京都大学法科大学院の入試|未修者枠・既修者枠の選抜方法と日程

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京都大学大学院法学研究科法曹養成専攻、いわゆる京都大学法科大学院は、裁判官、検察官、弁護士などの法曹を目指す人のための専門職大学院です。入試では、法律を本格的に学んでいない人を主な対象とする法学未修者枠と、一定の法学知識を持つ人を対象とする法学既修者枠が設けられています。

未修者枠は原則3年間、既修者枠は原則2年間の課程となるため、入試方式だけでなく、入学後の学修期間や学費にも違いがあります。また、未修者特別選抜や法学部3年次生出願枠、5年一貫型教育選抜など複数の選抜区分があり、自分がどの区分の対象になるのかを最初に確認することが重要です。

この記事では、2027年度入試の情報をもとに、京都大学法科大学院の募集人員、未修者枠と既修者枠の違い、選抜方法、試験科目、入試日程、学費、受験までの準備について具体的に解説します。


京都大学法科大学院には未修者枠と既修者枠がある

京都大学法科大学院への進学を検討する受験生

京都大学法科大学院を目指すときに、最初に理解しておきたいのが法学未修者枠と法学既修者枠の違いです。

2027年度入試の募集人員は160名で、法学未修者枠の3年制が35名程度、法学既修者枠の2年制が125名程度とされていました。

法学未修者枠は、法学部以外の出身者など、大学で法律を体系的に学んでいない人も法曹を目指せるように設けられています。入学後は法律の基礎から学び、原則3年間で修了を目指します。

一方、法学既修者枠では、入学時点で一定水準の法律知識があることを前提としています。そのため、入試でも複数の法律科目が課され、合格後は原則2年間で修了を目指します。

「法学部出身なら必ず既修者」「他学部なら必ず未修者」と単純に考えるのではなく、それぞれの出願条件と試験内容を確認し、自分の法律学習の状況に合わせて受験区分を検討することが大切です。


2027年度入試では複数の選抜区分が設けられた

2027年度入試では、未修者枠35名程度のうち15名程度が法学未修者特別選抜で募集されました。

既修者枠125名程度には、法学部3年次生出願枠の30名以内と、5年一貫型教育選抜の20名程度が含まれていました。

そのため、受験を検討するときには、未修者の一般選抜、未修者特別選抜、既修者の一般的な選抜、法学部3年次生出願枠、5年一貫型教育選抜など、自分が利用できる選抜区分を確認する必要があります。

特に法学部に在籍している学生は、通常の既修者枠だけを見て受験計画を立てるのではなく、3年次生出願枠や5年一貫型教育選抜の対象になるかも確認しておきましょう。

一方、他学部出身者や社会人などは、未修者枠を中心に検討することになります。未修者枠にも複数の選抜方法があるため、試験内容だけでなく出願資格も確認して、自分に合った区分を選ぶことが重要です。


未修者一般選抜では小論文が重要になる

法学未修者枠の一般選抜では、小論文試験が課されます。2027年度入試では、11月14日の13時から16時までの3時間で実施されました。

未修者枠では、既修者枠のような7科目の法律科目試験は課されません。そのため、「法律を知らなくても何も準備しなくてよい」という意味ではありません。

小論文では、与えられた文章や問題を正確に理解し、論点を整理したうえで、自分の考えを論理的に示す力が重要になります。法曹には、複雑な事実関係や他者の主張を読み取り、問題点を整理して説明する力が必要になるためです。

対策では、文章を読んですぐに書き始めるのではなく、「何が問われているのか」「どのような立場が示されているのか」「自分はどのような順番で論じるのか」を整理してから答案を書く習慣をつけましょう。


未修者の小論文は3時間を使い切る練習をする

京都大学法科大学院の小論文試験に向けて答案を書く受験生

未修者一般選抜の対策では、文章力だけでなく時間配分も重要です。3時間の試験では、問題文を読む時間、構成を考える時間、答案を書く時間、最後に見直す時間を自分で管理する必要があります。

普段の練習では、社会、政治、経済、科学技術、倫理など幅広いテーマの文章を読み、内容を要約したうえで自分の考えを書く練習を行いましょう。

ただし、新聞の社説を読んで感想を書くような練習だけでは不十分です。大学院入試の小論文では、自分の好みや印象を述べるのではなく、問題文に示された情報や論理を踏まえて答案を構成する必要があります。

最初は時間を計らずに構成を作る練習を行い、慣れてきたら本番と同じ時間を設定します。試験直前には、実際に3時間机に向かって答案を完成させる練習を複数回行っておくと、本番の時間感覚をつかみやすくなります。


