについて学びたい」だけでは、研修やビジネス書でもよいのではないかと思われる可能性があります。
そこで、実務で生まれた疑問を先行研究と照らし合わせ、既存研究では十分に明らかになっていない部分を整理します。そのうえで、どのような方法で調査・分析したいのかまで説明できると、研究計画としての具体性が高まります。
小論文では限られた時間で考えをまとめる力が問われる
研究科によっては、小論文が選考に含まれる場合があります。社会人の場合、仕事では文章を書いていても、入試小論文には慣れていないという方も少なくありません。
小論文では、知識量だけではなく、出題されたテーマを正しく理解し、自分の考えを根拠とともに整理して文章にする力が必要です。
対策としては、志望する研究科の専門分野に関する社会課題やニュースを日頃から確認し、「なぜこの問題が起きているのか」「自分ならどのように考えるか」を文章にする練習が役立ちます。
可能であれば過去問も確認し、出題傾向や制限時間、文字数を把握しておきましょう。本番と同じ時間を設定して実際に書いてみると、自分がどこで時間を使いすぎるのかも分かります。
口頭試問では研究計画書を自分の言葉で説明する
社会人特別選抜では、口頭試問や面接への準備も重要です。特に研究計画書を提出する入試では、そこに書いた内容について質問されることを想定しておく必要があります。
「なぜこのテーマなのですか」「なぜ同志社大学大学院なのですか」「なぜこの研究科・指導教員なのですか」「どのような方法で研究しますか」「仕事と大学院をどのように両立しますか」といった質問に、自分の言葉で答えられるようにしておきましょう。
研究計画書を何度も読んで覚えるだけでは十分ではありません。文章では説明できても、突然質問されるとうまく答えられないことがあります。実際に声に出し、1分程度で説明する練習や、追加質問を受ける練習をしておくと、本番でも落ち着いて対応しやすくなります。
「社会人経験が長い=有利」とは限らない
社会人特別選抜では実務経験が重要な材料になりますが、勤務年数が長ければ自動的に有利になるわけではありません。
10年以上のキャリアがあっても、研究したい内容とのつながりを説明できなければ、大学院進学の必要性が伝わりにくくなります。反対に、社会人経験が比較的短くても、明確な問題意識を持ち、研究テーマや方法を具体的に整理できていれば、説得力のある志望理由を作ることができます。
大切なのは、職歴の長さではなく、その経験から何を考え、何を研究したいと思うようになったのかです。これまでのキャリアを時系列で振り返り、繰り返し感じてきた疑問や、仕事だけでは解決できなかった課題を探してみるとよいでしょう。
出願資格と選考方法は研究科ごとに必ず確認
社会人特別選抜入試を検討する際、最初に確認したいのが出願資格です。「会社員として働いているから社会人入試を受けられる」とは限りません。
必要な実務経験年数や年齢、学歴などの条件が設定されている場合があります。また、選考方法についても、研究計画書、専門科目、小論文、外国語、口頭試問など、研究科によって組み合わせが異なります。
そのため、一般的な社会人入試の情報だけを参考にして準備を始めるのではなく、まず志望研究科の最新の募集要項を確認し、自分が出願資格を満たしているか、何を提出し、どの試験を受ける必要があるのかを整理しましょう。
仕事との両立まで考えて受験準備を進めよう

社会人大学院入試では、合格することだけでなく、入学後に研究を続けられるかという視点も重要です。同志社大学大学院では、研究科によって昼夜開講制や長期履修制度など、社会人が学びやすい仕組みが用意されています。
ただし、利用できる制度や条件は研究科によって異なります。授業が何時から始まるのか、土曜日にどの程度開講されるのか、職場からキャンパスまで何分かかるのか、週に何時間研究時間を確保できるのかまで具体的に考えておくことをおすすめします。
また、指導を希望する教員への事前連絡が必要か、推奨されているかについても、研究科ごとの案内を確認してください。自己判断で連絡するのではなく、入試要項や研究科の公式案内に沿って進めることが大切です。
社会人として積み重ねてきた経験は、大学院研究の大きな出発点になります。一般入試とは異なる選考方式を利用できる可能性があるからこそ、「試験が少ないから」という理由だけで選ぶのではなく、自分の実務経験をどのような研究へ発展させたいのかを丁寧に整理して受験準備を進めていきましょう。
この記事の内容は執筆時点の情報です。社会人特別選抜入試の実施研究科、出願資格、提出書類、筆記試験、小論文、口頭試問などの選考方法、事前コンタクトの要否、昼夜開講制・長期履修制度の利用条件は研究科や年度によって異なります。受験を検討する際は、必ず同志社大学の公式サイトおよび志望研究科の最新の入試要項をご確認ください。
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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。
この記事を監修した人
小杉 樹彦(こすぎ・たつひこ)
志樹舎 創業者/博士(学術)
慶應義塾大学院修了後、2015年1月に院試専門オンライン予備校「志樹舎」を設立。
代表講師として10〜60代まで延べ5,000人以上の受験生を指導。
早慶・国公立をはじめとする難関大学院で合格率9割超の実績を持つ。
現在は大学院入試対策の専門家として、テレビ・新聞・雑誌など幅広いメディアで活動中。
ロングセラー『減点されない!勝論文』(エール出版社)ほか著書・論文多数。



