横浜国立大学大学院・都市イノベーション学府の過去問傾向と対策|解答例の公開期間に注意
横浜国立大学大学院の都市イノベーション学府を志望している方の中には、「過去問はどこで入手できるのか」「建築系と都市基盤系では試験内容がどのように違うのか」と疑問を持っている方もいるのではないでしょうか。
都市イノベーション学府は、建築学、都市計画、土木工学、人文・社会科学、国際社会、文化・芸術などを横断しながら、都市が抱える課題を研究する大学院です。工学系の計算問題だけでなく、論述、実技、作品審査などが課されることもあり、志望するコースや系によって入試内容が大きく異なります。
そのため、入試対策では、自分が受験する系の募集要項と過去問を正確に確認することが重要です。この記事では、都市イノベーション学府の専攻構成、過去問の入手方法、解答例や出題意図の公開期間、系ごとの対策について解説します。
都市イノベーション学府の専攻とコース
都市イノベーション学府の博士課程前期には、建築都市文化専攻と都市地域社会専攻があります。
建築都市文化専攻では、建築系の専門分野を扱う建築都市文化コースのほか、建築都市デザインコースのY-GSA、都市文化を学ぶコースなどが設けられています。
都市地域社会専攻では、都市基盤系、地域社会系、国際的な都市基盤分野を学ぶコースなどが用意されています。博士課程後期には、都市イノベーション専攻が設けられています。
建築都市文化専攻の建築系では、建築計画、都市計画、建築史、建築構造、環境工学など、志望教員の専門分野に応じた試験科目を選ぶことがあります。
一方、都市基盤系では、構造、水工、地盤、交通、計画など、土木工学に関する専門知識が求められる場合があります。Y-GSAでは建築デザインに関する能力、都市文化系や地域社会系では、都市や地域を人文・社会科学の視点から考える力が重視されます。
同じ学府であっても、必要な対策はまったく異なります。最初に志望教員を決め、その教員の研究指導を受けるためには、どのコースや系の問題を受験する必要があるのかを確認しましょう。
過去問はコースや系ごとに確認する
都市イノベーション学府の過去の入試問題は、公式サイトの受験生向け情報ページなどで案内されています。コースや系ごとにPDF形式で掲載されることがあるため、自分が受験する問題を間違えないようにしてください。
過去問を確認するときは、試験年度だけでなく、4月入学か10月入学か、夏期募集か冬期募集か、博士課程前期か後期かも確認します。
また、募集が行われなかった年度や、志願者がいなかった年度には、試験問題が作成されていない場合があります。年度によって掲載されている問題数が異なっていても、必ずしも公開漏れとは限りません。
過去問を入手したら、まず3年分程度を並べ、出題科目、問題数、選択方法、試験時間、解答用紙の形式を整理しましょう。
同じ分野から繰り返し出題されている場合でも、翌年度に同じ問題が出るとは限りません。過去問に出た範囲だけを暗記するのではなく、周辺分野まで教科書や専門書で復習する必要があります。
解答例と出題意図には公開期間がある
都市イノベーション学府の過去問対策で特に注意したいのが、解答例や出題意図の公開期間です。
過去の案内では、建築系問題や都市基盤系問題などについて、解答例や出題意図を公開日から2週間程度に限って掲載する場合がありました。
一方、都市文化系、Y-GSA、地域社会系などでは、試験を実施した翌年度の4月から1年間を目安として公開するなど、異なる期間が設定されることがあります。
公開期間が終了すると、公式サイトから閲覧できなくなる可能性があります。「受験勉強を始めるときにまとめて確認しよう」と考えていると、必要な資料を入手できないこともあります。
志望する系の解答例や出題意図が公開されたら、利用条件を確認したうえで、個人の入試対策に必要な範囲で早めに保存しておきましょう。
なお、過去問や解答例には著作権があります。無断転載、販売、第三者への配布などは避け、大学が示す利用条件を守って使用してください。
中央図書館でも過去問を閲覧できる
都市イノベーション学府の過去問は、横浜国立大学の附属図書館でも閲覧できる場合があります。公式サイトで入手できない年度の問題を確認したい方は、中央図書館の利用を検討しましょう。
附属図書館では、大学院入試の筆記試験問題が公開されており、学外者でも閲覧や複写が認められる場合があります。
利用する際は、学生証、運転免許証、マイナンバーカードなど、本人確認ができる身分証明書を持参しましょう。閲覧できる年度、複写の可否、受付時間、休館日は変更される可能性があるため、訪問前に図書館の案内を確認することが大切です。
また、図書館で閲覧できるのは主に筆記試験問題です。解答例や出題意図、面接内容まで保管されているとは限らない点には注意してください。
建築系では選択科目と志望教員を確認する
建築系の入試では、建築計画、都市計画、建築史、建築構造、環境工学など、複数の専門分野から問題を選択する場合があります。
志望する教員によって、選択しなければならない科目が指定されることもあります。自分の得意科目だけを選べるとは限らないため、募集要項に掲載される教員一覧と専門科目の対応を確認してください。
例えば、建築構造を専門とする教員を志望する場合は、構造力学や構造計画などの科目を含めて選択する必要がある可能性があります。都市計画を専門とする教員であれば、都市計画に関する論述や専門知識が求められることがあります。
