
大学院入試の研究計画書、何から書けばいいのか
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今回のテーマは「大学院入試の研究計画書、何から書けばいいのか」です。
大学院入試の準備で、多くの受験生が悩むのが研究計画書です。「研究したいことは何となくあるけれど、文章にできない」「最初の一文から手が止まってしまう」という方も少なくありません。
研究計画書は、最初から完成した文章を書こうとすると難しく感じます。まずは研究したいことを整理し、テーマ、問題意識、先行研究、研究方法という順番で少しずつ形にしていくことが大切です。この記事では、研究計画書を何から始めればよいのか、具体的な手順を整理します。
最初から文章を書こうとしない
研究計画書を作るとき、最初にやるべきことは本文を書くことではありません。まずは自分が興味を持っていることや、大学院で調べてみたいことをメモに書き出してみましょう。
例えば、「SNSと若者のコミュニケーション」「地域の防災」「外国語教育」「企業の人材育成」など、最初は大きなテーマでも構いません。そこから、「何が気になっているのか」「なぜ気になるのか」「誰を対象にしたいのか」を掘り下げていきます。
いきなりきれいな文章にしようとせず、まずは5個から10個程度の疑問を書き出すと、自分の問題意識が見えやすくなります。
研究テーマを一文で説明できる形にする
研究計画書では、自分が何を研究したいのかが読み手に伝わる必要があります。「教育について研究したい」「社会問題を研究したい」だけでは、研究対象が広すぎます。
例えば「外国語教育」から、「高校生の英語授業におけるスピーキング活動が学習意欲に与える影響」のように、対象と調べたい内容を具体化していきます。
研究テーマを考えるときは、「誰や何を対象にするのか」「どのような問題を扱うのか」「何を明らかにしたいのか」の3点を意識してみてください。この3つを一文で説明できるようになると、研究計画書全体の方向性も定まりやすくなります。
なぜそのテーマを研究するのかを整理する
テーマが決まったら、次に考えたいのが研究する理由です。ここでは、自分の経験だけを書くのではなく、その経験からどのような問題意識を持ったのかまで説明します。
例えば、仕事で人材育成に関わった経験がある場合、「研修を担当していたから研究したい」で終わるのではなく、「同じ研修を受けても成果に差が生まれることに疑問を感じ、その要因を明らかにしたい」とすると、研究につながる問いが見えてきます。
個人的な経験は研究テーマを考えるきっかけとして有効ですが、研究計画書では、その疑問が自分だけの問題ではなく、社会や学問の中でどのような意味を持つのかまで考えていきましょう。
先行研究を調べて自分の研究の位置を確認する
研究したいことが見えてきたら、次に先行研究を調べます。自分が気づいた問題について、すでに他の研究者が詳しく研究している場合もあります。
まずは研究テーマに関係するキーワードを2つから4つ程度決め、論文や書籍を探してみましょう。見つけた論文を読みながら、「すでに何が分かっているのか」「まだ十分に検討されていないことは何か」を整理します。
先行研究は数を集めることが目的ではありません。自分の研究が、これまでの研究に対してどのような問いを加えるのかを考えるために読みます。最初からすべてを理解しようとせず、自分のテーマに特に近い研究から確認していくと進めやすくなります。
研究方法まで具体的に考える
研究計画書では、「何を研究したいか」だけでなく、「どのように調べるのか」も重要です。アンケート、インタビュー、実験、文献調査、事例分析など、テーマによって適した研究方法は異なります。
例えば大学生の就職活動について研究する場合でも、学生へのアンケートを行うのか、インタビューを行うのか、企業の採用資料を分析するのかによって研究の内容は変わります。
研究対象、必要なデータ、収集方法、分析方法を順番に考えてみましょう。大学院入学後に実際に実施できる規模なのかという視点も大切です。
指導を受けたい教員の研究を確認する
研究テーマの方向性が固まってきたら、志望する研究科の教員を調べます。教員紹介ページの専門分野だけを見るのではなく、可能であれば最近の論文や著書にも目を通しておきましょう。
同じ「教育」や「経営」を研究している教員でも、対象や研究方法は大きく異なる場合があります。自分のテーマと教員の研究がどこで重なるのかを確認することが重要です。
研究計画書をすべて完成させてから教員を探すのではなく、テーマを絞る段階から教員の研究内容を確認すると、志望研究科で実際に研究できるテーマなのかを判断しやすくなります。
研究計画書の基本的な流れを作る
材料が集まったら、文章を書く前に全体の流れを作ります。まず研究テーマを示し、そのテーマを選んだ背景や問題意識を説明します。次に先行研究を整理し、これまでの研究では十分に明らかになっていない点を示します。
