筑波大学大学院の研究計画書の書き方とは?文字数・要件と合格につながる構成を解説

筑波大学大学院の受験準備を進める中で、多くの受験生が苦戦するのが研究計画書の作成です。

「何から書き始めればよいのかわからない」「先行研究と自分の研究をどうつなげればよいのか」「興味のあるテーマはあるけれど、研究として成立するのか不安」と感じている方も多いのではないでしょうか。

研究計画書は、大学院で取り組みたい研究内容を説明するだけの書類ではありません。研究分野への理解、論理的に考える力、研究方法の妥当性、修了までに実施できる可能性などを伝える重要な出願書類です。

この記事では、筑波大学大学院の研究計画書について、文字数やWeb Entryの入力ルール、基本構成、先行研究のまとめ方、研究の問いを立てる方法までわかりやすく解説します。


研究計画書の文字数と提出方法を確認する

筑波大学大学院では、多くの学位プログラムでWeb Entryシステムを利用して出願します。研究計画書についても、Web上の所定欄へ直接入力する形式が採用される場合があります。

指定される文字数は学位プログラムや選抜区分によって異なりますが、日本語では2,000字から3,000字程度、英語では約600語を目安とするケースがあります。

ただし、すべての学位プログラムが同じ条件ではありません。研究計画書ではなく研究概要、志望理由、研究経過報告など、別の名称や形式で提出を求められる場合もあります。

参考文献の記載も文字数に含まれることがあるため、本文を上限まで書いてしまうと、必要な文献情報を記載できなくなる可能性があります。2,000字が上限の場合は、本文を1,800字前後にまとめ、残りを参考文献や調整に使うと安心です。


図表や特殊記号を使えるとは限らない

Web Entryの入力欄では、基本的に文章だけで研究内容を説明します。図、表、グラフ、画像などを入力できない場合があるため、視覚的な資料に頼らず、研究の流れを文章で伝える力が必要です。

例えば、調査の手順を図で示したい場合でも、「第1段階では〇〇を行い、第2段階では得られたデータを〇〇の方法で分析する」と文章で説明します。

数式、ギリシャ文字、特殊記号などが研究上どうしても必要な場合は、所定の様式を利用して提出できることがあります。自己判断で別紙を追加するのではなく、募集要項に記載された方法を確認してください。


研究計画書の基本構成

研究計画書では、研究背景、先行研究、研究目的、研究方法、期待される成果を一つの流れとして組み立てます。

文章を書く前に、それぞれの項目で何を伝えるのかを整理しておくと、限られた文字数の中でも内容をまとめやすくなります。

日本語で2,000字から3,000字程度の場合は、研究背景を全体の約20%、先行研究と研究上の問いを約30%、研究目的と方法を約35%、期待される成果や今後の展望を約15%と考えると、一つの目安になります。

ただし、機械的に文字数を分ける必要はありません。研究方法が重視される理系分野では方法を厚くし、人文社会系では先行研究や研究対象の位置づけを丁寧に説明するなど、研究分野に合わせて調整しましょう。


研究題目は対象・目的・視点が伝わる形にする

研究題目は、最初に読まれる部分です。「教育について」「AIの研究」「地域活性化に関する研究」のような広すぎる題目では、何を調べるのかが伝わりません。

例えば、「地方自治体における観光施策の研究」よりも、「地方都市の若年層向け観光施策が再訪意向に与える影響」の方が、対象と目的が具体的です。

題目には、研究対象、調べたい関係、使用する視点や方法の一部を入れると、内容が伝わりやすくなります。ただし、長くなりすぎると読みづらいため、一文で簡潔にまとめましょう。


研究背景では問題意識を具体的に示す

研究背景では、そのテーマに関心を持った個人的なきっかけだけでなく、社会や学問の中でどのような課題があるのかを説明します。

「以前から興味があったため研究したい」という説明だけでは、大学院で研究する必要性が十分に伝わりません。

例えば、教育現場での経験を研究につなげる場合は、「勤務先でこのような問題を感じた」という体験に加えて、全国的な調査結果や関連する研究を示し、個人的な経験だけではない課題として位置づけます。

