京大大学院の文系受験で指導教員を探す方法|教員一覧の読み方から説明会の使い方まで

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京都大学大学院への進学を考えるとき、研究科選びと同じくらい重要になるのが指導教員探しです。大学院では、自分の研究テーマに近い専門分野を持つ教員のもとで研究を進めることになるため、「京都大学で学びたい」というだけでは志望先を十分に絞り込めません。

また、京都大学の文系分野では、似たテーマを複数の研究科で研究できることがあります。教育、心理、言語、文化、思想、地域研究などは、一つの研究科だけを見ていると、自分のテーマにより適した教員を見逃してしまう可能性があります。

この記事では、京都大学大学院の文系研究科を目指す方に向けて、教員一覧から候補を探し、論文や著書を確認し、説明会や相談会を活用して志望教員を絞り込むまでの流れを具体的に解説します。


研究科選びと指導教員探しは同時に進めよう

京都大学大学院の指導教員候補を調べる大学院受験生

大学院選びでは、「まず研究科を決め、そのあと先生を探す」と考える方もいるかもしれません。しかし実際には、研究科選びと指導教員探しを同時に進めたほうが、自分に合う進学先を見つけやすくなります。

たとえば教育に関するテーマを研究したい場合、教育学研究科だけが選択肢とは限りません。テーマによっては文学研究科や人間・環境学研究科などにも、自分の問題意識に近い研究を行う教員がいる可能性があります。

同じ「教育」というテーマでも、心理学的に研究するのか、歴史的に研究するのか、社会との関係から研究するのかによって、適した研究科や指導教員は変わります。

そのため、「○○研究科に入りたい」から考え始めるだけでなく、「自分が研究したい問題を扱っている教員はどこにいるのか」という方向からも志望先を探すことが大切です。


研究科によって指導教員の決まり方は異なる

京都大学大学院では、指導教員の選び方や指導体制が研究科によって異なります。出願前に希望する教員をある程度明確にする必要がある研究科もあれば、入学後の仕組みの中で指導体制を決めていく場合もあります。

たとえばアジア・アフリカ地域研究研究科のアフリカ地域研究専攻では、大学院生が主指導教員1名と副指導教員2名を決める指導体制が説明されています。一人の教員だけから指導を受けるのではなく、複数の専門的な視点から研究を進められる仕組みです。

一方、出願時には受験生自身が研究したい地域やテーマについて考え、自薦書などにまとめる必要があります。つまり、入学後に指導教員を決める仕組みがある場合でも、出願時点で研究テーマが曖昧なままでよいという意味ではありません。

経済学研究科では担当教員一覧などが公開されることがあります。研究計画書を書く前に教員の専門分野を確認し、自分のテーマを指導できる教員がいるのかを調べておくことが重要です。

法学研究科法政理論専攻では、入試において研究志望分野との関係が重要になります。文学研究科でも専攻・専修を選んで受験するため、「京都大学で○○を研究したい」という大きな希望から、さらに専門分野を絞り込んでいく必要があります。


まず教員一覧から候補を5人程度探してみる

指導教員探しの最初の段階では、一人の教員に絞り込む必要はありません。まず志望研究科の教員一覧を確認し、自分の研究テーマと関係がありそうな教員を3~5人程度書き出してみましょう。

この段階で見るのは、教員名だけではありません。「専門分野」「研究テーマ」「研究キーワード」などを確認します。ただし、大学の教員紹介ページに掲載されている専門分野は短い言葉でまとめられていることも多く、それだけでは現在取り組んでいる研究を十分に把握できない場合があります。

そこで、気になる教員が見つかったら、次に研究者情報、研究室のページ、最近の論文や著書などへ進みます。

最初から「この先生しかいない」と決めてしまうと、研究テーマを無理に教員の専門へ合わせてしまうことがあります。まず複数の候補を持ち、それぞれの研究内容を比較することをおすすめします。


論文や著書を見ると教員との相性が分かりやすい

京都大学大学院の指導教員候補の論文を読む受験生

候補となる教員が見つかったら、その教員の論文や著書を読んでみましょう。すべての研究成果を読む必要はありません。まず最近の論文を2~3本程度確認するところから始めます。

論文を読むときには、「何を研究しているのか」だけでなく、「どのような問いを立てているのか」「どのような資料やデータを使っているのか」「どのような方法で分析しているのか」に注目してください。

たとえば同じ地域研究でも、歴史資料を分析する研究、現地でインタビューを行う研究、統計データを使う研究では、研究方法が大きく異なります。テーマが近いだけでなく、自分が取り組みたい研究方法との相性も指導教員選びでは重要です。

