
筑波大学大学院の口述試験では何を聞かれる?面接・プレゼン・質疑応答の対策を解説
「筆記試験や書類審査が終わり、次はいよいよ口述試験」「研究計画書について、どこまで詳しく聞かれるのだろう」と不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
筑波大学大学院の入試では、多くの学位プログラムで口述試験が行われます。試験では、研究計画の内容、専門分野の基礎知識、志望理由、修了後の進路などが確認されます。
口述試験は、研究計画書に書いた内容をそのまま読み上げる場ではありません。面接官からの質問に対して、研究の必要性や方法を自分の言葉で説明できるかが重要です。
この記事では、筑波大学大学院の口述試験で聞かれやすい質問、研究プレゼンの組み立て方、質疑応答への対応、試験直前に確認したいポイントを解説します。
筑波大学大学院の口述試験とは?
口述試験は、提出した研究計画書や志望理由書、職務経歴、これまでの研究内容などをもとに、面接形式で行われる試験です。
試験時間は学位プログラムによって異なりますが、15分から30分程度で行われる場合があります。研究計画について5分から10分程度で説明し、その後に10分から20分程度の質疑応答を行う形式も見られます。
対面で実施される場合もあれば、オンラインで行われる場合もあります。プレゼンテーション資料を使えるか、口頭説明のみか、資料の事前提出が必要かも学位プログラムごとに異なります。
過去の形式をそのまま当てはめず、受験年度の募集要項や受験者向け案内を確認しましょう。
口述試験で評価される主なポイント
口述試験では、研究テーマへの関心だけでなく、大学院で研究を進めるための基礎力があるかを確認されます。
特に重視されるのは、研究計画の論理性です。研究背景、先行研究、研究上の問い、目的、方法、期待される成果が一つの流れとしてつながっている必要があります。
また、志望分野の基礎知識を理解しているか、質問の意図を正しく捉えられるか、わかりやすく簡潔に答えられるかも評価されます。
社会人受験生の場合は、仕事と研究を両立できるか、勤務先のデータを研究に利用できるかなど、研究の実現可能性も確認されます。
頻出質問① 研究計画の概要を説明してください
口述試験では、「研究計画を3分で説明してください」「研究内容を簡潔に紹介してください」と求められることがあります。
説明する順番は、研究背景、研究上の問い、目的、方法、期待される成果が基本です。
例えば、「近年、〇〇という課題がある」「先行研究では〇〇まで明らかになっているが、〇〇は十分に検討されていない」「そこで本研究では〇〇を明らかにする」「〇〇を対象として〇〇の方法で分析する」という流れで話します。
背景を長く説明しすぎると、研究目的や方法を話す時間がなくなります。3分の場合は、研究背景30秒、問いと目的45秒、方法1分、成果と意義45秒程度を一つの目安にするとよいでしょう。
頻出質問② この研究の問いは何ですか?
研究の問いは、研究を通して答えを出したい中心的な質問です。
「〇〇について研究します」というテーマの説明だけでは、問いになっていません。
例えば、「オンライン授業について研究する」ではなく、「教員によるフィードバックの頻度は、学生の学習継続にどのような影響を与えるのか」とすると、何を明らかにしたいのかが伝わります。
面接前には、自分の問いを一文で答えられるようにしましょう。説明が長くなる場合は、研究対象や目的がまだ絞り切れていない可能性があります。
頻出質問③ 先行研究との違いは何ですか?
面接官は、その研究がすでに行われていないか、どのような新しさがあるのかを確認します。
答えるときは、「先行研究がない」と言い切るのではなく、「先行研究では〇〇が検討されているが、〇〇という対象や条件は十分に扱われていない」と説明します。
新規性は、まったく新しいテーマである必要はありません。対象地域、年代、データ、理論、分析方法などを変えることで、新しい知見を示せる場合があります。
先行研究を2本から3本だけ読むのではなく、主要な研究の流れを整理し、自分の研究がどこに位置するのかを説明できるようにしましょう。
頻出質問④ なぜその研究方法を選んだのですか?
