
志望大学院を3校に絞る方法|比較表を使った進学先選び
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大学院への進学を考え、研究科や専攻、指導教員について調べていくと、魅力的な大学院がいくつも見つかることがあります。
「研究テーマが合っている大学院が複数ある」「知名度の高い大学院にも挑戦したい」「仕事と両立できる大学院も気になる」など、候補が増えるほど迷ってしまう人もいるでしょう。
大学院は、大学名だけで進学先を決めることが難しい教育機関です。同じ分野を学べる大学院でも、研究内容や指導教員、教育課程、入試制度などが異なります。
そのため、志望大学院を選ぶ際には、複数の候補を比較しながら、自分にとって何が重要なのかを整理する必要があります。
そこで役立つのが、志望大学院を3校程度に絞り、共通の項目で比較する方法です。
ただし、3校という数字は、すべての受験生に当てはまる決まりではありません。研究分野や入試日程によっては、1校に集中する場合も、より多くの大学院を検討する場合もあります。
この記事では、志望大学院を比較するための考え方、優先順位の決め方、第一志望の選び方などを具体的に解説します。
第3章「自分に合う大学院をどう選ぶ?」の最終回として、これまで考えてきた大学院選びのポイントを整理していきましょう。
なぜ志望大学院を絞る必要があるのか?
大学院選びでは、最初から候補を一つに決める必要はありません。
むしろ、進学を考え始めた段階では、複数の研究科や専攻を幅広く調べることが大切です。
例えば、企業の人材育成について研究したい場合、経営学研究科だけでなく、教育学研究科や心理学系の研究科にも関連する研究が存在する可能性があります。
しかし、候補を増やし続けるだけでは、いつまでも進学先を決められないことがあります。
また、大学院入試では、研究計画書や志望理由書、専門科目の筆記試験、面接など、研究科ごとに異なる準備が求められる場合があります。
そのため、受験準備を具体的に進める段階では、候補をある程度絞り込むことが重要です。
候補を絞る目的は、選択肢を減らすこと自体ではありません。
限られた時間を有効に使い、自分が本当に進学したい大学院について、より深く調べるためです。
大学院選びは大学名のランキングだけでは決められない
大学院を選ぶ際、有名大学や難関大学に魅力を感じることは自然なことです。
研究環境や教員の研究業績、修了生の進路など、大学院の実績が参考になる場合もあります。
しかし、大学名や一般的な知名度だけで、自分に合った大学院を判断することはできません。
例えば、同じ経営学の分野でも、企業経営の実務を中心に学ぶ専門職大学院と、経営現象を学術的に研究する大学院では、教育内容や修了要件が異なる場合があります。
また、研究大学として評価の高い大学院であっても、自分が研究したいテーマを専門とする教員が在籍しているとは限りません。
反対に、これまであまり注目していなかった大学院に、自分の研究テーマと非常に近い研究に取り組む教員がいる場合もあります。
大学院選びでは、大学の評価を参考にしながらも、自分の進学目的との相性を優先して考えることが大切です。
志望大学院を比較する5つの基本項目
複数の大学院を比較する際には、共通の項目を設定すると判断しやすくなります。
ここでは、特に重要な5つの項目を紹介します。
1.研究テーマとの相性
最初に確認したいのは、自分が研究したいテーマに取り組める環境があるかどうかです。
例えば、地域の教育格差について研究したい場合、教育政策、社会学、地域研究など、複数の学問分野が候補になることがあります。
その際には、研究科の名称だけでなく、教員の研究内容や開講科目、修士論文の研究テーマなどを確認しましょう。
研究したいテーマが明確な人ほど、大学名よりも研究内容との相性を重視することが大切です。
2.指導教員と研究環境
大学院では、指導教員との関係が研究活動に大きく関わる場合があります。
そのため、教員の専門分野だけでなく、研究指導の方法や研究室の環境も比較したいところです。
例えば、定期的なゼミを通じて研究を進める大学院もあれば、個別指導を中心に研究を進める大学院もあります。
また、複数の教員から指導を受けられる体制を設けている大学院もあります。
自分がどのような環境で研究に取り組みたいのかを考えながら比較しましょう。
3.教育課程と修了要件
大学院によって、授業科目や研究指導の進め方、修了要件は異なります。
例えば、修士論文の提出が中心となる課程もあれば、特定の課題についての研究成果や実践的なプロジェクトなどが重視される課程もあります。
また、専門職大学院では、実務に関する体系的な学習や演習を重視する場合があります。
自分が身につけたい知識や能力に対して、教育課程が適しているかを確認しましょう。
4.通学条件と学習時間
大学院で学ぶためには、授業や研究活動に継続して取り組む必要があります。
そのため、通学時間や授業の開講時間、研究指導を受けられる時間帯も重要な比較項目です。
特に社会人の場合には、夜間や土曜日に授業が開講されているかだけでなく、研究指導やグループワークなどの活動時間も確認しましょう。
また、オンライン授業がある場合でも、対面での参加が必要な科目や研究活動がないかを確認することが大切です。
5.入試制度と費用
最後に、入試制度や学費などの条件を比較します。
大学院によって、筆記試験の科目、語学試験の扱い、研究計画書の提出方法、面接の内容などは異なります。
また、入学金や授業料、通学費用なども確認しておきたいところです。
奨学金や授業料減免制度、長期履修制度などを利用できる場合もありますが、対象者や申請条件は大学院によって異なります。
進学後の生活を具体的に考えながら、無理なく学び続けられるかを検討しましょう。

比較表を作るときは何を記入する?