論文を読んだら、研究テーマ、研究方法、自分が興味を持った点を簡単にメモしておきましょう。このメモは、研究計画書を作成するときの先行研究整理にも利用できます。


自分の研究テーマとの「接点」を言葉にしてみる

教員の研究を調べたら、次に「なぜこの先生の指導を受けたいのか」を自分の言葉で説明してみましょう。

ここで、「有名な先生だから」「研究テーマが何となく似ているから」だけでは十分ではありません。自分が研究したい問いと、教員がこれまで取り組んできた研究との接点を具体的に考えます。

たとえば、「○○教授が行っている地域社会に関する研究の中でも、特に○○という視点に関心があり、自分はそれを○○という対象へ広げて研究したい」というように整理できると、指導を希望する理由が明確になります。

ただし、教員の研究テーマをそのまま自分のテーマにする必要はありません。大学院では自分自身の研究課題を持つことが重要です。教員の専門性から指導を受けながら、自分が何を新しく明らかにしたいのかを考えましょう。


研究科をまたいで教員を探すことも大切

京都大学大学院の文系分野で指導教員を探す際には、一つの研究科だけで検索を終わらせないこともポイントです。

たとえば心理に関する研究でも、文学研究科、教育学研究科、人間・環境学研究科などで異なるアプローチが考えられます。言語、文化、地域、社会、思想なども、複数の研究科に関係する可能性があります。

人間・環境学研究科はその典型で、人間・社会・思想、芸術文化、認知・行動・健康科学、言語科学、東アジア文明、共生世界、文化・地域環境など、文系受験生に関係する幅広い研究領域があります。

たとえば「東アジアの文化を研究したい」という場合でも、文学研究科から探す方法と、人間・環境学研究科から探す方法では、研究の切り口や方法論が変わる可能性があります。

自分のテーマに関係するキーワードで複数の研究科の教員を調べ、どの環境で研究するのが最も適しているかを比較しましょう。


教員が現在も学生を受け入れているか確認する

研究テーマが合う教員を見つけても、それだけで指導を受けられるとは限りません。大学院受験では、教員が対象年度に学生を受け入れる予定なのかを確認することも重要です。

教員の異動、退職、研究休暇などによって、ウェブサイトに名前が掲載されていても希望年度には指導を受けられない可能性があります。また、研究科によっては担当教員一覧や募集要項などで受入れに関する情報が示される場合があります。

古いウェブページや過去の論文だけを見て判断するのではなく、受験する年度の募集要項や最新の教員一覧を確認してください。

特に、特定の教員から指導を受けることが進学目的の中心になっている場合には、出願前に受入れ状況を確認しておくことが重要です。


入試説明会は指導教員探しにも役立つ

京都大学大学院の入試説明会で研究室や指導教員について調べる受験生

研究科が開催する入試説明会や相談会は、入試制度を知るだけの場ではありません。指導教員や研究室について情報を集める機会としても活用できます。

人間・環境学研究科では、全体説明だけでなく講座別の説明や研究室紹介などが行われる場合があります。ウェブサイトの教員紹介だけでは分からない研究室の特徴や、現在どのような研究が行われているのかを知る機会になります。

教育学研究科でも、入試ガイダンスに加えてコース別の相談機会が設けられる場合があります。ただし、開催方法や相談できるコースは年度によって異なるため、最新の案内を確認しましょう。

説明会に参加するときは、その場で初めて教員を調べるのではなく、事前に候補となる教員の研究を確認しておくことをおすすめします。

「先生の○○という研究を拝見して、私は○○について研究したいと考えています。このテーマは先生のご指導の対象になりますか」というように具体的な質問ができれば、自分の研究テーマとの相性を確認しやすくなります。


説明会で何を質問すればよい?

説明会や相談会では、公式サイトを見れば分かる質問だけで時間を使わないようにしましょう。たとえば試験日や検定料などは募集要項で確認できます。

それよりも、「自分が考えている研究テーマはこの研究室で指導可能か」「研究方法として○○を考えているが、研究室ではどのような方法を用いる学生が多いか」「入学前に読んでおいたほうがよい文献はあるか」といった、自分の研究に関係する質問を用意すると有意義です。

また、研究室のゼミの進め方、フィールドワークの機会、修士課程修了後の進路などについて聞ける機会があれば、入学後の生活を具体的にイメージする材料になります。

質問をたくさん用意する必要はありません。自分にとって重要なものを2~3個に絞っておけば、短い相談時間でも必要な情報を得やすくなります。


教員へメールする前に研究科のルールを確認する

説明会以外で指導を希望する教員へ直接連絡したい場合は、まず研究科の募集要項やウェブサイトを確認してください。

大学院によっては出願前の教員への連絡を推奨している場合もあれば、事前連絡を必須としていない場合もあります。また、受験に関する問い合わせ先を事務室に限定していることもあります。

