
大学院進学は転職に役立つ?キャリアアップとの関係
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「大学院に進学すれば、転職で有利になるのだろうか」「MBAを取得すると管理職になりやすいのだろうか」「今とは違う分野に挑戦するために、大学院で学び直す意味はあるのだろうか」。
社会人が大学院進学を考えるとき、こうした疑問を持つことがあります。
大学院では、専門知識を深めたり、研究を通じて問題を分析する力を養ったりすることができます。仕事で経験してきたことを、学問的な視点から捉え直せることも魅力です。
一方、大学院を修了したからといって、必ず希望する企業へ転職できるわけではありません。中途採用では、学歴だけでなく、実務経験や仕事での成果などが重視される場合があります。
志樹舎では、大学院進学を単に学歴を追加するための選択ではなく、自分の専門性や将来の方向性を見つめ直す機会として捉えています。
今回は、大学院進学と転職・キャリアアップの関係を整理しながら、社会人が進学前に考えておきたいポイントを解説します。
大学院進学は転職に有利になるのか
大学院進学が転職に役立つかどうかは、希望する仕事と大学院で学ぶ内容の関係によって異なります。
例えば、企業で情報システムの仕事をしてきた人が、大学院でデータ分析や人工知能について学ぶ場合があります。
その人が、大学院で身につけた知識を生かせる仕事への転職を目指すのであれば、研究経験が評価される可能性があります。
また、人事部門で働いてきた人が、大学院で組織行動や人材開発について研究することも考えられます。
この場合、これまでの実務経験と大学院で得た専門知識を結びつけることで、自分の強みを説明しやすくなるでしょう。
ただし、大学院で研究した内容と希望する仕事の関係が薄い場合には、学位取得が直接的な強みにならないこともあります。
重要なのは、大学院を修了したという事実だけではありません。そこで何を学び、何ができるようになったのかを、応募先の仕事と結びつけて説明できるかどうかです。
転職を目的に大学院へ進学する前に考えたいこと
転職のために大学院進学を検討している場合、まずは希望する仕事で何が求められているのかを調べてみましょう。
例えば、データ分析に関わる仕事では、統計学やプログラミングの知識、実務での分析経験などが求められる場合があります。
経営企画に関わる仕事では、経営に関する知識だけでなく、事業計画の作成や財務分析などの経験が評価されることもあるでしょう。
こうした採用条件を確認すると、大学院で学ぶことが必要なのか、別の方法で知識や技能を身につけるほうが適しているのかを考えやすくなります。
例えば、特定の資格や技能を短期間で身につけたい場合には、資格取得や専門的な研修が適していることもあります。
一方、専門分野を体系的に学び、研究活動にも取り組みたい場合には、大学院進学が有力な選択肢になるでしょう。
大学院に進学すること自体を目標にするのではなく、目指すキャリアから逆算して、必要な学びを考えることが大切です。

キャリアアップとキャリアチェンジはどう違う?
大学院進学と仕事の関係を考える際には、キャリアアップとキャリアチェンジを分けて考えると役立ちます。
キャリアアップとは、一般的に、現在の仕事に関連する専門性を高めたり、より責任のある役割を担ったりすることを指します。
例えば、営業職として経験を積んできた人が、経営学を学び、営業部門のマネジメントや事業企画に関わる仕事を目指す場合です。
一方、キャリアチェンジは、これまでとは異なる職種や分野へ進むことを指す場合が多い言葉です。
例えば、営業職として働いてきた人が、大学院で教育学を学び、教育関連の仕事を目指すことなどが考えられます。
キャリアアップでは、これまでの経験をどのように発展させるかが重要になります。
一方、キャリアチェンジでは、新しい分野で求められる知識や技能を確認し、不足している部分を補う必要があります。
同じ大学院進学でも、何を目指すかによって選ぶべき研究科や準備の方法は変わります。
現在の仕事と大学院での学びを結びつける
現在の仕事と関係する分野を大学院で学ぶ場合、これまでの実務経験を新しい知識と結びつけられることがあります。
例えば、マーケティングを担当している人が、大学院で消費者行動や市場分析について研究する場合です。
仕事では、商品の売上や顧客の反応などをもとに施策を考えることが多いでしょう。
大学院では、消費者行動に関する理論や研究方法を学び、顧客の行動を別の視点から分析することができます。
また、人事部門で働く人が組織行動や人材開発について研究すれば、社員の育成や組織運営を理論的に考える機会を得られるかもしれません。
ただし、大学院で得た知識が、すぐに仕事の成果として現れるとは限りません。
学んだ内容を実務でどのように活用するのかを考え、試行錯誤を重ねることが重要です。
未経験の分野への転職に大学院は役立つ?
