横浜国立大学大学院・環境情報学府で学べることとは?自然環境・人工環境・情報環境の特徴と入試対策
横浜国立大学大学院への進学を考えている方の中には、「環境問題と情報技術の両方を学びたい」「文系・理系の枠を超えて社会課題を研究したい」と考えている方もいるのではないでしょうか。
そのような受験生にとって選択肢となるのが、横浜国立大学大学院の環境情報学府です。環境情報学府では、自然環境、人工環境、情報環境という3つの視点から、現代社会が抱える複雑な課題を研究します。
気候変動、生態系の保全、都市やエネルギーの問題、人工知能、データ活用、情報社会のあり方など、扱うテーマは幅広く、複数の専門分野を組み合わせた研究が行われていることが特徴です。
この記事では、環境情報学府を構成する3専攻の特徴と、入試に向けて確認しておきたいポイント、研究計画書や面接の対策について解説します。
環境情報学府は3つの専攻で構成されている
横浜国立大学大学院の環境情報学府は、自然環境専攻、人工環境専攻、情報環境専攻の3専攻で構成されています。
以前は環境生命学、環境システム学、情報メディア環境学、環境イノベーションマネジメント、環境リスクマネジメントなどの専攻がありましたが、現在は現代社会の課題に対応しやすい3専攻の体制となっています。
3専攻はそれぞれ異なる研究対象を持っていますが、完全に分かれているわけではありません。自然科学、工学、情報科学、人文社会科学などを組み合わせながら研究できる点が、環境情報学府の大きな特徴です。
そのため、志望専攻を決める際は、自分の出身学部だけで判断するのではなく、研究したいテーマと教員の専門分野を確認する必要があります。
自然環境専攻で学べること
自然環境専攻では、地球環境、生態系、生命現象、自然災害などを対象に研究します。理学、農学、生命科学などの知識を基礎としながら、人間と自然が共生できる社会のあり方を考えます。
例えば、気候変動が生態系に与える影響、森林や海洋環境の保全、生物多様性、災害が自然環境や地域社会に与える影響などが研究テーマになります。
研究方法は、実験室での分析だけではありません。対象地域に足を運んで観察や採取を行うフィールドワーク、衛星情報や統計データを利用した分析なども行われます。
自然環境専攻を志望する場合は、「環境問題に関心がある」というだけでなく、どの地域や生物、現象を対象にし、どのような方法で研究するのかを具体的に考えておきましょう。
例えば、「海洋環境を守りたい」というテーマであれば、海水温の変化を調べるのか、海洋生物への影響を分析するのか、沿岸地域の政策を研究するのかによって、必要な知識や志望する教員が変わります。
人工環境専攻で学べること
人工環境専攻では、人間が作り出した製品、都市、社会基盤、エネルギーシステムなどが抱える課題を、主に工学的な視点から研究します。
研究テーマには、環境負荷の少ない材料の開発、資源の再利用、エネルギーの効率的な利用、安全な都市やインフラの構築などがあります。
例えば、新しい素材を開発する場合は、性能や耐久性だけでなく、製造時のエネルギー消費や廃棄後の環境負荷まで考える必要があります。
また、再生可能エネルギーの研究では、発電技術だけでなく、電力を安定して供給する仕組みや、地域社会への導入方法を検討することもあります。
人工環境専攻を志望する方は、解決したい社会課題と、そのために利用したい技術を結び付けて説明できるようにしましょう。単に新しい技術を作りたいという理由だけでなく、その技術がどのような問題の解決につながるのかを示すことが重要です。
情報環境専攻で学べること
情報環境専攻では、情報通信技術、人工知能、データサイエンス、メディアなどを通じて、社会や環境が抱える問題を研究します。
扱うテーマには、人工知能を利用した予測、画像や言語の処理、情報ネットワーク、データ分析、情報社会と人間の関係などがあります。
例えば、災害時の情報を効率的に届けるシステム、都市の混雑を予測する技術、SNS上の情報が人の判断に与える影響なども研究対象になり得ます。
情報環境専攻では、プログラミングや数学などの技術的な知識だけでなく、情報が社会でどのように使われるのかを考える視点も大切です。
研究計画書では、どのデータを使うのか、どのような手法で分析するのか、その結果を誰がどのように利用できるのかまで考えておくと、研究の具体性が高まります。
環境情報学府が求める学生像
環境情報学府の入試対策では、アドミッション・ポリシーを確認することが重要です。
環境や情報に関する問題は、一つの専門分野だけで解決できるとは限りません。そのため、学部で身につけた基礎学力や専門知識に加えて、異なる分野の考え方を取り入れる姿勢が求められます。
例えば、機械工学を学んできた方が、エネルギー技術と地域政策を組み合わせて研究することも考えられます。情報科学を学んできた方が、人工知能と防災、医療、教育などを結び付けることもできます。
ただし、複数分野に興味があると書くだけでは不十分です。自分の研究課題を明らかにするために、なぜ異なる分野の知識が必要なのかを説明する必要があります。
自分の専門分野を軸にしながら、どの分野の知識や研究方法を組み合わせたいのかを整理しましょう。
入試は専攻や選抜区分ごとに確認する
