
大学院で学び直す社会人が増える理由とは?リカレント教育の考え方
- 1. 社会人になってから、なぜ学び直したくなるのか
- 2. リカレント教育とは?社会人の学び直しの基本
- 3. リカレント教育とリスキリングはどう違う?
- 4. 社会人が大学院で学ぶ魅力① 仕事の経験を研究につなげられる
- 5. 社会人が大学院で学ぶ魅力② 専門知識を体系的に学べる
- 6. 社会人が大学院で学ぶ魅力③ 異なる経験を持つ人と出会える
- 7. 社会人の大学院進学はキャリアアップにつながる?
- 8. 働きながら大学院に通うことはできる?
- 9. 大学院以外にも社会人が学び直す方法はある
- 10. 社会人が大学院進学を考えたら最初にすること
- 11. 学び直しは何歳から始めても遅くない?
- 12. まとめ|社会人の学び直しは、経験を新しい問いに変える機会
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「社会人になってから、もう一度大学で勉強してみたい」「仕事で経験したことを、専門的な知識と結びつけて考えたい」。そんな気持ちを持ったことはありませんか。
大学院というと、大学を卒業した学生がそのまま進学する場所というイメージがあるかもしれません。しかし、実際には仕事を続けながら通う人や、一度社会に出てから研究を始める人もいます。
働き方や技術が変化する中で、社会人の学び直しへの関心が高まっています。ただし、学び直しは、仕事に必要な資格や技能を身につけることだけではありません。
仕事を経験したからこそ生まれた疑問を、大学院で改めて考えることにも意味があります。
今回は、リカレント教育とリスキリングの違い、社会人が大学院で学ぶ魅力、進学前に確認したいことについて解説します。
社会人になってから、なぜ学び直したくなるのか
社会人が学び直しを考える理由は、人によって異なります。
例えば、企業で人材育成を担当している人が、「同じ研修を実施しても、社員によって成長の仕方が違うのはなぜだろう」と疑問を持つことがあります。
教育現場で働く人が、子どもの学習意欲や教育格差について、より専門的に学びたいと考えることもあるでしょう。
こうした疑問は、実際に仕事を経験したからこそ生まれるものです。
学生時代には関心を持たなかった分野でも、社会に出てから必要性を感じることがあります。また、転職やキャリアチェンジを考える中で、新しい知識を身につけたいと思う人もいます。
社会人の学び直しは、単に昔の勉強をやり直すことではありません。
これまでの経験を振り返り、そこに新しい知識を加えることで、物事の見方を広げていく営みでもあります。
リカレント教育とは?社会人の学び直しの基本
社会人の学び直しについて調べると、「リカレント教育」という言葉を目にすることがあります。
リカレント教育とは、学校教育を終えて社会に出た後も、必要に応じて教育を受け、学び続けるという考え方です。
もともとは、教育を受ける時期と働く時期を人生の中で繰り返すという発想を背景にしています。
日本では、仕事を続けながら学ぶことも含め、社会人の学び直しを広く指す言葉として使われることがあります。
例えば、大学卒業後に企業へ就職し、数年間働いた後で大学院に進学することは、その一例です。
また、仕事を続けながら大学の公開講座を受講することも、広い意味で学び直しに含まれます。
大切なのは、学校を卒業した時点で学習が終わるわけではないということです。
人生の中で新しい疑問が生まれたとき、再び教育機関で学ぶという選択肢があります。

リカレント教育とリスキリングはどう違う?