研究背景を書いた後に、「そのため、本研究では何を明らかにする必要があるのか」へ自然につながることが重要です。


先行研究は並べるのではなく整理する

研究計画書で特に重要なのが、先行研究の整理です。読んだ論文を1本ずつ紹介するだけでは、研究分野の全体像を理解していることが伝わりにくくなります。

先行研究は、研究対象、理論、調査方法、主張などの共通点によって分類すると整理しやすくなります。

例えば、「〇〇に関する研究は、制度面を分析した研究と、利用者の意識を調査した研究に分けられる」と整理したうえで、それぞれの成果と限界を示します。

その後、「制度の効果は検討されているが、地域による違いは十分に明らかにされていない」のように、既存研究で残されている課題を説明します。

先行研究の目的は、知識量を見せることではありません。自分の研究が、これまでの研究のどこに位置し、何を新しく明らかにするのかを示すことが大切です。


研究の問いは具体的に絞り込む

研究の問いとは、研究を通じて答えを出したい中心的な質問です。

「〇〇の現状を明らかにする」「〇〇について考察する」だけでは、何を基準に調べるのかが曖昧です。

例えば、「大学院生の就職活動について調べる」ではなく、「研究活動と就職活動の両立において、指導体制の違いが院生の負担感にどのような影響を与えるのか」とすると、対象と関係が明確になります。

問いを考える際は、対象となる人や地域、期間、比較する条件、明らかにしたい要因を具体的にします。

修士課程であれば、通常は2年間で研究をまとめる必要があります。社会全体を対象にするような大きな問いではなく、入手できる資料や協力者の数を考え、実施可能な範囲へ絞り込みましょう。


研究目的は問いに対応させる

研究目的は、研究の問いに対して何を明らかにするのかを示す部分です。

研究背景で「問題がある」と述べ、先行研究で「まだ明らかになっていない点」を示した後、その課題に答える形で研究目的を書きます。

例えば、問いが「オンライン授業における教員のフィードバックが学生の学習継続にどのような影響を与えるか」であれば、目的は「フィードバックの内容と頻度が学習継続に与える影響を明らかにする」となります。

研究背景、先行研究、問い、目的の内容がずれていないかを確認しましょう。この4つが一本の流れでつながっていると、研究計画書の説得力が高まります。


研究方法は実際に行う手順まで書く

研究方法では、「アンケートを行う」「インタビューで調査する」「実験を行う」と書くだけでは不十分です。

誰を対象にするのか、何人程度を予定しているのか、どのように協力者を集めるのか、どのような項目を調査するのか、得られたデータをどのように分析するのかまで具体的に説明します。

文献研究であれば、対象とする資料、年代、地域、選定基準、分析の視点を明確にします。実験研究であれば、実験条件、測定項目、比較方法などを示します。

人を対象とする調査では、研究倫理への配慮も必要です。個人情報の管理、説明と同意、匿名化などについて、必要に応じて触れましょう。

また、調査協力者や資料を本当に確保できるのかも確認されます。勤務先の職員を対象にする場合でも、自由に調査できるとは限りません。研究開始後に許可が得られない可能性も考え、代替方法を検討しておくことが大切です。


研究期間内の進め方を示す

修士課程では、入学後の2年間で調査、分析、論文執筆を進めます。研究計画書には、研究のおおまかな進行予定を入れると実現可能性が伝わりやすくなります。

例えば、1年目の前半に先行研究の整理と調査方法の確定、後半に予備調査と本調査を行い、2年目の前半に分析、後半に論文執筆を進めるという流れです。

博士後期課程や5年一貫制博士課程の場合は、より長い期間を見据えた研究計画が必要です。途中で学会発表や論文投稿を行う予定も含めると、研究者としての見通しが伝わります。


期待される成果と研究の意義を書く

期待される成果では、研究によって何が新しくわかるのかを説明します。

研究の意義には、学術的意義と社会的意義があります。学術的意義は、既存研究にどのような知見を追加できるかという点です。社会的意義は、研究成果が現場、制度、企業、教育、医療などにどのように役立つ可能性があるかという点です。

