
新島襄の志と「良心教育」:同志社大学院が育む「真理の探求者」とは?
院試専門オンライン予備校「志樹舎」が運営する「院試お役立ち記事」をご覧いただき、ありがとうございます。今回のテーマは「新島襄の志と『良心教育』」です。
同志社大学大学院への進学を考えている方に、まず知っておいていただきたいのが、同志社の創立者である新島襄と、その教育に対する考え方です。大学院入試では研究テーマや指導を希望する教員について調べることが重要ですが、「なぜ同志社大学大学院で学びたいのか」を考えるうえでは、大学そのものが大切にしてきた理念への理解も欠かせません。
新島襄は1864年、江戸幕府の時代に日本を離れ、アメリカへ渡りました。当時は海外渡航が自由に認められていた時代ではありません。それでも新島は新しい知識や思想を学ぶために海を渡り、その後、約10年間にわたってアメリカやヨーロッパで学びました。アメリカではキリスト教の洗礼を受け、教育についても深く学んでいます。
帰国後、新島は国内外の多くの人々から協力を得ながら、1875年11月29日に京都で同志社英学校を開校しました。この同志社英学校が、現在の同志社大学へとつながっています。新島が目指したのは、単に多くの知識を身につけるための学校ではありませんでした。学問を深く追究するとともに、一人の人間としてどのように社会と向き合うのかを考えられる人物を育てることを重視していました。
同志社の教育を支える「良心教育」とは
同志社を理解するときに重要な言葉の一つが「良心」です。新島襄は、知識や能力だけではなく、それらを何のために使うのかを自分自身で考えられる人を育てようとしました。その考え方は、現在の同志社にも「良心教育」として受け継がれています。
大学院では、高度な専門知識や研究能力を身につけることが大きな目的になります。しかし、研究成果や専門知識は、それだけで完結するものではありません。その研究が社会や人々にどのような影響を与えるのか、自分が身につけた知識をどのように生かしていくのかまで考える姿勢が求められます。
たとえば、AIを研究するのであれば、技術的な性能だけではなく、個人情報や著作権、雇用への影響なども考える必要があります。医療や生命科学の研究であれば、研究成果を追求するだけでなく、倫理や患者への影響について考える視点も欠かせません。社会科学の研究であれば、制度や政策が実際にどのような人々に影響を与えるのかを考える必要があります。
このように考えると、「良心教育」は大学の歴史を説明するためだけの言葉ではありません。大学院で研究に取り組む人にとっても、自分の専門知識や研究成果をどのように社会へ還元していくのかを考えるための重要な視点になります。
キリスト教主義・自由主義・国際主義という3つの教育理念
同志社では、教育理念として「キリスト教主義」「自由主義」「国際主義」の3つを掲げています。
キリスト教主義は、単に宗教について学ぶという意味ではありません。知識を身につけるだけではなく、人間としての良心を育み、自分自身の行動について考える姿勢を大切にするものです。
自由主義は、一人ひとりの個性や主体性を尊重する考え方です。大学院での研究は、教員から与えられた答えを覚えるものではありません。自分で問題を見つけ、問いを立て、資料やデータを集めながら答えを探していきます。その意味でも、自ら考えて行動する姿勢は大学院での研究と深く関係しています。
そして国際主義は、単に外国語能力を高めることだけを意味するものではありません。異なる文化や考え方を持つ人と向き合い、自分とは異なる価値観を理解しながら、新しい視点を得ていくことを大切にしています。
これら3つの理念はそれぞれ独立したものではなく、同志社の教育を支える考え方として相互につながっています。同志社大学大学院を志望するのであれば、自分の研究テーマや将来像と、こうした教育理念にどのような接点があるのかを一度考えてみるとよいでしょう。
大学院入試では「なぜ同志社なのか」を考えておく
大学院入試では、研究計画やこれまでの学習・研究経験に加えて、「なぜこの大学院を志望するのか」を整理しておくことが重要です。
たとえば、「○○について研究したい」という理由だけでは、その研究ができる別の大学院でもよいのではないかと思われる可能性があります。そこで重要になるのが、志望する研究科や教員の研究内容、教育環境などを具体的に調べたうえで、同志社で学ぶ理由を明確にすることです。
その際、建学の精神や良心教育について理解しておくことも、同志社という大学を深く知る手がかりになります。ただし、出願書類や面接で「同志社は良心教育を大切にしているから志望しました」と述べるだけでは十分とはいえません。
自分の研究テーマとどのようにつながるのか、自分が研究を通じてどのような課題に向き合いたいのか、研究成果を将来どのように生かしたいのかまで具体的に考えてみましょう。大学の理念をそのまま引用するのではなく、自分自身の研究や経験と結びつけて説明できるようにすることが大切です。
新島襄の姿勢から考える大学院での研究
新島襄が日本を離れた1864年から、すでに160年以上が経過しています。当然ながら、現在の大学院受験と当時の状況をそのまま重ねることはできません。それでも、未知の世界へ踏み出して学ぼうとした新島の姿勢には、大学院進学を考える受験生にも参考になる部分があります。
大学院進学では、これまで所属していた大学とは異なる環境へ進む人もいれば、社会人として働きながら再び研究に挑戦する人もいます。研究テーマを変えたり、これまでとは異なる専門分野に進んだりする人もいるでしょう。新しい環境へ進む以上、不安を感じることは珍しくありません。
だからこそ、「何を研究したいのか」だけでなく、「なぜ自分はそれを学びたいのか」「研究を通して何を明らかにしたいのか」まで掘り下げておくことが大切です。こうした問いを考えることは、研究計画を具体化するうえでも、志望理由を整理するうえでも役立ちます。
同志社大学大学院を目指す方は、研究科や指導教員、入試科目だけを調べて終わりにするのではなく、新島襄がどのような大学を目指したのか、同志社が現在まで何を大切にしてきたのかにも目を向けてみてください。大学の背景を知ることで、「なぜ同志社で研究したいのか」をより具体的に考えられるようになるはずです。
この記事の内容は執筆時点の情報です。入試制度、研究科の構成、出願条件などは変更される場合があります。受験を検討する際は、必ず同志社大学の公式サイトおよび最新の入試要項をご確認ください。
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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。
この記事を監修した人
小杉 樹彦(こすぎ・たつひこ)
志樹舎 創業者/博士(学術)
慶應義塾大学院修了後、2015年1月に院試専門オンライン予備校「志樹舎」を設立。
代表講師として10〜60代まで延べ5,000人以上の受験生を指導。
早慶・国公立をはじめとする難関大学院で合格率9割超の実績を持つ。
現在は大学院入試対策の専門家として、テレビ・新聞・雑誌など幅広いメディアで活動中。
ロングセラー『減点されない!勝論文』(エール出版社)ほか著書・論文多数。


