関西学院大学大学院の若手研究者スタートアップ制度|博士課程修了後のキャリア支援を知ろう

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博士課程への進学を考えるとき、「博士号を取得したあと、研究者としてどのようなキャリアを歩めるのか」と不安に感じる方もいるのではないでしょうか。博士課程は修士課程よりも研究期間が長くなるため、進学前から修了後の働き方まで考えておくことが大切です。

関西学院大学には、博士課程後期課程の在学中から修了後まで、研究活動やキャリア形成を支える複数の制度があります。この記事では、2022年度から実施されている「若手研究者スタートアップ制度」を中心に、リサーチ・アシスタント制度や海外研究助成金など、博士人材を支える制度について整理します。


若手研究者スタートアップ制度とは

関西学院大学の若手研究者スタートアップ制度は、博士人材が研究を継続しながら大学教員・研究者としての経験を積めるよう支援する制度で、2022年度から実施されています。2024年4月時点では、すでに5名の採用実績があります。

対象となるのは、日本学術振興会の特別研究員であるDC1、DC2、PD、SPD、CPD、海外特別研究員としての採用期間を終了した方や、採用には至らなかったものの審査で高い評価を受けた方などです。条件を満たす関西学院大学出身の博士人材を、特別任用助教として採用する仕組みとなっています。

採用後は、自分の研究を続けながら授業を担当し、教育経験を積むことができます。博士号を取得した直後から専任教員として採用されるとは限らないなかで、研究実績と教育経験の両方を積める期間を確保できることは、研究者として次のキャリアを目指すうえで大きな意味があります。


年俸約400万円と個人研究補助費が支給される

若手研究者スタートアップ制度で特別任用助教として採用された場合、年俸はおよそ400万円程度とされ、これとは別に個人研究補助費として年額35万5千円が支給されます。研究活動を続けながら一定の収入を得られるため、博士課程修了後の生活と研究を両立するための支援にもなります。

所属先は、博士課程後期課程で在籍していた研究科、または特別研究員として採用されていた際の受入先となります。これまで取り組んできた研究とのつながりを保ちながら、次の研究実績を積んでいける点も特徴です。

公募は通常、年2回、3月と9月に実施されています。制度を将来利用したいと考えている方は、博士課程修了直前になって初めて調べるのではなく、在学中から採用条件や公募時期を確認しておくとよいでしょう。問い合わせ窓口は研究推進社会連携機構事務部の大学院担当で、西宮上ケ原キャンパス大学院2号館2階にあります。


博士課程在学中にはRA制度も利用できる

博士課程修了後だけでなく、在学中の研究活動を支える制度もあります。その一つがリサーチ・アシスタント制度です。博士課程後期課程の在学者が、特定の研究課題や共同研究プロジェクトに研究補助者として参加できる制度で、採用期間は1年間、更新も可能とされています。

支給額は月額10万円です。研究を続けながら収入を得られることに加え、教員や他の研究者と共同で研究を進める経験を積める点もメリットです。将来、大学や研究機関で働きたい方にとっては、自分一人で研究するだけでは得られない共同研究の進め方を学ぶ機会にもなります。

また、大学院生を対象とした教学補佐制度もあります。授業の補佐、研究室や図書室などの運営、教務事務の補助といった業務を担当しながら研究を続ける制度です。報酬は業務内容によって異なりますが、将来大学教員を目指す方にとって、教育や大学運営に関わる経験を積めることは大きな意味があります。


海外での研究活動には最大20万円の助成もある

博士課程後期課程で研究を続けていると、海外学会での発表や現地調査が必要になることもあります。そのような研究活動を支援する制度として、大学院海外研究助成金が用意されています。

対象となるのは、博士課程後期課程の在学者や大学院研究員などです。海外での学会発表は口頭発表だけでなくポスター発表も対象となり、海外調査や海外大学で行われる短期講習への参加にも利用できます。航空運賃、宿泊費、学会参加費、講習受講料などが補助対象となっています。

支給額には区分Aと区分Bがあり、区分Aは上限20万円、区分Bは上限10万円です。また、オンラインで海外学会に参加する場合についても、必要となる諸経費が助成対象になります。国際学会で研究成果を発表したい方は、研究計画を立てる段階でこうした助成制度の利用も検討するとよいでしょう。


博士課程修了後も研究環境を維持できる

博士課程後期課程を修了した方や、標準年限以上在学したうえで退学した方が研究を続けるための制度として、研究科研究員や大学院研究員も用意されています。年額10,000円、1学期あたり5,000円の負担で、図書館などの研究施設を継続して利用できます。

博士課程を終えたからといって、その瞬間に研究活動が終了するわけではありません。論文投稿や学会発表、次の研究職への応募など、修了後にも研究環境が必要になることがあります。大学の研究施設を利用しながら研究を続けられる制度を知っておくと、博士課程修了後の計画も立てやすくなります。


博士課程への進学は修了後まで見据えて考えよう

博士課程を志望する際は、入試に合格することだけでなく、在学中の研究費や生活費、修了後のキャリアまで含めて考えることが重要です。関西学院大学では、在学中にはリサーチ・アシスタント制度や教学補佐制度、海外研究助成金があり、修了後には若手研究者スタートアップ制度や研究員制度があります。

ただし、こうした制度は誰でも自動的に利用できるものではなく、それぞれに応募条件や選考があります。博士課程への進学を検討している段階から、自分が利用できる可能性のある制度を調べ、応募に必要な研究実績や条件を確認しておくことが大切です。

まずは志望研究科の研究内容や指導教員を調べるとともに、博士課程在学中に利用できる支援制度と、修了後のキャリア支援制度を書き出してみましょう。研究テーマ、経済面、修了後の進路を一緒に考えておくことで、博士課程への進学をより具体的な選択肢として検討しやすくなります。


本記事の内容は執筆時点の情報をもとにしています。若手研究者スタートアップ制度をはじめ、採用条件、支給額、公募時期、研究支援制度などは変更される場合があります。また、入試日程、出願期間、試験内容、必要書類についても変更される可能性があるため、必ず関西学院大学大学院の公式サイトおよび対象年度の最新の募集要項をご確認ください。

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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。

この記事を監修した人

小杉樹彦(志樹舎 創業者)

小杉 樹彦(こすぎ・たつひこ)
志樹舎 創業者/博士(学術)
慶應義塾大学院修了後、2015年1月に院試専門オンライン予備校「志樹舎」を設立。 代表講師として10〜60代まで延べ5,000人以上の受験生を指導。 早慶・国公立をはじめとする難関大学院で合格率9割超の実績を持つ。 現在は大学院入試対策の専門家として、テレビ・新聞・雑誌など幅広いメディアで活動中。 ロングセラー『減点されない!勝論文』(エール出版社)ほか著書・論文多数。