研究方法については、「アンケートを行います」「AIで分析します」と答えるだけでは不十分です。
なぜその方法で研究上の問いに答えられるのかを説明する必要があります。
例えば、対象者の意識や経験を詳しく理解したい場合はインタビュー調査、複数の要因の関係を確認したい場合は質問紙調査や統計分析など、目的と方法を結びつけます。
理工系の場合は、使用するモデル、装置、実験条件、評価指標について聞かれることがあります。既存の方法ではなく、その方法を選ぶ理由を説明できるようにしましょう。
頻出質問⑤ データや調査対象を本当に集められますか?
研究計画が理論的に良くても、必要なデータを入手できなければ研究は進みません。
面接では、対象者の募集方法、必要人数、調査場所、勤務先や施設からの許可などを質問されることがあります。
「知人に協力してもらいます」「勤務先で実施する予定です」という説明だけでは、実現可能性が弱く見えます。
誰に依頼し、どのような手続きで許可を得るのか、協力が得られなかった場合の代替案まで考えておきましょう。
人を対象とする研究では、倫理審査、説明と同意、個人情報の管理についても答えられるようにする必要があります。
頻出質問⑥ なぜ筑波大学を志望したのですか?
「有名な大学だから」「研究環境が整っているから」だけでは、筑波大学でなければならない理由が伝わりません。
志望教員の研究分野、利用したい研究方法、学位プログラムの特徴、関連する研究センターや連携機関などを具体的に挙げましょう。
例えば、「〇〇先生が用いている〇〇の分析方法を学び、自分の研究対象である〇〇に応用したい」と説明すると、研究上の接点が伝わります。
事前に指導教員へ連絡している場合は、面談で確認した研究の方向性や助言を簡潔に説明できるようにしておきましょう。
頻出質問⑦ 入学後の研究スケジュールは?
修士課程では通常2年間、博士後期課程では通常3年間で研究を進めます。
面接では、入学後にいつ文献を整理し、いつ調査や実験を行い、いつ分析や論文執筆を進めるのかを質問されることがあります。
例えば、修士課程であれば、1年目前半に先行研究の整理と方法の確定、後半に予備調査と本調査、2年目前半に分析、後半に修士論文を執筆するという流れが考えられます。
社会人の場合は、平日や週末に何時間研究するのか、繁忙期にどう対応するのかも説明できるようにしましょう。
頻出質問⑧ 修了後の進路をどう考えていますか?
大学院修了後の進路も聞かれることがあります。
研究者、企業の専門職、公務員、医療・教育現場、博士後期課程への進学など、自分が目指す進路を具体的に説明しましょう。
ただし、進路だけを述べるのではなく、大学院で身につける専門性や研究成果をどのように生かすのかまで話すことが重要です。
例えば、「修了後は人事部門で働きたい」ではなく、「研究で得た組織行動の知見を生かし、若手社員の定着支援に関わりたい」とつなげます。
プレゼンテーションの組み立て方
プレゼンテーションがある場合は、指定時間を必ず守ります。5分の発表を7分話すと、質疑応答の時間を減らしてしまいます。
5分程度の発表であれば、研究背景、先行研究と問い、目的、方法、期待される成果を簡潔にまとめます。
スライドを使用できる場合は、1枚に多くの文章を入れず、1枚につき一つの内容に絞ります。5分の発表であれば、4枚から6枚程度が一つの目安です。
文字は面接官が読める大きさにし、図や表を使う場合も、何を示しているのかを言葉で説明できるようにしましょう。
口頭のみの場合は、原稿をすべて暗記するのではなく、話す順番と重要な言葉を覚えます。暗記が飛んでも立て直せるように、研究の流れを理解しておくことが大切です。
厳しい質問をされたときの対応
面接官から、「その方法ではデータが集まらないのではないですか」「そのテーマはすでに研究されています」と厳しく指摘されることがあります。
これは、受験生を困らせることだけが目的ではありません。指摘を受けたときに、論理的かつ柔軟に対応できるかを確認しています。
まず、質問や指摘を最後まで聞きます。内容を正確に理解できなかった場合は、「確認ですが、〇〇という点についてのご質問でしょうか」と聞き返しても問題ありません。
指摘が妥当な場合は、無理に反論せず、「ご指摘の通り、その点は現在の計画の課題です。〇〇の方法も含めて再検討したいと考えます」と答えます。
ただし、どの質問にも同意するだけでは、自分の考えがないように見えます。自分の方法に理由がある場合は、根拠を示したうえで丁寧に説明しましょう。
わからない質問への答え方