環境情報学府の博士課程前期入試では、専門科目の筆記試験、英語力の審査、研究計画書などの書類審査、口述試験を組み合わせて選考する場合があります。
ただし、試験内容は専攻、教育分野、選抜区分によって異なる可能性があります。一般入試、社会人特別選抜、外国人留学生入試などでは、提出書類や試験科目が異なることもあります。
まずは自分が受験する年度の学生募集要項を確認し、出願資格、試験科目、英語試験の条件、提出書類、試験日を整理しましょう。
過去の年度では、10月入学と翌年4月入学を対象とした募集が案内されることもありました。また、入試制度の変更について、2027年度入学者以降を対象とする予告が掲載される場合もあります。
過去のスケジュールだけを参考にせず、自分が受験する年度の最新情報を確認してください。
過去問と入試説明会を活用する
環境情報学府では、過去の入試問題の閲覧方法が案内される場合があります。過去問を確認すると、専門科目の範囲、問題の形式、必要な知識の深さを把握できます。
まずは3年分程度を比較し、繰り返し出題されている分野を整理しましょう。そのうえで、学部時代の教科書や専門書へ戻り、基礎から復習します。
環境情報学府では入試説明会が開催されることもあります。過去には、令和8年度10月・令和9年度4月入試に向けた説明会などが案内されていました。
説明会では、専攻の違い、カリキュラム、研究室、入試方式などについて、公式サイトだけでは分かりにくい情報を確認できる可能性があります。
質問できる機会があれば、自分の研究テーマがどの専攻に合うのか、出願前に教員への連絡が必要か、過去問をどのように入手できるかなどを確認するとよいでしょう。
研究計画書では分野を組み合わせる理由を示す
環境情報学府の研究計画書では、社会課題への関心だけでなく、研究として何を明らかにしたいのかを示す必要があります。
例えば、「気候変動を研究したい」というテーマだけでは広すぎます。特定地域の気温変化、生態系への影響、住民の防災行動など、対象を絞り込みましょう。
さらに、利用するデータ、調査方法、分析方法も具体化します。現地調査を行うのか、統計データを分析するのか、実験を行うのかによって、研究計画の内容は変わります。
文理融合を意識する場合も、複数分野を並べるだけではなく、それぞれの知識が研究のどの部分に必要なのかを説明してください。
志望教員の研究内容や論文を確認し、自分の研究テーマとどこが重なるのかを整理することも重要です。
社会人が志望する場合のポイント
環境情報学府では、社会人を対象とした教育や入試に関する情報が案内されることがあります。
社会人受験生は、仕事で経験した課題を研究テーマへつなげやすい一方、実務上の悩みをそのまま研究計画書に書くのは避けたいところです。
例えば、企業でエネルギー管理を担当している場合は、業務改善の提案だけではなく、どのようなデータを使い、どの理論や方法で検証するのかを考える必要があります。
また、働きながら通学できるか、授業や研究指導が行われる時間帯、必要な在学時間、職場との両立についても確認しましょう。
博士課程の学生を対象とした経済的支援、私費外国人留学生向けの授業料免除や奨学金、災害救助法などの適用地域の被災者を対象とした入学検定料免除が案内される場合もあります。該当する方は、出願前に条件と申請期限を確認してください。
3専攻の違いを理解して志望先を決めよう
横浜国立大学大学院の環境情報学府では、自然環境、人工環境、情報環境の3つの視点から、現代社会が抱える課題を研究できます。
自然や生態系を科学的に研究したい方は自然環境専攻、都市や技術、エネルギーなどを工学的に研究したい方は人工環境専攻、人工知能やデータを活用して社会課題に取り組みたい方は情報環境専攻が選択肢になります。
ただし、専攻名だけで決めるのではなく、自分が明らかにしたい問い、利用したい研究方法、指導を希望する教員まで確認することが重要です。
志望先を決めたら、募集要項、アドミッション・ポリシー、教員の研究内容、過去問を確認し、専門科目、英語、研究計画書、口述試験の準備を進めましょう。
自分の専門を生かしながら異なる分野の知識を取り入れ、研究の目的と方法を具体的に説明できるようにすることが、環境情報学府の合格に向けた大切な準備になります。
※専攻の構成、入試方式、試験科目、募集時期、英語試験の条件、説明会、経済的支援制度などは年度によって変更される場合があります。必ず最新の公式サイトと学生募集要項をご確認ください。
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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。
この記事を監修した人
小杉 樹彦(こすぎ・たつひこ)
志樹舎 創業者/博士(学術)
慶應義塾大学院修了後、2015年1月に院試専門オンライン予備校「志樹舎」を設立。
代表講師として10〜60代まで延べ5,000人以上の受験生を指導。
早慶・国公立をはじめとする難関大学院で合格率9割超の実績を持つ。
現在は大学院入試対策の専門家として、テレビ・新聞・雑誌など幅広いメディアで活動中。
ロングセラー『減点されない!勝論文』(エール出版社)ほか著書・論文多数。