志望大学院を比較する際には、大学院ごとの情報を同じ項目で整理することが役立ちます。
例えば、大学院名、研究科名、専攻名、研究テーマとの相性、指導教員、授業時間、入試科目、出願期間、学費などを記入します。
さらに、「研究内容は希望に近い」「通学時間が長い」「社会人学生が多い」といった特徴を簡単に書き添えておくとよいでしょう。
このとき、確認できた事実と自分の印象を分けて記録することが重要です。
例えば、「必修科目は平日夜間に開講される」という情報と、「仕事と両立しやすそうだ」という印象は同じではありません。
前者は公式資料などで確認できる情報ですが、後者は自分の勤務状況や研究活動の内容によって判断が変わる可能性があります。
比較表を作る目的は、大学院に点数をつけることだけではありません。
どの条件を確認できていて、どの条件がまだ不明なのかを整理することにも意味があります。
志望大学院を3校に絞る具体的な手順
それでは、複数の候補から志望大学院を絞り込む方法を考えてみましょう。
まず、関心のある大学院を5校程度書き出してみます。これはあくまで目安であり、最初の候補数に決まりはありません。
次に、それぞれの大学院について、研究内容、指導教員、教育課程、通学条件、入試制度などを確認します。
そのうえで、自分にとって譲れない条件を設定しましょう。
例えば、「研究テーマに合う教員がいること」「仕事を続けながら通学できること」「学費を一定の範囲に収められること」などです。
譲れない条件を満たさない大学院については、候補から外すことも検討します。
残った大学院を比較し、研究内容や学習環境に魅力を感じる順に並べてみましょう。
このように整理すると、第一志望を含めた3校程度の候補が見えてくることがあります。
ただし、研究テーマが非常に専門的な場合には、適切な指導教員がいる大学院が限られることもあります。
その場合には、無理に3校を選ぶ必要はありません。
第一志望はどうやって決める?
第一志望を決める際には、「合格できそうか」という視点だけでなく、「合格したら本当に進学したいか」という視点を持つことが重要です。
例えば、知名度の高い大学院と、研究テーマとの相性がよい大学院で迷っている場合を考えてみましょう。
このとき、大学名だけで判断すると、進学後に研究内容とのずれを感じる可能性があります。
一方、研究内容だけで判断すると、通学条件や費用などの面で負担が大きくなることもあります。
そのため、第一志望は、研究内容、学習環境、進学目的、生活条件などを総合的に考えて決めることが大切です。
また、第一志望は、必ずしも最も入試難易度が高い大学院である必要はありません。
自分が最も学びたいと思える大学院を第一志望として考えましょう。
併願校はどのように選べばよい?
大学院入試では、複数の大学院を受験することを検討する人もいます。
ただし、併願校を選ぶ際には、入試難易度だけで判断しないことが重要です。
例えば、第一志望と同じ研究テーマを扱える大学院を併願先にする方法があります。
研究テーマに共通点があれば、先行研究の調査や研究計画の検討など、一部の準備を共通して進められる場合があります。
一方、研究科によって研究計画書の形式や試験科目が異なるため、すべての準備を共通化できるわけではありません。
また、大学院によっては、同一大学内の研究科間で併願に制限が設けられている場合もあります。
出願期間や試験日程、合格発表日、入学手続きの期限なども確認しましょう。
併願校についても、合格した場合に進学する意思があるかを考えておくことが大切です。
大学院の難易度は何で判断する?
