
大学院に進学するデメリットとは?費用・時間・進路の現実
- 1. 大学院進学のデメリットは、人によって異なる
- 2. デメリット① 学費や生活費の負担がある
- 3. デメリット② 就職する時期が遅くなる場合がある
- 4. デメリット③ 学位を取得しても就職は保証されない
- 5. デメリット④ 授業以外にも多くの時間が必要になる
- 6. デメリット⑤ 社会人は仕事との両立が難しくなることもある
- 7. デメリット⑥ 研究が思うように進まないことがある
- 8. デメリット⑦ 希望する研究ができるとは限らない
- 9. 博士課程への進学では長期的な計画も必要
- 10. 大学院進学で後悔しないために確認したいこと
- 11. 進学しない選択も、前向きな判断になる
- 12. まとめ|大学院進学は、時間とお金をどう使うかという選択
院試専門オンライン予備校「志樹舎」が運営する「院試対策ガイド」をご覧いただき、ありがとうございます。
大学院への進学を考えたとき、「学費はどれくらい必要なのだろう」「就職する時期が遅れるのではないか」「仕事を続けながら通えるのだろうか」と不安を感じる方もいるでしょう。
大学院では、専門知識を深め、自分の関心に沿った研究に取り組むことができます。一方で、進学には費用や時間が必要であり、将来の進路にも影響する場合があります。
大学院進学を考えるうえで大切なのは、メリットだけを見て判断しないことです。
学ぶことに価値があるからこそ、そのために何を負担し、何を手放す可能性があるのかも理解しておく必要があります。
今回は、大学院進学で考えられる主なデメリットと、後悔しない選択をするための考え方を紹介します。
大学院進学のデメリットは、人によって異なる
大学院進学に伴う負担は、年齢や経済状況、仕事、家庭環境などによって異なります。
学部卒業後に修士課程へ進学する人にとっては、学費や就職時期が大きな問題になるかもしれません。
一方、社会人にとっては、仕事と研究を両立する時間の確保が課題になる場合があります。
また、博士課程への進学を考える人は、研究を続ける期間や修了後の進路について、より長期的な計画が必要になります。
大切なのは、一般的なデメリットを知ったうえで、自分にとって何が最も大きな負担になるのかを考えることです。
デメリット① 学費や生活費の負担がある
大学院進学で最初に考えたいのが、経済的な負担です。
大学院では、入学金や授業料などが必要になります。金額は国立大学院と私立大学院で異なり、研究科や課程によっても違いがあります。
例えば、年間授業料が60万円の大学院に2年間在籍すると、授業料だけで120万円になります。さらに入学金やその他の費用が加わります。
これは計算例であり、実際の学費は各大学院の公式情報を確認する必要があります。
また、進学に合わせて引っ越す場合には、家賃や生活費、住居の初期費用なども必要です。
社会人が休職や退職をして進学する場合は、収入の減少も考慮しなければなりません。
学費だけを見て進学を判断するのではなく、修了までの生活を維持できるかという視点が重要です。

デメリット② 就職する時期が遅くなる場合がある
大学卒業後に修士課程へ進学する場合、一般的にはさらに2年間学ぶことになります。
そのため、学部卒業後に就職した人と比べて、実務経験を積み始める時期が遅くなる場合があります。
また、就職していれば得られた可能性のある給与収入を、進学によって得られなくなることもあります。
このように、ある選択をすることで、別の選択から得られたはずの利益を手放すことを「機会費用」といいます。
ただし、就職時期が遅くなることだけで、大学院進学が不利になるとは限りません。
修士課程で身につけた専門知識や研究経験が、将来の仕事に生かされることもあります。
重要なのは、進学する2年間で何を得たいのかを明確にすることです。
デメリット③ 学位を取得しても就職は保証されない
大学院を修了すれば、就職や転職に有利になると期待する方もいるでしょう。
確かに、研究開発職などでは、大学院で身につけた専門性が評価される場合があります。
しかし、すべての職種で修士号や博士号が有利に働くわけではありません。
例えば、経営学の大学院を修了したからといって、必ず管理職になれるわけではありません。企業によっては、実務経験や仕事の成果が重視されることもあります。
大学院進学をキャリアにつなげたいのであれば、学位の名称だけでなく、そこで学ぶ内容と希望する仕事との関係を考える必要があります。
進学前には、修了生の進路や希望する職種の採用条件を調べておくとよいでしょう。
デメリット④ 授業以外にも多くの時間が必要になる
大学院では、授業に出席するだけでなく、専門文献の調査や研究活動にも時間を使います。
例えば、修士課程では、授業の課題に取り組みながら、研究テーマを整理し、調査や分析を進めることがあります。
研究内容によっては、実験やインタビュー、フィールドワークなどが必要になる場合もあります。
また、修士論文の提出時期が近づくと、研究結果の整理や論文執筆に多くの時間が必要になることもあるでしょう。
そのため、大学院を選ぶ際には、授業の時間割だけでなく、授業外の学習や研究にどれくらいの時間が必要なのかを確認することが大切です。

