大学院はどうやって探す?初めての志望校選び

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「大学院に進学したいけれど、どこから探せばよいのかわからない」「興味のある分野はあるけれど、自分に合った大学院が見つからない」。大学院を探し始めると、このような疑問にぶつかることがあります。

最初に思い浮かぶのは、名前を知っている大学や、現在通っている大学かもしれません。それも一つの入口ですが、大学院選びでは、自分が学びたい内容と、その大学院で取り組める研究が合っているかを確かめることが大切です。

同じ経営学を学ぶ場合でも、経営戦略に関心があるのか、人材育成について考えたいのかによって、候補となる研究科や教員は変わります。授業の時間帯や指導方法、必要な費用なども、学び続けるうえで欠かせない条件です。

志樹舎では、大学院選びを、自分の問題意識を深められる環境を探す過程として捉えています。初めから志望校や研究テーマが明確でなくても構いません。調べながら、自分が何を学びたいのかを具体的にしていきましょう。


1.大学名を調べる前に、自分の関心を書き出してみよう

大学院探しの出発点になるのは、「自分は何を知りたいのだろう」という疑問です。「心理学を学びたい」「経営学に興味がある」という広い関心から始めても構いません。そこから、気になっていることを少し具体的にしてみましょう。

例えば、心理学であれば「人間関係が学習意欲に与える影響を知りたい」、経営学であれば「同じ研修を受けても、仕事への生かし方に差が出るのはなぜか」といった疑問が考えられます。

大学生なら授業や卒業研究で気になったこと、社会人なら仕事で感じた違和感が手がかりになります。ニュースや日常生活の中で、何度も考えてしまう問題を書き出す方法もよいでしょう。最初から専門用語で表現する必要はありません。

関心がいくつかある場合は、まず3つ程度並べてみてください。「教育心理学」「教育政策」「学校経営」のような分野名でも、「働く人が学び続けられる条件を知りたい」という文章でも大丈夫です。

一つの疑問が複数の学問分野につながることもあります。例えば、人材育成は経営学だけでなく、教育学や心理学からも研究できます。初めから研究科名を限定せず、自分の関心をどのような視点で考えられるのか、幅を持って探してみましょう。

2.関連する言葉や論文から、大学院の候補を探そう

関心を書き出したら、その内容に関係する言葉を組み合わせて検索します。例えば、「大学院 教育心理学 研究室」「大学院 組織行動 研究」「大学院 地域経済 修士課程」などです。仕事との両立を考えている場合は、「夜間」「社会人」といった条件を加える方法もあります。

検索するときは、一つの言葉にこだわらないことが大切です。企業の人材育成に関心があるなら、「人材開発」「人的資源管理」「職場学習」など、関連する言葉でも調べてみましょう。検索語を変えることで、それまで見つからなかった研究に出会えることがあります。

また、興味を引かれる論文や本が見つかったら、著者の所属や研究業績を調べる方法もあります。大学の一覧から選ぶだけでなく、読んでみたい研究から大学院を探すこともできるのです。

ただし、過去の論文に記載された所属が現在も同じとは限りません。気になる研究者が見つかったら、大学院の公式サイトで現在の所属や担当課程を確認してください。

検索結果の上位にある大学院が、自分に最も合っているとも限りません。この段階では候補を見つけることを目標にし、詳しい研究内容や入試条件は公式情報で確かめていきましょう。

大学院進学に向けて情報を調べるイメージ

3.研究科・専攻と、そこでの学び方を確認しよう

気になる大学院が見つかったら、公式サイトで研究科や専攻を確認します。一つの大学に複数の研究科があり、その中に専攻やコースが設けられている場合もあるため、大学名だけでは学べる内容を判断できません。

確認したいのは、研究科の教育方針、扱っている研究分野、授業科目、修了要件です。同じ分野の名前を掲げていても、研究に重点を置く課程と、実務上の課題に取り組む教育を重視する課程では、学び方が異なります。

例えば、経営学を学ぶ場合でも、修士論文の執筆を軸に研究を進めるのか、ケース討議や実践的な課題に多く取り組むのかによって、大学院生活は変わります。自分が進学によって得たいものと、課程の目的が合っているかを考えてみましょう。