大学院を比較していると、「どの大学院が入りやすいのか」という点が気になるかもしれません。
しかし、大学院入試の難易度を、大学名や学部入試の偏差値だけで判断することはできません。
大学院入試では、研究科や専攻によって試験科目や選考方法が異なります。
例えば、専門科目の筆記試験が重視される研究科もあれば、研究計画書や面接などが重要な選考資料となる研究科もあります。
また、英語などの語学試験について、外部試験のスコア提出を求める場合もあります。
そのため、大学院の難易度を考える際には、自分の学習経験や研究準備の状況と、入試で求められる内容を比較することが大切です。
合格者数や志願者数などが公開されている場合には参考になりますが、数字だけで合格可能性を判断することはできません。
志望大学院を選ぶ際には、入試の難易度と、進学後に学びたい内容を分けて考えましょう。
社会人は大学院選びで何を優先するべき?
社会人が大学院を選ぶ場合には、研究内容に加えて、仕事や生活との両立を考える必要があります。
例えば、平日昼間に働いている場合、夜間や土曜日に授業が開講されている大学院が候補になるでしょう。
しかし、授業に出席できることと、研究活動を継続できることは同じではありません。
大学院では、授業以外にも、文献の読解、調査、研究発表、論文執筆などに時間が必要です。
そのため、仕事を続けながら進学する場合には、1週間の中でどの程度の学習時間を確保できるのかを考えておきましょう。
また、学費だけでなく、通学費用や教材費、研究活動に必要な費用なども検討することが大切です。
大学院によっては、長期履修制度やオンライン授業などを設けている場合もあります。
ただし、制度の利用条件や対象者は異なるため、最新の公式情報を確認しましょう。
研究テーマが決まっていない場合はどうする?
志望大学院を選ぼうとしても、研究テーマがまだ明確になっていない場合があります。
例えば、「教育に関心がある」「経営学を学びたい」という段階では、候補となる大学院が多く、比較しにくいかもしれません。
そのような場合には、まず自分が関心を持っている問題を具体的にしてみましょう。
例えば、「教育に関心がある」という希望であれば、「地域によって教育機会に差が生まれるのはなぜか」「社会人が学び直しを続けるためには何が必要か」といった問いが考えられます。
また、「経営学を学びたい」という希望であれば、「社員の学習意欲を高める組織にはどのような特徴があるのか」「中小企業の事業承継では何が課題になるのか」といった問題意識につながるかもしれません。
このように、関心のある分野から具体的な問いを考えることで、研究分野や指導教員を探しやすくなります。
ただし、大学院進学前に研究テーマを完全に決める必要があるとは限りません。
研究計画の具体性がどの程度求められるかは、研究科や入試区分によって異なります。
現時点での問題意識を整理しながら、研究テーマを深められる大学院を探していきましょう。

比較表で点数が高い大学院が正解とは限らない
大学院を比較する際には、各項目を点数化する方法もあります。
例えば、研究テーマとの相性、通学条件、学費などについて、自分なりの評価をつける方法です。
このような比較は、候補を整理するうえで役立ちます。
しかし、点数の合計が最も高い大学院が、必ずしも自分にとって最適な進学先とは限りません。
例えば、通学条件や学費の面では魅力的でも、自分が研究したいテーマに取り組めない大学院であれば、進学目的を十分に達成できない可能性があります。
反対に、研究内容との相性が非常によくても、生活面で無理が生じる場合には慎重な検討が必要です。
そのため、比較表は進学先を自動的に決めるためのものではなく、自分が何を重視しているのかを理解するための道具として活用しましょう。
志望大学院を決める前に確認したいこと
志望大学院を絞り込んだら、出願準備を始める前に、いくつか確認しておきたいことがあります。
まず、志望する研究科や専攻で、自分の研究テーマに取り組める可能性があるかを確認しましょう。
次に、指導を希望する教員が現在も在籍しているか、大学院生の受入れを行っているかを確認します。
また、研究計画書の提出が必要か、専門科目や語学試験があるかなど、入試制度についても整理しておきます。
さらに、出願期間や試験日程、必要書類の提出期限などを確認しましょう。
大学院によっては、出願前に教員との事前相談が必要な場合があります。
一方、出願前の個別連絡を受け付けていない研究科もあります。
そのため、必ず大学院の公式サイトや募集要項を確認し、指定された手続きに従うことが重要です。
大学院選びで迷ったときは、最初の問いに戻ろう
