
- 1. 文系・理系にまたがる10の講座
- 2. 講座選びでは研究テーマより研究方法にも注目する
- 3. 修士課程入試は年2回実施される
- 4. 2028年4月入学なら第1回と第2回をどう考える?
- 5. 第1回試験を目指す場合の準備
- 6. 第2回試験を目指す場合の準備
- 7. オンライン入試説明会を志望講座選びに活用する
- 8. 研究室紹介では何を確認すればよい?
- 9. 過去問がオンラインで公開されている
- 10. 過去問は最初から解けなくてもよい
- 11. 外国語は第1外国語・第2外国語の条件を確認する
- 12. 専門科目は講座ごとの違いを意識する
- 13. 研究計画は教員の研究内容と照らして考える
- 14. 2028年4月入学を目指すなら今から何をする?
京都大学大学院人間・環境学研究科の修士課程入試|年2回の試験と説明会・過去問の活用法
院試専門オンライン予備校「志樹舎」が運営する「院試対策ガイド」をご覧いただき、ありがとうございます。
京都大学大学院人間・環境学研究科は、人文・社会科学から自然科学まで、幅広い研究分野を一つの研究科で扱っていることが大きな特徴です。思想、芸術、言語、文化、地域、社会などを研究したい文系の受験生にとっても、有力な進学先の一つです。
一方で、研究分野が幅広いため、「自分の研究テーマはどの講座に合うのか」「どの教員に指導を希望するのか」を早めに整理する必要があります。また、修士課程入試は年2回実施されるため、どちらの試験を受けるのかによって準備のスケジュールも変わります。
この記事では、京都大学大学院人間・環境学研究科の修士課程を目指す方に向けて、講座の構成、年2回の入試、受験時期の選び方、オンライン説明会、過去問の入手方法、外国語・専門科目の対策まで具体的に解説します。
文系・理系にまたがる10の講座

人間・環境学研究科の人間・環境学専攻には、数理・情報科学、人間・社会・思想、芸術文化、認知・行動・健康科学、言語科学、東アジア文明、共生世界、文化・地域環境、物質科学、地球・生命環境という10の講座が置かれています。
文系の受験生と特に関係が深いのは、人間・社会・思想、芸術文化、言語科学、東アジア文明、共生世界、文化・地域環境などです。ただし、研究テーマによっては、いわゆる文系・理系という区分だけでは整理できない場合もあります。
たとえば、ある地域の文化を研究する場合でも、歴史的な資料から分析する方法、言語から考える方法、社会構造との関係を見る方法、地域環境との関係から考える方法など、さまざまなアプローチがあります。
そのため、「文化について研究したいから文化・地域環境」と講座名だけで判断するのではなく、各講座に所属する教員の研究テーマや研究方法まで確認することが重要です。
講座選びでは研究テーマより研究方法にも注目する
人間・環境学研究科のように研究領域が幅広い大学院では、同じテーマでも複数の講座が候補になることがあります。
その場合は、「何を研究するか」だけでなく「どのように研究するか」を考えてみましょう。
たとえば、現代の若者文化を研究したい場合、思想的な背景を分析するのか、作品や表現を研究するのか、言語使用を分析するのか、地域社会との関係を見るのかによって、適した研究環境は変わります。
候補となる講座を2~3つ挙げ、それぞれの教員の研究内容を確認してみると、自分の研究の方向性が見えやすくなります。さらに、教員の最近の論文を読んで、研究対象だけでなく資料や分析方法にも注目してみましょう。
研究計画書を作る際にも、「○○を研究したい」というテーマだけでなく、「どのような資料を使い、どのような方法から明らかにしたいのか」まで説明できることが重要です。
修士課程入試は年2回実施される
人間・環境学研究科の修士課程入試では、第1回と第2回の試験が設けられています。例年の案内では、第1回が秋、第2回が冬に実施される流れとなっています。
募集要項についても、第1回と第2回でそれぞれ公表時期が設定されます。過年度には第1回について春、第2回について秋に案内されるスケジュールが示されています。
年2回の入試があることは、受験生にとって大きな特徴です。夏までに専門科目や外国語、研究計画の準備を進められる人は第1回、卒業論文や仕事などとの関係で準備期間を長く確保したい人は第2回を検討できます。
ただし、「年2回あるから、どの講座でも必ず2回受験できる」と考えるのは避けましょう。募集する講座や分野、試験内容などについては年度や試験回によって異なる可能性があります。必ず自分が志望する講座について募集要項を確認してください。
2028年4月入学なら第1回と第2回をどう考える?

