横浜国立大学大学院進学で研究生・科目等履修生制度を活用する方法
横浜国立大学大学院への進学を考えているものの、「いきなり正規課程の入試を受けるのは不安」「他分野からの進学なので、専門知識が足りない」と感じている方もいるのではないでしょうか。
そのような場合に検討できるのが、研究生や科目等履修生といった非正規生の制度です。どちらも修士号や博士号を取得するための正規課程ではありませんが、大学院進学に向けた準備として活用できる場合があります。
ただし、研究生や科目等履修生になれば、正規課程の入試で必ず有利になるわけではありません。制度の目的を理解し、自分に必要な準備と合っているかを判断することが大切です。
この記事では、横浜国立大学大学院への進学を目指す方に向けて、研究生と科目等履修生の違い、制度を利用するメリット、出願前に確認しておきたい注意点を解説します。
研究生とはどのような制度か
研究生とは、特定の研究テーマについて、一定期間、教員の指導を受けながら研究を行う制度です。正規の大学院生とは異なり、修士号や博士号の取得を目的とする課程ではありません。
研究生の主な目的は、授業の単位を集めることではなく、自分の研究を進めることです。志望する研究分野の文献を読み、研究テーマを整理し、調査方法や分析方法を検討します。
例えば、学部時代とは異なる分野の大学院を志望する場合、いきなり研究計画書を完成させるのが難しいことがあります。そのような方が研究生として基礎知識を補いながら、研究の方向性を定めるケースがあります。
また、外国の大学を卒業した方が、日本の大学院での研究方法や日本語による学修環境に慣れるために研究生制度を利用することもあります。
ただし、研究生として受け入れられるためには、希望する教員の指導を受けられることが前提になる場合があります。出願前に教員へ連絡し、研究内容を説明したうえで、受け入れの内諾を得るよう求められることもあります。
科目等履修生とはどのような制度か
科目等履修生とは、大学や大学院で開講されている授業の中から、特定の科目を選んで履修する制度です。授業を受け、試験やレポートなどの条件を満たすと、単位を取得できる場合があります。
研究生が研究活動を中心とするのに対し、科目等履修生は授業を通じて必要な知識を学ぶことが中心です。
例えば、経済学以外の学部を卒業した方が大学院で経済学を研究したい場合、ミクロ経済学、マクロ経済学、統計学などの基礎科目を履修する方法が考えられます。
社会人が仕事に必要な専門知識を身につけるために、大学院の授業を1科目または数科目だけ履修することもあります。正規課程へ進学するか迷っている方が、授業内容や学修負担を確認するために利用する場合もあるでしょう。
なお、授業へ参加するだけで単位を取得しない聴講生制度が設けられる場合もあります。研究生、科目等履修生、聴講生では目的と条件が異なるため、募集要項を確認して自分に合う制度を選ぶ必要があります。
研究生として研究テーマを具体化できる
研究生制度を利用するメリットの一つは、大学院入試へ出願する前に、研究テーマを具体化できる可能性があることです。
大学院入試では、研究計画書の提出を求められることがあります。研究計画書には、研究の背景、問題意識、先行研究、研究目的、研究方法などを記載します。
しかし、他分野から進学する方や研究経験が少ない方にとって、最初から実現可能な研究計画を作ることは簡単ではありません。
研究生として文献を読み、教員の助言を受けながら研究テーマを整理することで、何を明らかにしたいのか、どの方法を使うのかを具体的に考えられるようになります。
ただし、教員が大学院入試用の研究計画書を完成させてくれるわけではありません。研究生であっても、自分で資料を探し、考え、文章にまとめる姿勢が求められます。
指導教員や研究環境との相性を確認できる
大学院では、指導教員との関係が研究生活に大きく影響します。研究テーマが近くても、指導方法や研究の進め方が自分に合うとは限りません。
研究生として一定期間研究に取り組むことで、教員がどのくらいの頻度で指導するのか、学生にどの程度の自主性を求めるのか、研究室内でどのような交流があるのかを知る機会になります。
また、図書館や研究設備、ゼミの雰囲気などを確認できる場合もあります。正規課程へ入学してから「想像していた環境と違った」と感じるリスクを減らせる点はメリットです。
一方で、研究生として所属した教員のもとへ、正規課程入学後も必ず進めるとは限りません。教員の受け入れ状況や入試結果によっては、希望どおりにならない可能性もあります。
科目等履修生として専門知識を補える
科目等履修生制度は、大学院入試や入学後の研究に必要な知識を補うために活用できます。
例えば、情報系の大学院を志望する文系出身者が、プログラミングや統計学の授業を履修することがあります。都市研究を志望する方が、都市計画や地域政策の科目を学ぶことも考えられます。
授業を履修することで、専門用語や代表的な理論を体系的に学べるため、独学では理解しにくかった分野を整理しやすくなります。
また、正規課程へ入学した後、科目等履修生として取得した単位が認定される場合があります。ただし、認定の可否や上限は学府の規則や審査によって決まります。
取得した単位が自動的に修了要件へ算入されるわけではありません。将来の単位認定を期待して利用する場合は、出願前に担当窓口へ確認しておきましょう。