大学院選びを進めていると、さまざまな情報に触れることになります。
大学の知名度、研究実績、入試の難易度、学費、通学条件など、考えるべきことは少なくありません。
その結果、最初は学びたいことがあって大学院進学を考え始めたのに、いつの間にか「どの大学院に入れば評価されるか」という視点が中心になってしまうこともあります。
そのようなときには、大学院進学を考え始めた理由に立ち返ってみましょう。
なぜ大学院で学びたいと思ったのでしょうか。
どのような問題について、もっと深く知りたいと感じたのでしょうか。
大学院での学びを通じて、自分自身をどのように成長させたいのでしょうか。
志樹舎では、大学院進学を、学歴や資格を増やすことだけを目的としたものではなく、自分自身の問題意識を深め、主体的に学び続ける力を育てる機会として捉えています。
大学院は、誰かが用意した正解を覚えるだけの場所ではありません。
自分で問いを立て、先行研究を調べ、根拠を検討しながら、自分なりの答えを探究していく場所でもあります。
だからこそ、大学院選びでも、周囲の評価だけでなく、自分がどのような問いに向き合いたいのかを大切にしてほしいと考えています。
大学院選びに唯一の正解はない
大学院選びでは、すべての人に共通する正解があるわけではありません。
研究者を目指す人と、仕事の専門性を高めたい人では、重視する条件が異なります。
また、大学卒業後すぐに進学する人と、社会人として働きながら進学する人でも、学習環境に求めるものは変わるでしょう。
大切なのは、自分の目的や状況に合った大学院を選ぶことです。
そのためには、大学院の情報を集めるだけでなく、自分自身についても理解を深める必要があります。
例えば、どのような学習方法が自分に合っているのか、研究にどの程度の時間を使えるのか、将来どのような活動につなげたいのかを考えてみましょう。
大学院を比較する作業は、同時に、自分自身の価値観や学び方を整理する作業でもあります。
進学先を決めるまでの過程そのものが、主体的に学ぶための第一歩になるのです。
第3章のまとめ|自分に合う大学院を選ぶということ
第3章「自分に合う大学院をどう選ぶ?」では、大学院の種類や研究分野、指導教員、研究室、説明会など、進学先を選ぶためのさまざまな視点を紹介してきました。
大学院には、研究を中心とする課程や、実務に関する専門的な教育を重視する課程など、異なる特徴があります。
また、同じ研究分野であっても、大学院によって教育内容や研究環境は異なります。
そのため、大学院選びでは、大学名や研究科名だけでなく、自分の研究テーマや進学目的との相性を確認することが大切です。
複数の大学院を比較する際には、研究内容、指導教員、教育課程、通学条件、入試制度、費用などを整理しましょう。
そのうえで、自分にとって譲れない条件を考え、志望大学院を絞り込んでいきます。
ただし、比較表の点数や大学の知名度だけで進学先を決める必要はありません。
最終的に大切なのは、その大学院で何を学び、どのような研究に取り組みたいのかを、自分自身の言葉で説明できることです。
大学院は、入学することが最終的な目的ではありません。
入学後にどのような問いに向き合い、どのように学び続けるかが重要です。
自分が納得して学べる場所を選ぶことが、充実した大学院生活への第一歩になるでしょう。

次回からは、第4章「大学院入試の基本」に入ります。
大学院入試では、どのような選考が行われるのか。学部入試とは何が違うのか。研究計画書や筆記試験、面接にはどのような準備が必要なのか。
大学院選びから受験準備へと進むために、まずは入試制度の基本を整理していきましょう。
※大学院の教育課程、指導教員の受入状況、入試制度、出願条件、学費、併願の可否などは大学院・研究科によって異なります。最新の情報は、各大学院の公式サイトや募集要項で必ずご確認ください。
志樹舎では、大学院入試の各種対策に特化した専門性の高いサポートを行っています。
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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。
この記事を監修した人
小杉 樹彦(こすぎ・たつひこ)
志樹舎 創業者/博士(学術)
慶應義塾大学院修了後、2015年1月に院試専門オンライン予備校「志樹舎」を設立。代表講師として10〜60代まで延べ5,000人以上の受験生を指導。早慶・国公立をはじめとする難関大学院で合格率9割超の実績を持つ。現在は大学院入試対策の専門家として、テレビ・新聞・雑誌など幅広いメディアで活動中。ロングセラー『減点されない!勝論文』(エール出版社)ほか著書・論文多数。