「大学院受験では教授にメールするものだ」と思い込んで一律に連絡するのではなく、志望研究科のルールを優先しましょう。

教員への事前相談が可能で、実際にメールを送る場合には、自分の所属や経歴、研究したいテーマ、なぜその教員に相談したいのか、何を確認したいのかを簡潔にまとめます。

長い自己紹介や完成していない研究計画書を突然大量に送るよりも、相手が短時間で内容を把握できる文章にすることが大切です。研究概要を添付する場合も、募集要項や教員側の案内に従いましょう。


教員から返信がなくてもすぐに脈なしと判断しない

教員へ連絡したものの返信が来ない場合、「自分の研究テーマでは受け入れてもらえないのでは」と不安になるかもしれません。しかし、返信がないことだけで受入れ不可と判断することはできません。

大学教員は授業、研究、学会、会議、学生指導など多くの業務を抱えています。時期によってはメールへの返信に時間がかかることもあります。

一方で、短期間に何度も催促することは避けたほうがよいでしょう。研究科の公式な相談窓口や入試説明会など、別の確認方法が用意されていないかを調べます。

出願に事前承認が必要な研究科であれば、その手続きに従うことが最優先です。必要ではない場合には、返信の有無だけを合否のサインとして考えすぎないようにしましょう。


「有名な先生」より自分の研究を指導できる先生を探す

指導教員を選ぶ際、知名度の高い教員や著書を読んだことのある教員に目が向くこともあります。しかし、大学院受験で重要なのは、その教員が有名かどうかではなく、自分が取り組みたい研究について専門的な指導を受けられるかどうかです。

研究テーマが近くても、教員が重視する方法論と自分が取り組みたい方法が大きく違う場合もあります。反対に、一見すると研究テーマが少し違っていても、方法論や理論的な枠組みが近く、適切な指導を受けられるケースも考えられます。

教員紹介の数行だけで決めるのではなく、論文、著書、研究プロジェクト、研究室の情報などを確認し、自分との接点を探していきましょう。


指導教員探しは研究計画書作成につながる

指導教員を探す作業と研究計画書を書く作業は、別々ではありません。教員の論文を読むことで、その分野でどのような議論が行われているのかが分かり、自分の研究テーマも具体的になっていきます。

最初は「教育格差を研究したい」「地域社会について研究したい」という大きなテーマだったとしても、論文を読んでいくと、「誰を対象にするのか」「どの地域を見るのか」「どの時期を扱うのか」「何と何を比較するのか」といった問いが生まれます。

こうして研究テーマを絞り込んでいくことで、研究計画書の研究目的、先行研究、研究方法も書きやすくなります。

さらに口述試験で「なぜ京都大学なのですか」「なぜこの研究科なのですか」と聞かれた場合にも、教員の研究内容まで調べていれば、具体的な理由を説明できます。指導教員探しは、志望校選びだけでなく、研究計画書や面接対策の一部でもあるのです。


今週から始める指導教員探しの進め方

まだ指導を希望する教員が決まっていない場合は、まず京都大学大学院の中から、自分の研究テーマに関係しそうな研究科を2~3つ選んでみましょう。そして各研究科の教員一覧から、気になる教員を合計5人程度書き出します。

次に、その中から特に研究内容が近い教員を2~3人選び、最近の論文を1本ずつ読んでみてください。論文ごとに「研究上の問い」「研究方法」「自分のテーマとの接点」の3点をメモします。

そのうえで、入試説明会や研究室紹介の予定を確認します。説明会に参加できる場合は、自分の研究テーマについて聞きたいことを2~3個用意しておきましょう。

最後に、「自分は何を研究したいのか」「なぜその研究科なのか」「なぜその教員から指導を受けたいのか」をそれぞれ数行で書いてみます。この3つを説明できるようになれば、研究計画書や志望理由、口述試験の準備も進めやすくなります。

京都大学大学院には多くの教員がいるため、最初から一人に決める必要はありません。複数の教員や研究科を比較しながら、自分の問題意識を最も深く研究できる環境を探していきましょう。


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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。

※教員の所属、研究分野、学生の受入れ状況、入試説明会の日程、事前相談の方法などは変更される場合があります。出願や教員への連絡を行う際は、必ず京都大学大学院および各研究科の公式サイトと、対象年度の最新の募集要項を確認してください。

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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。

この記事を監修した人

小杉樹彦(志樹舎 創業者)

小杉 樹彦(こすぎ・たつひこ)
志樹舎 創業者/博士(学術)
慶應義塾大学院修了後、2015年1月に院試専門オンライン予備校「志樹舎」を設立。 代表講師として10〜60代まで延べ5,000人以上の受験生を指導。 早慶・国公立をはじめとする難関大学院で合格率9割超の実績を持つ。 現在は大学院入試対策の専門家として、テレビ・新聞・雑誌など幅広いメディアで活動中。 ロングセラー『減点されない!勝論文』(エール出版社)ほか著書・論文多数。