国際社会科学府などでも募集情報が案内される
横浜国立大学大学院では、学府や専攻ごとに研究生、科目等履修生、聴講生などの募集情報が案内される場合があります。
国際社会科学府の経済学専攻では、研究生、科目等履修生、聴講生に関する募集情報が専攻の公式サイトで案内されることがあります。過去には10月下旬から11月上旬頃に、翌年度の募集情報が掲載された事例もあります。
国際経済法学専攻でも、研究生や科目等履修生に関する入試情報が掲載される場合があります。法学や政治学を学んできた方だけでなく、社会人や他分野の出身者が利用を検討するケースも考えられます。
このほか、理工学府、環境情報学府、経営学専攻などでも、制度が設けられる場合があります。ただし、すべての学府や専攻が毎年度募集するとは限りません。
募集時期、受け入れ人数、在籍期間、選考方法は専攻によって異なるため、大学全体のページだけでなく、志望する学府や専攻の公式サイトを確認してください。
研究生への出願では教員への事前連絡が重要
研究生へ出願する場合は、募集要項を確認する前後の段階で、指導を希望する教員を探す必要があります。
まず、教員の研究テーマ、論文、担当授業などを調べ、自分の研究内容と合っているかを確認します。そのうえで、研究したい内容、これまでの学習歴、研究生を希望する理由を整理して連絡します。
連絡するときは、「大学院に入りたいので研究生にしてください」とだけ伝えるのではなく、どのような問題に関心があり、研究生の期間に何を進めたいのかを具体的に説明することが大切です。
教員によっては、研究計画書や履歴書、成績証明書などの提出を求めることがあります。返信が来るまで時間がかかる場合もあるため、出願締切の直前ではなく、余裕を持って準備しましょう。
非正規生でも選考や費用がある
研究生や科目等履修生は、希望すれば無条件で受け入れられる制度ではありません。書類審査、面接、口述試験などの選考が行われることがあります。
研究生の場合は、研究テーマが教員の専門分野と合っているか、研究を進めるための基礎学力があるか、在籍目的が明確かなどを確認されます。
科目等履修生の場合も、履修に必要な知識があるか、授業の定員に余裕があるかなどによって、受講が認められないことがあります。
また、検定料、入学料、授業料などが必要です。正規課程より負担が小さいとは限らず、履修する単位数や在籍期間によって費用が変わります。
制度を利用する前に、必要な費用と通学時間、仕事や学部の授業との両立が可能かを確認しましょう。
研究生や科目等履修生は合格を保証する制度ではない
研究生や科目等履修生として横浜国立大学で学んでも、博士課程前期の入試に自動的に合格できるわけではありません。
正規課程へ進学するためには、改めて一般入試などへ出願し、筆記試験、研究計画書、面接などの選考を受ける必要があります。
研究生として教員と関係を築いていても、必要な学力や研究内容が入試基準に達していなければ不合格になる可能性があります。
そのため、制度を大学院入試の近道と考えるのではなく、自分に不足している知識や研究経験を補う期間として利用することが重要です。
すでに研究計画が固まり、専門科目や英語の準備も進んでいる方は、研究生を経ずに正規課程へ直接出願した方が適している場合もあります。
自分の課題に合わせて制度を選ぼう
横浜国立大学大学院への進学ルートは、正規課程への直接出願だけではありません。研究テーマを深めたい方は研究生、特定の知識を補いたい方は科目等履修生というように、目的に応じて制度を活用できます。
研究生は、教員の指導を受けながら研究の土台を整えたい方に向いています。科目等履修生は、必要な授業を選んで専門知識を学びたい方に向いています。
一方で、どちらも学位を取得できる制度ではなく、正規課程への合格を保証するものでもありません。時間と費用がかかるため、利用する目的を明確にしておく必要があります。
まずは自分に不足しているものが、研究経験なのか、専門知識なのか、研究環境への理解なのかを整理しましょう。そのうえで、志望する学府や専攻の募集情報を確認し、必要に応じて教員や担当窓口へ相談してください。
自分の状況に合った制度を選び、研究計画書、専門科目、英語試験などの準備と並行して進めることが、横浜国立大学大学院への着実な一歩になります。
※研究生、科目等履修生、聴講生の募集の有無、出願資格、事前連絡の方法、在籍期間、費用、選考内容、単位認定などは年度や学府・専攻によって変更される場合があります。必ず最新の公式サイトと募集要項をご確認ください。
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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。
この記事を監修した人
小杉 樹彦(こすぎ・たつひこ)
志樹舎 創業者/博士(学術)
慶應義塾大学院修了後、2015年1月に院試専門オンライン予備校「志樹舎」を設立。
代表講師として10〜60代まで延べ5,000人以上の受験生を指導。
早慶・国公立をはじめとする難関大学院で合格率9割超の実績を持つ。
現在は大学院入試対策の専門家として、テレビ・新聞・雑誌など幅広いメディアで活動中。
ロングセラー『減点されない!勝論文』(エール出版社)ほか著書・論文多数。