リカレント教育と似た言葉に「リスキリング」があります。
リスキリングは、一般的に、新しい仕事に就いたり、現在の仕事の変化に対応したりするため、新たな知識や技能を身につけることを指します。
例えば、事務職として働く人が、業務のデジタル化に対応するためにデータ分析やプログラミングを学ぶことは、リスキリングの一例です。
一方、リカレント教育は、仕事に直接必要な技能だけでなく、幅広い学び直しを含む考え方です。
例えば、企業で働く人が、以前から関心を持っていた歴史学を大学院で研究する場合も、リカレント教育として捉えることができます。
ただし、両者は完全に分かれているわけではありません。
大学院でデータ分析を学び、仕事に生かす場合には、両方の側面を持つこともあります。
言葉の違いを覚えること以上に、自分が何のために学ぶのかを考えることが重要です。
社会人が大学院で学ぶ魅力① 仕事の経験を研究につなげられる
社会人が大学院で学ぶ魅力の一つは、仕事で経験したことを研究テーマとして考えられる場合があることです。
例えば、営業職として働く人が、「顧客との信頼関係は、どのように築かれるのだろう」と疑問を持ったとします。
日々の仕事では、経験をもとに顧客対応を工夫することが多いでしょう。
一方、大学院では、マーケティングや経営学の先行研究を調べ、顧客との関係が形成される仕組みを理論的に考えることができます。
ただし、仕事で感じた疑問を、そのまま研究テーマにできるとは限りません。
研究では、先行研究を確認し、具体的な問いを設定し、適切な方法で調査や分析を進める必要があります。
また、職場の情報を研究に使う場合には、守秘義務や個人情報の保護、必要な同意などにも注意が必要です。
実務経験は研究の出発点になります。しかし、経験が豊富であることと、研究として妥当な結論を導けることは同じではありません。
自分の経験をいったん問い直し、根拠に基づいて考える。その姿勢こそ、社会人が大学院で身につけたいものの一つです。
社会人が大学院で学ぶ魅力② 専門知識を体系的に学べる
社会人になると、仕事に必要な知識を独学で身につける機会があります。
経営に関する本を読んだり、オンライン講座でマーケティングを学んだりする人もいるでしょう。
しかし、独学では、どこから学び始めればよいのか、どのような知識が不足しているのかを判断しにくい場合があります。
大学院では、研究科や専攻の教育方針に沿った授業や研究指導を通じて、専門分野を体系的に学べる場合があります。
例えば、経営学の大学院では、経営戦略、組織行動、マーケティング、会計など、複数の領域について学ぶことがあります。
授業で学んだ理論を、自分の仕事で経験した出来事と結びつけて考えられる点も、社会人にとっての魅力です。
ただし、大学院によって授業内容や研究指導の方針は異なります。自分の目的に合った教育内容かどうかを確認しましょう。
社会人が大学院で学ぶ魅力③ 異なる経験を持つ人と出会える
大学院によっては、さまざまな業界や職種で働く社会人が学んでいます。
例えば、経営学の授業で組織運営について議論するとき、営業職、人事職、技術職など、異なる経験を持つ学生が参加することがあります。
同じ問題について考えていても、これまでの仕事が違えば、注目する点も異なります。
人材育成について議論する場合、人事担当者は制度設計の視点から考え、現場の管理職は日常的な指導の視点から考えるかもしれません。
こうした意見の違いに触れることで、自分の経験だけでは気づかなかった考え方を知る機会が得られます。
また、大学を卒業してそのまま進学した学生や留学生と一緒に学ぶ場合もあります。
ただし、学生の年齢構成や職業経験は大学院によって異なります。多様な人との交流を重視する場合には、学生構成や授業の特徴も確認するとよいでしょう。

社会人の大学院進学はキャリアアップにつながる?
大学院への進学を考える社会人の中には、昇進や転職、キャリアチェンジを目的とする人もいるでしょう。
大学院で専門知識を身につけることが、仕事の幅を広げるきっかけになる場合があります。
例えば、情報システムに関わる仕事をしてきた人が、大学院でデータ分析について学び、新しい業務に挑戦することが考えられます。
また、人事業務の経験がある人が、大学院で組織行動や人材開発について研究し、専門性を高めることもあるでしょう。
ただし、大学院を修了したからといって、必ず昇進や転職に有利になるわけではありません。
中途採用では、実務経験や仕事での成果が重視される場合もあります。
キャリアアップを目的とするなら、大学院で何を学び、その知識をどのような仕事に生かしたいのかを具体的に考えることが大切です。
働きながら大学院に通うことはできる?