これまで経験したことのない分野へ転職したい場合、大学院で学び直すことが一つの方法になる場合があります。
例えば、文学部を卒業して企業で働いてきた人が、情報科学に興味を持ち、大学院でデータ分析を学びたいと考えることがあります。
また、技術職として働いてきた人が、経営学の大学院で学び、事業企画や経営に関わる仕事を目指す場合もあるでしょう。
ただし、大学院によっては、入学時点で一定の専門知識が求められることがあります。
情報科学では数学やプログラミング、経済学では経済理論や統計学などの基礎知識が必要になる場合があります。
異分野からの進学を考える場合には、出願資格や入試科目、入学後に必要な知識を確認することが大切です。
さらに、大学院を修了しても、未経験の職種への転職が保証されるわけではありません。
新しい分野に挑戦するなら、大学院での学びに加えて、実務経験や資格など、何が必要になるのかも調べておきましょう。
MBAを取得すると管理職になれる?
社会人が大学院進学を考える際には、MBAに関心を持つこともあるでしょう。
MBAは、経営学修士を意味する学位の名称として使われています。日本では、大学院の課程によって、修士(経営学)や経営管理修士(専門職)など、授与される学位の正式名称が異なります。
MBAプログラムでは、経営戦略、マーケティング、会計、財務、組織運営など、経営に関する幅広い分野を学ぶことがあります。
例えば、管理職を目指している人が、経営学の理論や事例を学び、組織運営について考えることができます。
また、将来の起業を考えている人が、事業計画や経営判断について学ぶこともあるでしょう。
ただし、MBAを取得すれば必ず管理職になれるわけではありません。昇進や採用では、企業ごとの人事制度や、実務経験、仕事での成果なども関係します。
志樹舎では、MBAを肩書きとして捉えるだけでなく、経営上の問題を自分で発見し、考え、判断する力を磨く機会として考えることが重要だと捉えています。
「MBAを取れば何が変わるか」だけではなく、「MBAで何を学び、自分は何を変えたいのか」を考えてみましょう。

大学院での研究経験を転職活動でどう伝える?
大学院で学んだことを転職活動で生かすには、研究内容をわかりやすく説明できることが重要です。
例えば、「大学院で組織行動を研究しました」と伝えるだけでは、どのような経験を積んだのかが伝わりにくい場合があります。
そこで、研究の背景や目的、調査方法、得られた結果を整理して説明するとよいでしょう。
例えば、「社員の働きがいに関心を持ち、先行研究を調べたうえで、組織内のコミュニケーションについて分析しました」と説明することが考えられます。
さらに、その研究を通じて、どのような知識や能力を身につけたのかを伝えることも大切です。
情報を整理する力、データを分析する力、根拠をもとに考える力などが挙げられます。
ただし、研究経験を説明する際には、実際に経験していないことまで強調しないようにしましょう。
研究の結果だけでなく、途中で直面した問題や、その問題にどう向き合ったのかも、自分の学びを伝える材料になります。
大学院での出会いはキャリアの可能性を広げる?
大学院では、自分とは異なる業界や職種で働く人と出会う機会があります。
例えば、経営学の大学院では、営業、人事、財務、技術開発など、さまざまな仕事を経験してきた社会人が同じ授業で学ぶ場合があります。
また、大学院によっては、企業や自治体などと連携した授業や研究活動が行われることもあります。
こうした環境で学ぶことは、自分の仕事とは異なる考え方や経験に触れる機会になるでしょう。
ただし、大学院で知り合いが増えたからといって、必ず転職先が見つかるわけではありません。
人とのつながりを転職の手段として考えるだけでなく、互いの経験や知識から学ぶ姿勢が大切です。
自分とは異なる立場の人と議論することで、これまで当たり前だと思っていた考え方を見直すこともあります。
そうした経験は、将来のキャリアを考えるうえでも意味を持つでしょう。
働きながら大学院に通う経験は評価される?
社会人が仕事を続けながら大学院に通う場合、仕事と学業を両立した経験が、自分の強みになることがあります。
平日は仕事をしながら、夜間や休日に授業を受け、研究活動を続けるには、時間管理や計画的な行動が必要になります。
また、仕事で得た経験を研究に生かし、大学院で学んだ知識を仕事に取り入れることも考えられます。
こうした経験は、転職活動で自分の学習意欲や課題への取り組み方を説明する材料になる場合があります。
ただし、働きながら大学院を修了したことだけで、採用上の評価が高くなるとは限りません。
重要なのは、大学院で何を学び、仕事とどのように結びつけてきたのかを具体的に伝えることです。
また、仕事と学業の両立には負担もあります。進学前には、授業時間や研究活動に必要な時間を確認し、無理なく学べるかどうかを考えましょう。
転職のために退職して大学院へ進学するべき?