2028年4月入学を目指す場合には、2027年に行われる第1回試験と、2028年に行われる第2回試験が主な受験機会として考えられます。
第1回試験を目指す場合には、2027年春から夏にかけて研究計画、外国語、専門科目の準備を進める必要があります。学部4年生の場合、卒業論文の執筆が本格化する前に大学院入試を受けられることはメリットの一つです。
一方、第2回試験を目指せば、第1回より長く受験勉強の時間を確保できます。ただし、学部4年生の場合には卒業論文の提出時期と大学院入試の準備が重なる可能性があります。
第2回を受験するからといって、「秋になってから勉強を始めればよい」というわけではありません。秋には卒業論文も忙しくなるため、外国語や専門科目については春から夏に基礎を固めておくと安心です。
第1回試験を目指す場合の準備
第1回試験を目指す場合、募集要項が公表されてから一から準備するのではなく、春の段階から勉強を進めておきましょう。
まず、志望講座と指導を希望する教員を絞り込みます。同時に公開されている過去問を確認し、必要となる外国語と専門科目の試験形式を把握します。
春から初夏にかけては基本的な専門知識と外国語の読解力を固めます。研究計画についても、テーマ、問い、先行研究、研究方法などを整理し、初夏には文章としてまとめ始めたいところです。
試験が近づいたら、過去問を本番と同じ時間を意識して解きます。知識を増やす勉強だけではなく、時間内に答案を書く練習へ移行することが重要です。
第2回試験を目指す場合の準備
第2回試験を目指す場合には、第1回より時間があることを生かし、研究計画や専門科目を丁寧に準備できます。
学部4年生の場合には、卒業論文と研究計画をできるだけ連動させると効率的です。卒業論文で扱った問題をさらに発展させて修士課程で研究するのであれば、卒業論文のために読んだ先行研究や集めた資料を大学院入試にも生かせます。
ただし、卒業論文と大学院での研究テーマが完全に同じである必要はありません。「卒業論文で○○を研究した結果、△△という課題が残ったため、修士課程ではさらに□□について研究したい」という形で発展させる方法もあります。
秋以降は卒業論文の執筆が忙しくなるため、大学院入試の勉強を完全に止めないようにしましょう。1日30分でも外国語を読む、週末に専門科目の論述を1問解くなど、継続できる学習計画を立てることが大切です。
オンライン入試説明会を志望講座選びに活用する
人間・環境学研究科では、オンライン形式の入試説明会が実施されることがあります。
2026年度には春と秋に説明会が案内され、全体説明に加えて講座別の説明や研究室紹介など、研究科の内部を具体的に知る機会が設けられました。
説明会に参加するときは、ただ話を聞くだけではなく、「自分の研究テーマがこの講座に合っているか」を確認する機会として活用しましょう。
参加前に、研究したい内容を100~200字程度でまとめておくことをおすすめします。さらに、関心のある教員を2~3人挙げ、それぞれの研究テーマや最近の論文を確認しておきます。
そうすると、講座別説明や研究室紹介を聞いたときに、「この先生の研究方法は自分のテーマに近い」「同じテーマでも別の講座のほうが適しているかもしれない」といった判断がしやすくなります。
研究室紹介では何を確認すればよい?
研究室紹介や講座別説明では、公式サイトだけでは分かりにくい情報を確認できる場合があります。
たとえば、大学院生がどのような研究テーマに取り組んでいるのか、ゼミや研究指導がどのように行われているのか、複数の分野を横断する研究がどの程度可能なのかなどは、進学後の研究環境を考えるうえで重要です。
質問できる機会がある場合には、「○○を研究したいのですが合格できますか」と尋ねるよりも、自分の研究内容を簡潔に説明したうえで、研究環境について具体的に質問するほうが有益です。
説明会の時間は限られているため、聞きたいことを3つ程度に絞ってメモしておきましょう。また、募集要項を読めば分かる内容については事前に確認し、説明会では研究内容や研究環境についての情報収集を優先すると効率的です。
過去問がオンラインで公開されている

人間・環境学研究科を目指す受験生にとって大きなメリットの一つが、修士課程の入試問題をオンラインで確認できることです。
過年度の入試問題では、第1外国語、第2外国語、専門科目などの問題が公開されています。専門科目については研究分野ごとに複数の問題が用意されているため、自分の志望分野に対応するものを確認する必要があります。
さらに古い年度の入試問題については、京都大学吉田南総合図書館などで閲覧できる場合があります。また、受験者がいなかった科目などについては問題が掲載されていないこともあります。
過去問を確認するときは、「難しそう」「解けそう」という印象だけで終わらせないことが重要です。何年分かを並べ、出題形式、問題数、頻出する分野、必要となる知識、論述量などを整理しましょう。
過去問は最初から解けなくてもよい
過去問を初めて見ると、専門的な問題が多く、「今の自分には難しすぎる」と感じることがあります。しかし、受験勉強を始める前に過去問を見る目的は、満点を取ることではありません。
まずは問題を見て、自分に不足している知識を確認します。知らない概念が多いのであれば基本書に戻り、知識はあるのに答案を書けないのであれば論述練習を増やします。