未修者特別選抜では口述試験が行われる

2027年度入試の法学未修者特別選抜では、口述試験による選抜が行われました。試験は2026年9月13日に実施され、試験時間は30分程度とされていました。

口述試験を受験する場合には、自分の経歴、志望理由、法曹を目指す理由などを自分の言葉で説明できるようにしておきたいところです。

特に社会人や他学部出身者の場合、「これまで学んできたことや仕事の経験と、法曹を目指すことがどのようにつながっているのか」を整理しておくとよいでしょう。

ただし、面接用の回答を一字一句暗記することはおすすめできません。「なぜ法曹なのか」「なぜ今なのか」「なぜ京都大学法科大学院なのか」といった基本的な問いについて、結論と理由を簡潔に説明できる状態を目指しましょう。

実際にどのような事項が審査対象となるのか、どのような提出書類が必要なのかは、必ず受験年度の募集要項で確認してください。


既修者枠では7科目の法律科目試験に備える

法学既修者枠では、未修者枠とは大きく異なり、法律科目の筆記試験が中心になります。

2027年度入試では、憲法、行政法、民法、民事訴訟法、刑法、刑事訴訟法、商法の7科目が課されました。試験は2日間にわたって行われるため、広い範囲の法律知識と答案作成能力が必要です。

既修者入試の準備では、基本書や判例を読むインプット学習だけでなく、実際に答案を書くアウトプット学習を早い段階から取り入れることが重要です。

問題を見たら、どの論点が問われているのかを判断し、必要な条文、判例、規範などを整理したうえで、具体的な事実に当てはめて結論を導きます。

「この論点は知っている」という状態と、「限られた時間で答案として書ける」という状態には大きな差があります。夏までに主要科目を一通り復習し、秋以降は答案作成の比重を高めるなど、段階的に準備を進めましょう。


7科目を2日間受験するため体力も必要

既修者枠の難しさは、法律科目の多さだけではありません。複数科目を2日間にわたって受験するため、長時間集中して答案を書き続ける力も必要になります。

1科目だけを自宅で解いたときには十分な答案を書けても、複数科目を連続して受験すると、後半に集中力が低下することがあります。

試験が近づいたら、過去問などを利用して、本番の時間割を意識した練習を行いましょう。少なくとも一度は、複数科目を本番に近い順番と時間で解いてみることをおすすめします。

その際、知識不足だけでなく、答案を書く速度、休憩時間の過ごし方、昼食後の集中力なども確認できます。本番の2日間を一つの試験として考えて準備することが重要です。


法学部3年次生出願枠は試験科目が異なる

法学部に在籍する学生の場合、法学部3年次生出願枠を利用できる可能性があります。

2027年度入試では、この区分の法律科目試験として憲法、民法、刑法、商法の4科目が課されました。一般の既修者枠とは科目構成が異なるため、どの区分で受験するかによって学習計画も変わります。

3年次で法科大学院への進学を目指す場合、通常より早い段階から進路を決め、必要な科目を学習しておかなければなりません。

大学の授業や定期試験だけを基準に勉強するのではなく、法科大学院入試で求められる論述形式の答案を書けるよう準備しておきましょう。


5年一貫型教育選抜も確認する

京都大学法科大学院では、法曹コースなどとの接続を意識した5年一貫型教育選抜も設けられています。

2027年度入試では、5年一貫型教育選抜について20名程度の募集が示され、口述試験による選抜が行われました。

この区分は誰でも自由に利用できる一般的な入試ではなく、対象となる教育課程や出願資格などを満たす必要があります。

法学部で早い段階から法曹を目指している人は、自分が5年一貫型教育選抜の対象になるかを確認し、大学での履修計画も含めて準備を進めてください。


出願時期は未修者特別選抜と一般選抜で異なる

京都大学法科大学院の募集要項と出願日程を確認する受験生

法科大学院入試では、選抜区分によって出願期間が異なる点にも注意が必要です。

2027年度入試では、法学未修者特別選抜の出願期間が2026年7月30日から8月5日午後5時まででした。一方、法学未修者一般選抜や法学既修者枠などについては、9月28日から10月5日午後5時までの出願期間が設定されていました。

未修者特別選抜は一般選抜よりも早く手続きが始まるため、「秋になってから法科大学院を受ける準備を始めよう」と考えていると間に合わない可能性があります。

受験する区分を決めたら、試験日だけでなく、出願期間、必要書類、検定料の支払い期限などを一つのカレンダーにまとめておきましょう。


説明会は未修者・既修者の違いを確認する機会になる

京都大学法科大学院では、入試に向けた説明会が開催されることがあります。

2027年度入試に向けては、2026年6月に京都と東京で説明会が開催されました。会場や対象によって内容や開始時間が分けられていたため、自分が受験を考えている区分に対応する案内を確認することが重要です。