デメリット⑤ 社会人は仕事との両立が難しくなることもある
働きながら大学院に通う場合、仕事と学業の両立が大きな課題になります。
例えば、平日の夜間に授業がある場合、仕事が長引くと授業に間に合わない可能性があります。
土曜日に授業がある大学院では、休日出勤や家庭の予定との調整が必要になることもあるでしょう。
さらに、授業がない日にも課題や研究を進める時間が必要です。
大学院によっては、夜間や土曜日の授業、オンライン授業、長期履修制度などを設けている場合があります。
ただし、こうした制度があっても、研究に必要な時間そのものがなくなるわけではありません。
進学後の生活を具体的に想像し、無理なく学び続けられるかを検討することが重要です。
デメリット⑥ 研究が思うように進まないことがある
大学院では、自分の関心に沿った研究に取り組める一方、研究が計画どおりに進むとは限りません。
実験で予想した結果が得られなかったり、調査に必要なデータが集まらなかったりする場合があります。
また、研究を進める中で、最初に考えていたテーマを変更する必要が生じることもあります。
研究とは、すでに答えが用意されている問題を解くことではありません。
わからないことに向き合い、試行錯誤を重ねながら、少しずつ考えを深めていく活動です。
そのため、成果が見えない時期にも粘り強く取り組む姿勢が求められます。
こうした経験は学びの価値にもなりますが、精神的な負担を感じることもあるでしょう。研究指導の体制や相談しやすい環境が整っているかも、進学前に確認しておきたい点です。
デメリット⑦ 希望する研究ができるとは限らない
大学院に進学すれば、興味のあるテーマを自由に研究できると思うかもしれません。
しかし、実際には、研究科の専門分野や指導教員の研究内容、研究設備などによって制約が生じる場合があります。
例えば、人工知能を研究したいと考えていても、希望する大学院にそのテーマを専門とする教員がいないこともあります。
また、社会人が仕事で感じた問題を研究したい場合でも、必要なデータを収集できるか、学術的な研究として成立するかを検討する必要があります。
大学院選びでは、大学名や知名度だけでなく、自分の関心に合った研究指導を受けられるかが重要です。
博士課程への進学では長期的な計画も必要
修士課程の修了後、博士後期課程への進学を考える場合には、さらに長期的な計画が必要です。
博士後期課程の標準修業年限は一般的に3年間ですが、所定の期間在籍すれば必ず博士号を取得できるわけではありません。
博士論文の審査など、大学院が定める要件を満たす必要があります。
また、博士号を取得したからといって、必ず大学や研究機関の研究職に就けるわけではありません。
博士課程への進学では、研究内容に加えて、生活費や研究資金、修了後の進路などについても慎重に検討することが大切です。
大学院進学で後悔しないために確認したいこと
大学院進学のデメリットを理解したら、次は自分の状況に照らして考えてみましょう。
まず、入学から修了までに必要な学費や生活費を見積もります。奨学金や授業料減免制度を利用できるかも確認しておきましょう。
次に、授業や研究に必要な時間を調べ、仕事や家庭生活と両立できるかを考えます。
さらに、希望する研究ができる環境かどうか、修了後にどのような進路が考えられるかを確認します。
こうした情報を集めることは、大学院進学への不安を整理することにもつながります。
大切なのは、すべての不安をなくしてから進学することではありません。
どのような負担があり、自分はそれにどう向き合うのかを考えたうえで、納得して選択することです。

進学しない選択も、前向きな判断になる
大学院について調べた結果、今は進学しないと決めることもあるでしょう。
例えば、仕事で実務経験を積むことを優先したり、数年後の進学に向けて資金を準備したりする方法もあります。
また、特定の知識を学ぶことが目的であれば、資格取得や公開講座、科目等履修生などの方法が適している場合もあります。
志樹舎では、大学院進学を考えるうえで、合格することだけを最終的な目的にしない姿勢を大切にしています。
大学院に進学することが、自分の目標を実現するために必要なのか。
その問いに向き合うこと自体が、進路を考えるうえで重要な過程です。
大学院に進学することも、進学しないことも、自分の目的に照らして判断できるのであれば、意味のある選択になるでしょう。
まとめ|大学院進学は、時間とお金をどう使うかという選択
大学院進学には、専門知識を深めたり、研究能力を養ったりするメリットがある一方、学費や生活費、学習時間などの負担があります。
また、学位を取得しても希望する仕事に就けるとは限らず、研究が計画どおりに進まないこともあります。
だからこそ、大学院進学を考える際には、得られるものだけでなく、必要な負担や手放す可能性のあるものにも目を向けることが大切です。
大学院に興味を持った方は、まず「進学によって得たいもの」と「進学のために必要なもの」を、それぞれ書き出してみてください。
その両方を比較することで、自分にとって大学院進学がどのような意味を持つのかを考えやすくなるでしょう。
次回は「大学院卒は就職に有利?学部卒との違いを考える」をテーマに、大学院修了後の就職や、学部卒業者との違いについて詳しく解説します。
※大学院の学費、修了要件、奨学金、授業形態、研究指導の方法、修了後の進路などは大学院・研究科によって異なります。最新の情報は、各大学院の公式サイトや募集要項で必ずご確認ください。
志樹舎
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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。
この記事を監修した人
小杉 樹彦(こすぎ・たつひこ)
志樹舎 創業者/博士(学術)
慶應義塾大学院修了後、2015年1月に院試専門オンライン予備校「志樹舎」を設立。
代表講師として10〜60代まで延べ5,000人以上の受験生を指導。
早慶・国公立をはじめとする難関大学院で合格率9割超の実績を持つ。
現在は大学院入試対策の専門家として、テレビ・新聞・雑誌など幅広いメディアで活動中。
ロングセラー『減点されない!勝論文』(エール出版社)ほか著書・論文多数。