ただし、「社会に貢献する」「多くの人の役に立つ」と大きく書くだけでは具体性がありません。誰に対して、どのような判断や改善に役立つのかを示しましょう。


筑波大学で研究する理由を明確にする

研究計画書では、研究内容だけでなく、なぜ筑波大学大学院でその研究を行いたいのかが伝わることも重要です。

志望する学位プログラムの教育方針、研究設備、連携機関、履修できる授業、指導教員の専門分野などを確認し、自分の研究に必要な環境とのつながりを考えます。

「有名な大学だから」「研究環境が充実しているから」という説明だけでは、他大学でも成立します。

例えば、「〇〇先生が進めている〇〇の研究方法を学び、自分の研究対象である〇〇の分析に応用したい」のように、具体的な研究上の接点を示すと説得力が高まります。


アドミッション・ポリシーとの相性も確認する

各学位プログラムには、どのような学生を受け入れたいかを示すアドミッション・ポリシーがあります。

学際的な研究を重視するプログラム、国際的な発信力を求めるプログラム、実務課題の解決を重視するプログラムなど、求められる姿勢は異なります。

アドミッション・ポリシーの言葉をそのまま研究計画書に書き写す必要はありません。自分の研究テーマや方法が、プログラムの教育目標とどのようにつながっているかを確認し、内容に反映させることが大切です。


事前面談で研究計画書を確認する

筑波大学大学院では、学位プログラムによって、出願前の指導教員への連絡が必要または推奨されています。

事前面談の前に研究計画書の初期案を作成しておくと、研究テーマが指導可能か、方法に問題がないか、必要な設備やデータを利用できるかを相談しやすくなります。

ただし、指導教員が研究計画書を全面的に添削してくれるとは限りません。まずは自分で先行研究を読み、問いと方法を整理した案を用意しましょう。

面談で受けた助言をそのまま書き写すのではなく、なぜ修正が必要なのかを考え、自分の言葉で計画書を組み直すことが重要です。


提出前に確認したいポイント

完成後は、研究題目、研究背景、先行研究、問い、目的、方法、成果が一つの流れでつながっているかを確認します。

研究目的と研究方法が対応しているか、2年間または定められた修業年限で実施できるか、必要なデータや資料を確保できるかも見直しましょう。

さらに、文字数、入力形式、参考文献の書き方、特殊記号の扱いなど、募集要項の指定を守っているか確認します。

文章をWeb Entryへ貼り付けた後は、改行や記号が正しく表示されているかも確認してください。別のソフトから貼り付けることで、文字化けや不要な空白が入る場合があります。


まとめ

筑波大学大学院の研究計画書では、限られた文字数の中で、研究背景、先行研究、研究上の問い、目的、方法、期待される成果を論理的に説明する必要があります。

重要なのは、壮大な目標を書くことではありません。既存研究で明らかになっていることと未解明なことを整理し、自分が何を、どのような方法で、どこまで明らかにするのかを具体的に示すことです。

修士課程であれば2年間、博士課程であれば3年から5年程度で実施できる現実的な計画になっているかも確認されます。

研究計画書は、一度で完成するものではありません。先行研究を読み直し、問いを絞り、志望指導教員との相性を確認しながら何度も修正することで、内容の説得力が高まります。早めに初期案を作成し、出願までに十分な見直しを行いましょう。


※研究計画書の名称、文字数、提出方法、図表や特殊記号の扱い、事前連絡の要否などは、年度や学位プログラムによって異なります。出願前には必ず筑波大学公式サイトと最新の募集要項をご確認ください。

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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。

この記事を監修した人

小杉樹彦(志樹舎 創業者)

小杉 樹彦(こすぎ・たつひこ)
志樹舎 創業者/博士(学術)
慶應義塾大学院修了後、2015年1月に院試専門オンライン予備校「志樹舎」を設立。 代表講師として10〜60代まで延べ5,000人以上の受験生を指導。 早慶・国公立をはじめとする難関大学院で合格率9割超の実績を持つ。 現在は大学院入試対策の専門家として、テレビ・新聞・雑誌など幅広いメディアで活動中。 ロングセラー『減点されない!勝論文』(エール出版社)ほか著書・論文多数。