授業科目は名称だけでなく、可能であればシラバスも確認してください。授業の概要や進め方を読むことで、どのような知識が必要か、何を身につけられるかを具体的に考えやすくなります。

研究方法を学ぶ授業や演習があるかも大切なポイントです。関心のあるテーマについて学べることに加え、そのテーマを調べるための方法を身につけられるかにも目を向けましょう。

4.指導教員の研究内容と指導体制を調べよう

研究を中心とする大学院では、どの教員から指導を受けられるかが重要になります。希望する研究科が見つかっても、自分のテーマを指導できる教員がいるとは限らないためです。

教員紹介ページで専門分野や研究業績を確認し、関心の近い論文や著書を読んでみましょう。初めからすべてを理解できなくても、どのような疑問を持ち、何を明らかにしようとしているのかをつかむことが手がかりになります。

ここでは、研究テーマの言葉が似ているかだけでなく、研究方法にも注目してください。同じ「教育格差」を扱っていても、統計データを分析する研究と、学校現場での聞き取りを中心とする研究では、必要な準備や進め方が異なります。

自分の方法がまだ決まっていない場合も、心配しすぎる必要はありません。調べる中で、「この方法なら、自分の疑問を確かめられそうだ」と考えられるようになることもあります。

あわせて、ゼミや個別面談の頻度、複数の教員から助言を受けられる仕組みなど、指導体制も確認しましょう。研究では、自分の考えを説明し、他者からの指摘を受けて問い直す機会が大切になります。

なお、研究分野が近いことと、実際に指導を受けられることは別です。担当課程や新入生の受入状況、事前相談の必要性については、各大学院の案内に沿って確認してください。

5.募集要項で出願資格・入試内容・日程を押さえよう

研究内容に魅力を感じる大学院が見つかったら、早めに募集要項を確認しましょう。まず押さえたいのは、出願資格、入試区分、試験内容、提出書類、出願期間です。

大学院入試では、研究科や入試区分によって、専門科目の筆記試験、外国語試験、面接、研究計画書の審査などが行われます。社会人向けの選抜でも、必要な実務経験や提出書類は大学院によって異なります。

特に、外部の語学試験のスコアが必要な場合は、受験から結果の取得までの時間を考える必要があります。指定された試験の種類やスコアの有効期間、提出方法まで確認しておくと、準備の遅れを防ぎやすくなります。

研究計画書にも、関心の整理や文献の確認に時間がかかります。候補校が見つかった段階で必要な準備を把握しておけば、志望校を比較しながら対策を進められるでしょう。

また、出願前に教員への相談や出願資格の審査が必要な場合は、通常の出願期間より前に手続きが設定されていることもあります。締切だけを見て判断せず、出願までの流れ全体を確認してください。

募集要項は年度によって変わることがあります。前年度の情報を参考にする場合も、受験予定年度の募集要項が公開されたら、必ず確認し直しましょう。

募集要項や出願に必要な情報を確認するイメージ

6.学費と生活、仕事を含めて通い続けられるか考えよう

大学院選びでは、入学後の生活を具体的に想像することも大切です。研究内容が希望に合っていても、費用や時間の負担が大きければ、学び続けることが難しくなる場合があります。

費用は授業料だけでなく、入学金、交通費、教材費なども含めて考えましょう。転居が必要なら、引っ越し費用や家賃、生活費も見込む必要があります。進学によって仕事を減らす場合は、収入への影響も確認しておきたいところです。

奨学金や授業料の減免制度を調べる際は、対象条件と申請時期に加え、給付か貸与かも確かめてください。採用されることを前提にせず、利用できなかった場合の資金計画も考えておくと安心です。

社会人の場合は、授業時間だけでなく、研究指導や実験、調査に必要な時間にも注意しましょう。夜間や土曜日に授業があっても、すべての研究活動をその時間内で行えるとは限りません。

通学時間に加えて、自宅で文献を読んだり、課題や研究を進めたりする時間も必要です。今の生活の中でどれくらい学習時間を確保できるか、一週間の予定に当てはめてみると、両立の見通しを立てやすくなります。