説明会に参加する場合には、単に入試日程を聞くだけでなく、未修者と既修者の学修内容の違い、入学後のカリキュラム、学修支援、司法試験を見据えた教育環境など、自分が実際に進学した場合をイメージしながら情報を集めましょう。

特に未修者として進学するか、既修者として受験するか迷っている場合は、それぞれの学修内容や求められる水準を確認する機会になります。


法科大学院の学費も事前に確認しておく

法科大学院は、一般的な京都大学大学院の研究科とは授業料が異なります。

年額授業料を804,000円、入学料を282,000円として単純計算すると、法学未修者として3年間在学する場合、入学料と3年分の授業料で合計2,694,000円になります。

法学既修者として2年間で修了する場合には、入学料と2年分の授業料で合計1,890,000円となります。したがって、標準修業年限だけを比較すると、未修者と既修者では約80万円の差が生じます。

ただし、既修者枠は法律科目試験に合格するための十分な知識が求められます。学費を抑えることだけを理由に既修者枠を選ぶのではなく、自分の法学学習歴と試験への対応力を踏まえて判断しましょう。

また、実際の進学では授業料だけでなく、教材費、住居費、生活費なども必要です。奨学金や入学料・授業料に関する支援制度を利用できる可能性もあるため、合格後に慌てないよう事前に情報を確認しておくと安心です。


未修者枠を目指す人が今からやること

未修者一般選抜を目指す場合は、まず過去の小論文問題を確認し、どのような文章やテーマが扱われているかを把握しましょう。

そのうえで、文章の要約、論点整理、自分の立場の提示という順番で答案を書く練習を始めます。最初から長い答案を書くのが難しければ、問題文の要点を200字程度でまとめ、その後400字、800字と徐々に長い論述へ進んでも構いません。

未修者特別選抜を検討する場合には、出願時期が早いことを意識し、春から初夏には志望理由や法曹を目指す理由を整理しておきましょう。

特に他学部出身者や社会人は、これまで学んできた専門分野や仕事の経験が、法曹を目指すきっかけとどのようにつながっているのかを説明できるようにしておくと、志望理由を整理しやすくなります。


既修者枠を目指す人が今からやること

既修者枠を目指す場合は、まず7科目それぞれについて現在の実力を確認しましょう。得意科目だけを繰り返すのではなく、全科目で大きな穴を作らないことが重要です。

春から夏にかけては基本書、条文、重要判例などを確認し、各科目の基本的な論点を整理します。並行して短い答案を書く練習を始めましょう。

夏以降は過去問や演習問題を利用し、答案作成の比重を高めます。9月から10月には本番と同じ時間を設定し、複数科目を続けて解く練習も取り入れます。

間違えた問題については模範答案を読むだけで終わらせず、「論点に気づけなかったのか」「規範を正確に書けなかったのか」「当てはめが不足していたのか」「時間配分に失敗したのか」を分けて分析すると、次の答案改善につながります。


最初に受験区分を決めて準備を始めよう

京都大学法科大学院の入試は、未修者枠と既修者枠で試験内容が大きく異なり、さらに特別選抜、3年次生出願枠、5年一貫型教育選抜など複数の選択肢があります。

そのため、最初に行うべきことは「とりあえず法律の勉強を始める」ことではなく、自分がどの選抜区分を利用できるのかを確認することです。

未修者一般選抜なら小論文、未修者特別選抜なら口述試験、既修者枠なら法律科目というように、選抜方法によって準備内容は変わります。自分の区分を決めたら、過去問を確認し、試験日から逆算して月ごとの学習計画を立てましょう。

法科大学院入試は、合格することだけが最終目的ではありません。入学後の授業、修了、そして司法試験まで続く学修の入口です。受験区分と現在の実力を確認し、自分に合った方法で早めに準備を始めていきましょう。


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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。

※この記事で紹介した募集人員、選抜区分、出願期間、試験科目、試験日程、学費、説明会などには2027年度入試や過年度の情報が含まれています。入試制度や学費等は変更される場合がありますので、出願の際は必ず京都大学法科大学院の公式サイトと、対象年度の最新の募集要項を確認してください。

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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。

この記事を監修した人

小杉樹彦(志樹舎 創業者)

小杉 樹彦(こすぎ・たつひこ)
志樹舎 創業者/博士(学術)
慶應義塾大学院修了後、2015年1月に院試専門オンライン予備校「志樹舎」を設立。 代表講師として10〜60代まで延べ5,000人以上の受験生を指導。 早慶・国公立をはじめとする難関大学院で合格率9割超の実績を持つ。 現在は大学院入試対策の専門家として、テレビ・新聞・雑誌など幅広いメディアで活動中。 ロングセラー『減点されない!勝論文』(エール出版社)ほか著書・論文多数。