研究計画書の終盤にある「予想される結果(仮説)」の項目。 ここでペンが止まる受験生が続出します。

「まだ研究してないんだから、結果なんてわかるわけないじゃん!」 「わかってるなら研究する必要ないでしょ?」

その素朴な疑問はもっともです。しかし、研究の世界においては、「結果はわからないが、仮説(Hypothesis)はある」という状態が求められます。 仮説なき調査は、単なる「当てずっぽう」であり、科学ではないからです。

今回は、未来の結論を論理的に予言する「仮説構築力」について解説します。

1. 「仮説」と「結論」の違い

多くの人が混同していますが、この二つは別物です。

結論(Conclusion): データを分析した結果、確定した事実。「AはBであった」。

仮説(Hypothesis): 先行研究や理論から論理的に推測される予測。「理論Cに基づけば、AはBになるはずである」。

教授が求めているのは、「正解」ではありません。「論理的な推測」です。 「なぜ、そのような結果になると予想したのか?」という導出プロセスを見ています。

2. 「If - Then」の構文で作る

仮説の作り方はシンプルです。先行研究を使います。

「先行研究Xによれば、人間は報酬が増えるとモチベーションが上がる(理論)。 今回の調査対象であるボランティア活動は、金銭的報酬がない(条件)。 したがって(If)、ボランティアにおいては、金銭以外の『感謝の言葉』が報酬の代替機能となり、モチベーションと正の相関を示すだろう(Then / 仮説)。」

このように、既存の理論を今回のケースに当てはめて、「こうなるはずだ」と言い切ってください。これが研究の羅針盤になります。

3. 仮説が外れた場合

「予想と違う結果が出たら研究失敗ではないか」と心配する必要はありません。

理論と異なる結果が出た場合、その理由を探ること自体が新しい発見につながります。

計画書の段階では、論理的な仮説を提示し、想定外の結果が出た場合の視点も示せると評価が高まります。

4. 探索的研究の場合

探索的研究では、明確な仮説を立てにくいこともあります。

その場合は、どのような知見やモデルが得られるかという「研究の成果物」を提示します。

まとめ:仮説は研究の地図

仮説は、研究を進めるための道しるべです。

明確な仮説があることで、調査の方向性が定まり、結果の解釈にも意味が生まれます。

論理的に筋の通った予測を示すことが、研究計画書の説得力を高めます。

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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。

この記事を監修した人

小杉樹彦(志樹舎 創業者)

小杉 樹彦(こすぎ・たつひこ)
志樹舎 創業者/博士(学術)
慶應義塾大学院修了後、2015年1月に院試専門オンライン予備校「志樹舎」を設立。 代表講師として10〜60代まで延べ5,000人以上の受験生を指導。 早慶・国公立をはじめとする難関大学院で合格率9割超の実績を持つ。 現在は大学院入試対策の専門家として、テレビ・新聞・雑誌など幅広いメディアで活動中。 ロングセラー『減点されない!勝論文』(エール出版社)ほか著書・論文多数。