条件が合わない場合は、候補校を広げたり、進学時期を見直したりする選択肢もあります。学びたい気持ちを大切にするためにも、無理なく続けられる条件を考えておきましょう。

7.候補を比較し、説明会や事前相談で疑問を確かめよう

候補がいくつか見つかったら、情報を一覧にまとめてみましょう。大学院名、研究科・専攻、研究内容、指導教員、授業・指導体制、入試内容、学費、通学条件などを同じ項目で整理すると、違いが見えやすくなります。

その際には、「なぜこの大学院が気になるのか」も書き添えてみてください。「関心のある調査方法を学べる」「仕事で感じている疑問に近い研究が行われている」など、自分の言葉で理由を説明することが大切です。

あわせて、「まだ確認できていないこと」を残しておきましょう。希望する教員の受入状況や研究指導の時間帯など、公式サイトだけではわからない点を整理しておくと、説明会や相談の機会を活用しやすくなります。

説明会では、制度の説明を聞くだけでなく、自分が入学した場合を想定して質問してみましょう。研究室訪問や教員への事前相談が認められている場合は、関心のあるテーマを簡潔にまとめたうえで、指導の可能性や研究の進め方を確認します。

ただし、教員への直接連絡が認められていない場合や、指定の手続きが必要な場合もあります。連絡方法は、必ず大学院の公式案内に従ってください。

在学生や修了生の話も参考になりますが、一人の経験がすべての学生に当てはまるわけではありません。公式情報と照らし合わせ、自分の状況にも合うかを考えましょう。

最初から1校に絞る必要はありません。調べるうちに関心や重視する条件が変わることもあります。候補を比較しながら考え直すことも、自分に合う進学先を見つけるための大切な過程です。

大学院の候補を比較し、志望先を検討するイメージ

8.合格後の学びを思い描き、今日できることから始めよう

大学院を調べていると、知名度や入試の難しさに目が向くことがあります。しかし、合格しやすそうという理由だけで選んでしまうと、入学後に取り組みたい研究とのずれが生じるかもしれません。

大学院入試の合格は大切な通過点です。その先で何を学び、どのような疑問に取り組みたいのかを、ときどき立ち止まって確かめましょう。「この大学院なら、自分は何に取り組めそうか」と考えることで、選ぶ理由が具体的になります。

まだ何も決まっていない方は、今日、気になることを一つ書き出してみてください。次に、その疑問に関係する言葉で検索し、気になる研究科や教員のページを一つ読んでみましょう。候補が複数見つかったら、比較できるよう情報を残しておきます。

一度の検索で答えを出す必要はありません。調べて、比較して、考え直す中で、自分にとって譲れない条件や、本当に学びたいことが少しずつ見えてきます。

志樹舎が大学院選びで大切にしているのは、大学の名前だけで進路を決めず、自分の問いを深められる環境を見つけることです。すぐに進学を決められなくても、調べる過程で関心が明確になれば、それも次の学びにつながります。

まずは、自分の疑問と大学院での研究がつながる場所を探すところから始めてみましょう。

次回は「大学院と研究科の違いとは?志望先を探すための基礎知識」をテーマに、大学院の組織や専攻の仕組みについて、初めての方にもわかりやすく解説します。


※大学院の研究内容、出願資格、入試制度、学費、授業形態、研究指導の方法などは大学院・研究科によって異なります。最新の情報は、各大学院の公式サイトや募集要項で必ずご確認ください。

志樹舎では、大学院入試の各種対策に特化した専門性の高いサポートを行っています。
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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。

小杉樹彦(志樹舎 創業者)

この記事を監修した人

小杉 樹彦(こすぎ・たつひこ)

志樹舎 創業者/博士(学術)

慶應義塾大学院修了後、2015年1月に院試専門オンライン予備校「志樹舎」を設立。代表講師として10〜60代まで延べ5,000人以上の受験生を指導。早慶・国公立をはじめとする難関大学院で合格率9割超の実績を持つ。現在は大学院入試対策の専門家として、テレビ・新聞・雑誌など幅広いメディアで活動中。ロングセラー『減点されない!勝論文』(エール出版社)ほか著書・論文多数。