大学院進学を考える社会人の中には、仕事を辞めて学業に専念するか、働きながら通うかで迷う方もいるでしょう。
退職して大学院へ進学する場合、授業や研究に使える時間を確保しやすくなる可能性があります。
一方、在学中の給与収入がなくなる場合には、学費や生活費をどのように負担するのかを考える必要があります。
また、大学院修了後に転職を目指す場合、希望する仕事に就けるまでの期間も考慮しておくことが大切です。
働きながら大学院へ通う場合は、収入を維持しながら学べる可能性がありますが、仕事と研究を両立する負担があります。
どちらが適しているかは、現在の仕事の状況や経済的な条件、研究内容などによって異なります。
進学前には、大学院の授業形態や学費、利用できる支援制度などを確認し、自分に合った方法を検討しましょう。

大学院進学をキャリアに生かすための3つの視点
大学院への進学を転職やキャリアアップにつなげたい場合には、三つの視点から考えてみましょう。
一つ目は、将来どのような仕事をしたいのかを明確にすることです。
現在の仕事で専門性を高めたいのか、新しい職種へ挑戦したいのかによって、必要な学びは異なります。
二つ目は、その仕事で求められる知識や能力を調べることです。
企業の採用情報や職種の仕事内容を確認し、大学院で学ぶ内容がどのように役立つのかを考えましょう。
三つ目は、大学院での学びを具体的な経験として説明できるようにすることです。
研究テーマや取得した学位だけでなく、どのような課題に取り組み、何を学んだのかを整理しておくことが重要です。
この三つを意識することで、大学院進学を単なる学歴の追加ではなく、将来のキャリアにつながる学びとして考えやすくなります。
大学院に進学しないほうがよい場合もある?
転職やキャリアアップを考える場合、大学院進学が必ずしも最適な方法とは限りません。
例えば、希望する仕事で特定の資格が必要な場合には、まず資格取得を目指すほうが適していることもあります。
また、実務経験が重視される職種では、大学院で学ぶよりも、現在の仕事で経験を積むことが重要になる場合があります。
さらに、短期間で特定の技能を身につけたい場合には、専門的な研修やオンライン講座などが適していることもあるでしょう。
大学院では、専門分野について体系的に学び、研究活動に取り組むことができます。
その一方で、学費や時間が必要であり、研究内容によっては仕事への直接的な効果が見えにくい場合もあります。
志樹舎では、大学院進学を勧めること自体が目的ではなく、一人ひとりが自分の目標に合った進路を選べることが重要だと考えています。
進学するかどうかを考える際には、大学院でしか得にくい経験が何なのかを整理し、他の学習方法とも比較してみましょう。
まとめ|大学院進学を転職やキャリアアップにつなげるには
大学院進学は、転職やキャリアアップを考える社会人にとって、一つの選択肢になります。
専門知識を深めたり、仕事で感じた疑問を研究したりすることで、これまでの経験を新しい視点から捉え直すことができます。
また、研究活動を通じて身につけた分析力や問題解決に向けた考え方などが、仕事に役立つ可能性もあります。
一方、大学院を修了したからといって、必ず希望する企業へ転職できるわけではありません。昇進やキャリアチェンジが保証されるものでもありません。
大学院進学をキャリア形成につなげたい場合には、まず将来の目標を整理し、その仕事で求められる知識や能力を確認することが大切です。
そして、大学院で学ぶ内容と自分の実務経験をどのように結びつけられるのかを考えてみましょう。
大学院は、過去の経歴を飾るためだけの場所ではありません。これまでの経験を問い直し、これからの自分が何に取り組みたいのかを考える場所にもなります。
次回は「大学院で得られるのは学位だけではない|研究を通じて身につく力」をテーマに、大学院での研究活動を通じて養われる能力について、さらに詳しく解説します。
※大学院の研究内容、出願資格、入試制度、学費、授業形態、修了後の進路などは大学院・研究科によって異なります。また、企業の採用条件や評価基準も異なります。最新の情報は、各大学院や企業の公式サイト、募集要項、採用情報などで必ずご確認ください。
志樹舎
では、大学院入試の各種対策に特化した専門性の高いサポートを行っています。
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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。
この記事を監修した人
小杉 樹彦(こすぎ・たつひこ)
志樹舎 創業者/博士(学術)
慶應義塾大学院修了後、2015年1月に院試専門オンライン予備校「志樹舎」を設立。
代表講師として10〜60代まで延べ5,000人以上の受験生を指導。
早慶・国公立をはじめとする難関大学院で合格率9割超の実績を持つ。
現在は大学院入試対策の専門家として、テレビ・新聞・雑誌など幅広いメディアで活動中。
ロングセラー『減点されない!勝論文』(エール出版社)ほか著書・論文多数。