社会人が大学院に進学する場合、仕事を続けながら通う方法と、休職や退職をして学業に専念する方法があります。
大学院によっては、平日の夜間や土曜日に授業を開講している場合があります。
また、オンライン授業を取り入れている大学院や、標準修業年限より長い期間をかけて学ぶ長期履修制度を設けている大学院もあります。
ただし、授業に出席できれば十分というわけではありません。
予習や復習、課題、研究活動などにも時間が必要です。
例えば、仕事の繁忙期と大学院の研究発表や論文提出の時期が重なることもあります。
進学前には、授業の曜日や時間帯だけでなく、研究指導を受けられる時間や、授業外に必要な学習時間も確認しておきましょう。
無理を重ねることが、学びへの熱意の証明になるわけではありません。
仕事や健康、家庭生活を大切にしながら、継続できる学習環境を整えることが重要です。
大学院以外にも社会人が学び直す方法はある
社会人の学び直しには、大学院進学以外にもさまざまな方法があります。
例えば、大学の公開講座では、特定のテーマについて比較的短期間で学べる場合があります。
また、科目等履修生として大学や大学院の授業を履修できる制度もあります。
仕事に必要な技能を身につけたい場合には、専門的な研修や資格取得などが適していることもあるでしょう。
大学院への進学が適しているのは、専門分野について継続的に学びたい場合や、指導教員のもとで研究に取り組み、学位取得を目指したい場合などです。
一方、特定の知識を短期間で学びたい場合には、大学院の正規課程に進学しなくても目的を達成できる可能性があります。
大切なのは、大学院進学そのものを目的にするのではなく、自分が何を学びたいのかに合わせて方法を選ぶことです。
社会人が大学院進学を考えたら最初にすること
社会人が大学院への進学を考え始めたら、まずは学び直したい理由を整理してみましょう。
「仕事で感じた疑問を研究したい」「新しい専門知識を身につけたい」「以前から興味のあった分野を学びたい」など、理由はさまざまです。
次に、その目的に合った研究科や専攻を調べます。
組織運営について学びたい場合には経営学研究科、教育に関する課題を研究したい場合には教育学研究科などが候補になるでしょう。
大学院の公式サイトでは、研究科の特徴や授業科目、教員の研究内容などを確認できます。
社会人の場合は、授業時間や通学方法、長期履修制度の有無なども重要な確認事項です。
さらに、学費や生活費、出願資格、入試方法についても調べておきましょう。
大学院によっては社会人特別選抜を設けていますが、出願条件や選考方法は異なります。
進学を具体的に考える段階では、最新の募集要項を確認することが大切です。

学び直しは何歳から始めても遅くない?
社会人が大学院進学を考える際には、年齢を気にすることもあるでしょう。
しかし、大学院進学において、すべての研究科に共通する年齢の上限が設けられているわけではありません。
30代で仕事の専門性を高めるために進学する人もいれば、40代や50代で新しい分野の研究に取り組む人もいます。
また、退職後に以前から関心のあった分野を学ぶため、大学院進学を考えることもできます。
ただし、年齢に関係なく、出願資格や入試条件を満たす必要があります。
また、仕事や家庭の状況によって、学習に使える時間や費用は異なります。
年齢だけで進学を諦める必要はありませんが、進学の時期や学び方は現実的に検討することが大切です。
重要なのは、「今からでは遅いか」と考えることだけではなく、「今の自分だからこそ、何を学びたいのか」と問い直すことです。
まとめ|社会人の学び直しは、経験を新しい問いに変える機会
社会人が学び直しを考える理由には、仕事で感じた疑問を研究したい、新しい専門知識を身につけたい、将来のキャリアを考えたいといったものがあります。
リカレント教育は、学校を卒業した後も必要に応じて学び続けるという考え方です。
大学院では、仕事で得た経験を学問的に考えたり、専門知識を体系的に学んだりすることができます。
一方、進学には学費や時間が必要であり、仕事との両立についても考えなければなりません。
社会人になってから大学院を目指すことは、これまでの経験を否定して、もう一度最初からやり直すことではありません。
むしろ、積み重ねてきた経験があるからこそ、学生時代とは異なる問いを持てることがあります。
大学院への進学に興味を持った方は、まず仕事や生活の中で気になっていることを三つ書き出してみてください。
その中に、これから深く学びたいテーマの手がかりがあるかもしれません。
次回は「大学院進学は転職に役立つ?キャリアアップとの関係」をテーマに、大学院での学びを転職やキャリア形成につなげるための考え方について解説します。
※大学院の研究内容、出願資格、入試制度、学費、授業形態、長期履修制度などは大学院・研究科によって異なります。最新の情報は、各大学院の公式サイトや募集要項で必ずご確認ください。
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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。
この記事を監修した人
小杉 樹彦(こすぎ・たつひこ)
志樹舎 創業者/博士(学術)
慶應義塾大学院修了後、2015年1月に院試専門オンライン予備校「志樹舎」を設立。
代表講師として10〜60代まで延べ5,000人以上の受験生を指導。
早慶・国公立をはじめとする難関大学院で合格率9割超の実績を持つ。
現在は大学院入試対策の専門家として、テレビ・新聞・雑誌など幅広いメディアで活動中。
ロングセラー『減点されない!勝論文』(エール出版社)ほか著書・論文多数。