計算科目は、公式を覚えるだけでなく、制限時間内に途中式を整理して解く練習が必要です。論述科目は、専門用語の説明、歴史的な背景、現在の都市問題との関係までまとめられるようにしましょう。
Y-GSAでは作品と考え方を伝える準備が必要
建築都市デザインコースのY-GSAを志望する場合は、一般的な筆記試験だけでなく、建築デザインに関する実技や作品審査などが行われる可能性があります。
ポートフォリオを提出する場合は、完成した作品の見栄えだけでなく、課題の発見、設計の考え方、検討過程、最終案へ至るまでの流れを示すことが重要です。
面接では、「なぜこの形にしたのか」「敷地や利用者をどのように捉えたのか」「社会課題と設計をどう結び付けたのか」といった質問が想定されます。
自分の作品について、図面や模型を見せなければ説明できない状態では不十分です。作品の目的と特徴を、短い時間で言葉にできるように準備しましょう。
都市基盤系では計算力と基礎理論を固める
都市基盤系では、数学、物理、構造力学、水理学、地盤工学、交通工学、都市計画など、土木工学に関する問題が出題される場合があります。
計算問題では、答えが合っていることだけでなく、考え方や途中式も重要です。基本的な公式を使う問題であっても、条件の読み違いや単位の変換ミスによって失点することがあります。
過去問を解く際は、正解できたかどうかだけでなく、どの知識を使う問題だったのか、なぜその式を立てるのかまで説明できるようにしましょう。
試験時間を設定して解く練習を行い、知識不足、計算ミス、時間不足に分けて原因を整理すると、次に復習すべき内容が明確になります。
都市文化系や地域社会系では論述力を磨く
都市文化系や地域社会系を志望する場合は、都市や地域に関する専門知識に加えて、課題を論理的に分析する力が必要です。
例えば、人口減少、地域コミュニティ、移民、文化政策、観光、まちづくり、都市の歴史などが論点になることがあります。
論述問題では、自分の意見だけを書くのではなく、関連する理論、先行研究、具体的な事例を使って説明します。
過去問を解いた後は、専門書や論文を確認しながら自分で解答例を作りましょう。800字、1,000字などの字数を設定し、決められた時間内に結論まで書き切る練習も効果的です。
入試説明会が行われない系にも注意する
都市イノベーション学府では、学府全体で一括した説明会を行わず、コースや系ごとに案内する年度があります。
また、博士課程前期の建築都市文化専攻における建築系問題や、博士課程後期の建築系問題などでは、入試説明会を実施しないと案内される場合があります。
説明会がない場合は、募集要項、教員紹介、過去問、アドミッション・ポリシーを自分で読み込み、必要に応じて志望教員やコースの問い合わせ先へ連絡しましょう。
募集要項では、研究内容について出願前に志望教員または担当教員へ相談するよう求められる場合もあります。連絡するときは、所属、現在の研究内容、志望理由、大学院で取り組みたいテーマを簡潔にまとめてください。
研究計画書と過去問対策を並行して進めよう
都市イノベーション学府の入試では、専門科目だけでなく、研究計画書や口述試験も重要です。
研究計画書では、「都市に興味がある」「地域を活性化したい」といった広い表現だけで終わらせず、対象地域、課題、研究方法を具体的にします。
例えば、空き家問題を扱う場合は、特定地域の空き家分布を分析するのか、所有者への聞き取りを行うのか、活用制度を比較するのかによって研究内容が変わります。
建築や都市基盤を研究する場合も、設計や技術開発の目的、その方法を使う理由、期待できる効果まで説明する必要があります。
過去問で専門知識を確認しながら、研究計画書の中で不足している理論や方法を学び直すと、筆記試験と面接の対策を効率よく進められます。
公開期間を逃さず必要な情報を集めよう
横浜国立大学大学院の都市イノベーション学府は、建築、都市計画、土木工学、人文・社会科学、文化などを横断して都市の課題を研究できる大学院です。
一方で、コースや系によって試験科目や選考方法が大きく異なります。まずは志望教員と受験する系を確認し、その系に対応する募集要項と過去問を入手しましょう。
解答例や出題意図は公開期間が限られる場合があるため、公式サイトを定期的に確認することも大切です。ウェブ上で確認できない過去問については、附属図書館での閲覧も検討してください。
過去問の分析、専門科目の復習、研究計画書の作成、志望教員への事前相談を並行して進めることが、都市イノベーション学府の入試を突破するための重要な準備になります。
※専攻やコースの構成、入試方式、試験科目、過去問および解答例の公開方法・公開期間、図書館での閲覧条件、入試説明会の実施状況などは年度によって変更される場合があります。必ず最新の公式サイトと学生募集要項をご確認ください。
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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。
この記事を監修した人
小杉 樹彦(こすぎ・たつひこ)
志樹舎 創業者/博士(学術)
慶應義塾大学院修了後、2015年1月に院試専門オンライン予備校「志樹舎」を設立。
代表講師として10〜60代まで延べ5,000人以上の受験生を指導。
早慶・国公立をはじめとする難関大学院で合格率9割超の実績を持つ。
現在は大学院入試対策の専門家として、テレビ・新聞・雑誌など幅広いメディアで活動中。
ロングセラー『減点されない!勝論文』(エール出版社)ほか著書・論文多数。