そのうえで、自分が何を明らかにしたいのかという研究目的を示し、研究対象や研究方法を説明します。最後に、大学院でその研究に取り組む意味や、志望する研究科・教員との関連を整理します。
最初から文章量を増やすのではなく、それぞれの項目について2〜3行程度のメモを作ってから本文にしていくと、話の流れが崩れにくくなります。
抽象的な言葉は具体的な言葉に置き換える
研究計画書では、「社会に貢献したい」「深く研究したい」「現代社会では重要である」といった抽象的な表現を使いすぎないようにしましょう。
例えば「若者のSNS利用について深く研究したい」ではなく、「大学生のSNS利用時間と対人関係への不安との関係を調べたい」とすると、何を研究するのかが具体的になります。
自分が書いた文章を読み返し、「誰のことか」「何を調べるのか」「何と何を比較するのか」が読み手に分かるかを確認すると、抽象的な部分を見つけやすくなります。
書き出しは無理に印象的にしなくてもよい
研究計画書の冒頭を印象的にしようとして、長いエピソードから書き始める必要はありません。読み手が知りたいのは、受験生が何を研究したいのか、その研究にどのような意味があるのかという点です。
自分の経験が研究テーマにつながっている場合は、その経験を簡潔に示し、すぐに問題意識へつなげると読みやすくなります。書き出しに時間をかけすぎるよりも、研究テーマと目的が明確に伝わることを優先しましょう。
タイトルは本文を書いた後にも見直す
研究計画書では、研究内容を示すタイトルが必要になる場合があります。タイトルは研究対象や研究内容がある程度分かるものにすると、読み手も内容を理解しやすくなります。
最初に仮タイトルを付けておき、本文を書き終えた後にもう一度見直す方法がおすすめです。研究を整理するうちに対象や方法が変わることもあるため、最初に決めたタイトルに無理に本文を合わせる必要はありません。
募集要項の文字数と様式を必ず確認する
研究計画書は大学院や研究科によって、文字数、用紙、記載項目、提出形式などが異なります。内容を考える前に、志望する研究科の募集要項や指定様式を確認しておきましょう。
せっかく研究計画書を作っても、指定された文字数を大きく超えていたり、必要な項目が抜けていたりすると、出願直前に大幅な修正が必要になります。
研究計画書だけでなく、出願期間や必要書類についても同時に確認し、完成期限を出願締切より前に設定しておくことが大切です。
研究計画書は何度も書き直して完成させる
研究計画書は、一度書いて完成するものではありません。最初の原稿では、自分では分かっているつもりでも、読み手には伝わらない部分が多く残ります。
一度書いたら数日置いて読み直し、「研究目的が一文で説明できるか」「先行研究と自分の研究の違いが分かるか」「研究方法が現実的か」を確認してみましょう。可能であれば、他の人にも読んでもらい、分かりにくい部分を聞いてみることも有効です。
出願直前に初稿を書くのではなく、余裕を持って書き始め、修正する時間を確保しておくことが重要です。
まずは研究したい疑問を3つ書き出してみよう
研究計画書で手が止まっている方は、今日から完成した文章を書こうとしなくても大丈夫です。まずは「大学院で調べてみたい疑問」を3つ書き出してみてください。
その中から最も関心のあるものを一つ選び、「なぜ気になるのか」「誰や何を対象にするのか」「何を明らかにしたいのか」をそれぞれ一文で書いてみましょう。次に関連する論文を数本探し、志望研究科の教員の研究内容を確認します。
この作業だけでも、漠然としていた関心が研究テーマの形に近づいてきます。研究計画書は、思いつきを一気に文章にするのではなく、小さな問いを一つずつ整理しながら作っていきましょう。
※研究計画書の文字数、様式、記載項目、評価方法、入試日程、出願期間、試験内容、必要書類などは大学院・研究科や年度によって変更される場合があります。作成や出願を進める際は、必ず志望する大学院の公式サイトおよび対象年度の最新の募集要項をご確認ください。
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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。
この記事を監修した人
小杉 樹彦(こすぎ・たつひこ)
志樹舎 創業者/博士(学術)
慶應義塾大学院修了後、2015年1月に院試専門オンライン予備校「志樹舎」を設立。
代表講師として10〜60代まで延べ5,000人以上の受験生を指導。
早慶・国公立をはじめとする難関大学院で合格率9割超の実績を持つ。
現在は大学院入試対策の専門家として、テレビ・新聞・雑誌など幅広いメディアで活動中。
ロングセラー『減点されない!勝論文』(エール出版社)ほか著書・論文多数。



