一橋大学大学院経済学研究科「修士専修コース」四つのプログラムを比較する

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一橋大学大学院経済学研究科の修士専修コースには、公共政策プログラム、統計・ファイナンスプログラム、地域研究プログラム、医療経済プログラムという四つのプログラムが設けられています。研究者養成コースとは異なり、修士専修コースは経済学の専門性を身につけ、修了後のキャリアにつなげていくことを主な目的としています。

四つのプログラムは名称だけを見ると違いが分かりやすいように思えますが、実際に出願先を考える際には、自分の研究テーマや問題意識との関係を整理することが大切です。この記事では、それぞれのプログラムの位置づけと、研究計画書や口述試験を含めた受験準備の進め方を整理します。


公共政策・統計・地域・医療経済の四つから考える

公共政策プログラムは、公共部門における政策立案や分析に関わる専門性を深めるプログラムです。政策に関する問題を経済学の視点から考えたい方にとって、自分の問題意識との接点を検討しやすいプログラムといえます。

統計・ファイナンスプログラムは、統計学や金融分野の専門知識を深めるプログラムです。データを用いた分析や金融に関する問題に関心がある場合は、どのようなテーマを研究したいのかを具体化しながら検討するとよいでしょう。地域研究プログラムは、特定地域の経済について専門的な知見を深める内容となっています。単に「海外に興味がある」と考えるのではなく、対象としたい地域と、そこで生じている経済的な課題を結びつけて考えることが重要です。

医療経済プログラムは、医療分野における課題を経済学的な視点や分析手法から考えるプログラムです。医療そのものを学ぶというより、医療に関わる問題を経済学の枠組みから分析したい場合に、自分の研究テーマとの接点を検討することになります。


修士専修コースと研究者養成コースの違いも確認する

プログラム選びの前に確認しておきたいのが、修士専修コースそのものの位置づけです。一橋大学大学院経済学研究科の修士課程には、修士専修コースのほかに研究者養成コースがあります。研究者養成コースは博士後期課程への進学を前提としているのに対し、修士専修コースは専門性を身につけて修了することを主な目的としています。

そのため、「一橋大学で経済学を学びたい」という理由だけで決めるのではなく、修士修了後にどのような進路を考えているのかまで整理しておく必要があります。まず研究者養成コースと修士専修コースのどちらが自分の目的に合っているのかを確認し、修士専修コースを選ぶ場合に四つのプログラムを比較する、という順番で考えると整理しやすくなります。


四つのプログラムでも入試は共通の枠組みで行われる

四つのプログラムはいずれも修士専修コースに位置づけられており、プログラムごとに別々の筆記試験を受験する仕組みではありません。選考は一次選考の書類審査と、二次選考の口述試験という流れで行われます。一次選考では、成績証明書、推薦書、研究計画書、TOEFLまたはTOEICの成績などを用いて総合的に判定されます。

二次選考では、研究計画書とそれに関連する経済学分野について、日本語による口述試験が行われます。つまり、どのプログラムを志望する場合でも、研究計画書は一次選考だけのために作る書類ではありません。一次選考を通過した後も、その内容をもとに質問を受けることを想定して作成する必要があります。

研究計画書を書く際には、「公共政策に興味があります」「ファイナンスを勉強したいです」といった分野への関心だけで終わらせず、何を問題として捉え、何を明らかにしたいのかまで具体化していきましょう。研究テーマ、問題意識、先行研究、研究方法などを整理しながら、志望するプログラムとのつながりが読み手に伝わる内容を目指します。


プログラム名ではなく研究テーマから考える

四つのプログラムを比較するときに注意したいのが、名称だけで機械的に選ばないことです。たとえば医療に関する政策を研究したい場合、公共政策と医療経済の双方に関心が及ぶ可能性があります。特定地域の金融や政策を研究する場合にも、複数のプログラムと関連するテーマになることがあります。

このような場合は、最初からプログラム名に研究テーマを合わせるのではなく、「自分は何を明らかにしたいのか」を先に考えると整理しやすくなります。そのうえで一橋大学大学院経済学研究科の公式サイトに掲載されている各プログラムの説明や教員の研究分野を確認し、自分の問題意識と最も接点のあるプログラムを検討します。

経済学研究科のFAQでは、出願前に指導教員へ連絡する必要は特にないとされています。ゼミについては入学後に希望する研究室へ申請する流れとされているため、教員への事前連絡を受験準備の前提とする必要はありません。ただし、研究計画を考えるうえで、どのような分野を研究している教員がいるのかを公式サイトで確認しておくことは、大学院で研究できるテーマを考える手がかりになります。


英語外部試験と研究計画書を並行して準備する

令和8年度(2026年度入学)の秋季入試では、2023年10月以降に実施されたTOEFL iBTまたはTOEIC L&Rの成績証明書の提出が必須とされています。ただし、英語圏の学位取得者については免除される場合があります。また、公式FAQでは外部試験の最低点は設定していないとされています。

英語スコアは出願時に用意する必要があるため、研究計画書が完成してから英語試験の準備を始めるのでは遅くなる可能性があります。まず提出できるスコアを持っているか、対象となる実施時期の条件を満たしているかを確認し、必要であれば早めに受験日を決めましょう。研究計画書の作成と英語外部試験の対策を別々の時期に行うのではなく、並行して進めることがポイントです。


今から始めたい修士専修コースの入試対策

修士専修コースを目指す場合は、最初に公共政策、統計・ファイナンス、地域研究、医療経済の四つのプログラムの公式情報を読み、自分の関心に近い分野を整理します。次に「どのプログラムに入りたいか」だけではなく、「大学院で何を研究したいか」を一文で説明できるところまで研究テーマを絞り込みましょう。そのテーマに関連する先行研究を探し、研究計画書の骨子を作成していきます。

同時にTOEFLまたはTOEICのスコア、成績証明書、卒業(見込)証明書、推薦書など、出願に必要なものを確認します。推薦書のように第三者への依頼が必要な書類は、自分の作業だけでは準備できないため、余裕を持った依頼が必要です。出願後は研究計画書を読み返し、研究目的や研究方法、関連する経済学分野について質問された場合に、自分の言葉で説明できるよう口述試験の練習を進めましょう。

四つのプログラムから選ぶこと自体を目的にするのではなく、自分の研究したいテーマを明確にし、そのテーマを学ぶ環境としてどのプログラムが合っているのかを考えることが大切です。まずは公式サイトで四つのプログラムの内容を確認し、自分の研究関心を書き出すところから始めてみてください。


一橋大学大学院の入試日程、出願期間、試験内容、出願資格、必要書類などは年度や研究科、専攻、入試区分によって変更される場合があります。受験を検討する際は、必ず一橋大学の公式サイトおよび受験する研究科の対象年度の最新の募集要項をご確認ください。

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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。

この記事を監修した人

小杉樹彦(志樹舎 創業者)

小杉 樹彦(こすぎ・たつひこ)
志樹舎 創業者/博士(学術)
慶應義塾大学院修了後、2015年1月に院試専門オンライン予備校「志樹舎」を設立。 代表講師として10〜60代まで延べ5,000人以上の受験生を指導。 早慶・国公立をはじめとする難関大学院で合格率9割超の実績を持つ。 現在は大学院入試対策の専門家として、テレビ・新聞・雑誌など幅広いメディアで活動中。 ロングセラー『減点されない!勝論文』(エール出版社)ほか著書・論文多数。