専門用語や理論について聞かれ、答えがわからないこともあります。
その場で知ったかぶりをしたり、事実と異なる説明をしたりすることは避けましょう。
「現時点では十分に理解できていません」「その文献は未確認です」と正直に伝えたうえで、自分が理解している範囲を説明します。
例えば、「〇〇については十分に確認できていませんが、私の研究では〇〇との関係があると考えています。今後、関連文献を確認します」と答えます。
すべての知識を持っていることよりも、自分の不足を把握し、学ぶ姿勢があることが大切です。
模擬面接で練習する
口述試験対策では、頭の中で答えを考えるだけでなく、実際に声に出して練習することが重要です。
研究計画を1分、3分、5分の3種類で説明できるようにしましょう。時間によって内容を調整できると、当日の指示にも対応しやすくなります。
家族や友人など専門外の人にも説明し、内容が伝わるか確認してください。専門用語が多すぎる場合は、面接官にも研究の全体像が伝わりにくくなる可能性があります。
模擬面接では、回答内容だけでなく、話す速さ、声量、目線、姿勢も確認します。自分の様子を録画すると、話し方の癖に気づきやすくなります。
対面試験の直前確認
対面試験では、集合場所、受付時間、交通経路、持参物を確認します。
筑波大学はキャンパスが広く、建物を間違えると移動に時間がかかる可能性があります。初めて訪れる場合は、最寄りのバス停や建物までの経路を調べておきましょう。
受験票、本人確認書類、筆記用具など、指定された持参物を前日に準備します。
当日は交通機関の遅延も考え、受付時間より早めに到着できるように行動しましょう。
オンライン試験の直前確認
オンライン試験では、通信環境、パソコン、カメラ、マイク、照明を確認します。
可能であれば、有線LANや安定したWi-Fiを使用し、家族や同居人に試験時間を伝えて静かな環境を確保します。
カメラは顔が正面から映る高さに置きます。逆光になると表情が見えにくいため、窓の位置や照明も確認しましょう。
使用するZoomなどのアプリは事前に更新し、表示名、マイク音量、背景を確認します。
通信が切れた場合の連絡方法や再接続の手順も、受験者向け案内で確認しておきましょう。
試験前日に新しい内容を詰め込みすぎない
試験前日は、新しい論文や専門知識を大量に覚えようとするよりも、これまで準備した内容を整理する方が効果的です。
研究上の問い、目的、方法、新規性、筑波大学を選んだ理由、修了後の進路を短く答えられるか確認しましょう。
提出した研究計画書の最終版も読み直します。出願後に内容を修正している場合は、提出版と現在の考えが混ざらないよう注意してください。
十分な睡眠を取り、落ち着いて試験に臨める状態を整えることも大切です。
まとめ
筑波大学大学院の口述試験では、研究計画の内容、専門知識、志望理由、研究の実現可能性、修了後の進路などが確認されます。
特に重要なのは、研究背景、問い、目的、方法、新規性を一つの流れとして説明できることです。
研究計画の概要、先行研究との違い、筑波大学を選んだ理由、入学後のスケジュール、修了後の進路については、自分の言葉で答えられるように準備しましょう。
厳しい質問を受けても、焦って言い訳をしたり、知ったかぶりをしたりする必要はありません。指摘の内容を受け止め、自分の考えと今後の改善方法を丁寧に説明することが大切です。
時間を測ったプレゼン練習と模擬面接を繰り返し、研究計画の内容を理解したうえで、本番に臨みましょう。
※口述試験の実施時間、対面・オンラインの別、プレゼンテーション資料の使用可否、持参物、評価方法などは、年度や学位プログラムによって異なります。受験前には必ず筑波大学公式サイト、最新の募集要項、受験者向け案内をご確認ください。
志樹舎
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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。
この記事を監修した人
小杉 樹彦(こすぎ・たつひこ)
志樹舎 創業者/博士(学術)
慶應義塾大学院修了後、2015年1月に院試専門オンライン予備校「志樹舎」を設立。
代表講師として10〜60代まで延べ5,000人以上の受験生を指導。
早慶・国公立をはじめとする難関大学院で合格率9割超の実績を持つ。
現在は大学院入試対策の専門家として、テレビ・新聞・雑誌など幅広いメディアで活動中。
ロングセラー『減点されない!勝論文』(エール出版社)ほか著書・論文多数。