外国語についても、語彙が不足しているのか、文法構造を正確に取れないのか、時間が足りないのかによって対策は変わります。
最初の過去問は「実力を測る試験」ではなく、「これから何を勉強すればよいかを知るための資料」として使いましょう。
外国語は第1外国語・第2外国語の条件を確認する
人間・環境学研究科では、過去問として第1外国語や第2外国語が公開されていますが、すべての受験生が同じ外国語試験を受けるとは限りません。
自分の志望分野ではどの外国語が必要なのか、第2外国語まで必要なのか、選択できる言語は何かを募集要項で確認してください。
外国語試験対策では、一般的な語彙だけでなく、自分の研究分野で使用される専門用語にも慣れておくことが大切です。
思想を研究するのであれば哲学・思想関係の文章、言語学であれば言語学関係の論文、地域研究であれば対象地域について書かれた外国語文献などを教材にすると、専門科目と外国語の対策を並行して進められます。
過去問を使うときは、辞書を使って時間をかけて精読する段階と、本番を想定して時間を計る段階を分けましょう。最初から速度だけを重視するより、まず正確に読める状態を作ることが大切です。
専門科目は講座ごとの違いを意識する
専門科目についても、人間・環境学研究科全体で一つの共通問題を受験するわけではありません。研究分野によって必要な知識や出題形式が異なるため、自分の志望分野に対応した過去問を確認しましょう。
まず過去3年程度の問題を並べ、出題テーマを一覧にします。そのうえで、繰り返し登場する概念や分野を基本書で確認します。
人文・社会科学系の専門科目では、知識を覚えるだけでなく、一定の分量で説明・論述できる力が重要です。基本書を読んだら、重要な概念を400字程度で説明する練習を行い、慣れてきたら過去問について800字以上で答案を作ってみましょう。
答案を書いたあとは、「問いに答えているか」「専門用語を正しく使っているか」「具体例だけで終わっていないか」「結論まで論理がつながっているか」を確認します。
研究計画は教員の研究内容と照らして考える
人間・環境学研究科では、研究領域が広いからこそ、研究計画と指導を希望する教員との相性を確認することが重要です。
まず、自分の研究テーマを一文で説明してみましょう。次に、「何を明らかにしたいのか」「どのような資料を使うのか」「どのような方法で分析するのか」を整理します。
そのうえで教員の論文を読み、自分の研究とどこに接点があるのかを考えます。単に研究対象が同じというだけでなく、理論、研究方法、資料の扱い方などにも注目してください。
学際的なテーマの場合には、一人の教員だけを見て決めず、複数の教員や講座を比較すると、自分に適した研究環境を見つけやすくなります。
2028年4月入学を目指すなら今から何をする?
2028年4月入学を目指す場合には、まず過年度の募集要項と過去問を確認し、第1回と第2回のどちらを第一志望の受験機会とするかを考えましょう。
次に、10講座の中から自分の研究テーマに近い講座を2~3つ選び、所属教員の研究内容を調べます。気になる教員が見つかったら、最近の論文を少なくとも1本読んでみてください。
同時に、公開されている外国語と専門科目の過去問を一度確認します。今の段階で解けなくても問題ありません。専門知識、外国語、論述力のうち、何が不足しているのかを把握することが目的です。
その結果をもとに、外国語は毎日、専門科目は週単位、研究計画は月単位で進めるなど、学習内容を分けて管理すると準備しやすくなります。
人間・環境学研究科の入試では、年2回の受験機会があることだけに注目するのではなく、自分の研究テーマに適した講座・教員を見つけ、必要な外国語と専門科目を把握することが重要です。説明会と過去問を積極的に利用し、研究計画と筆記試験対策を並行して進めていきましょう。
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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。
※この記事で紹介した講座構成、試験時期、募集要項の公開時期、説明会、過去問の公開・閲覧方法、外国語・専門科目などには過年度の情報が含まれています。募集する講座や試験内容、出願方法などは年度によって変更される場合がありますので、出願の際は必ず京都大学大学院人間・環境学研究科の公式サイトと、対象年度の最新の募集要項を確認してください。
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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。
この記事を監修した人
小杉 樹彦(こすぎ・たつひこ)
志樹舎 創業者/博士(学術)
慶應義塾大学院修了後、2015年1月に院試専門オンライン予備校「志樹舎」を設立。
代表講師として10〜60代まで延べ5,000人以上の受験生を指導。
早慶・国公立をはじめとする難関大学院で合格率9割超の実績を持つ。
現在は大学院入試対策の専門家として、テレビ・新聞・雑誌など幅広いメディアで活動中。
ロングセラー『減点されない!勝論文』(エール出版社)ほか著書・論文多数。



