大学院入試の口述試験では、知識の限界を試すような質問が出されることがあります。
- 「〇〇理論についてどう考えますか?」
- 「最新の××の論文は読みましたか?」
こうした問いに直面すると、不安や焦りを感じるのは自然なことです。
しかし、ここで最も避けたいのは知ったかぶり(根拠のない回答)です。
学術の世界では、知的な誠実さ(Intellectual Honesty)は非常に重視されます。
不正確な知識を断定的に語ることは、能力不足以上に信頼を損なう行為と受け取られる可能性があります。
一方で、単に「わかりません」と答えるだけでは、思考の過程が伝わりません。
評価される受験生は、次のように誠実さと考える力の両方を示しています。
1.「知っている範囲」と「知らない範囲」を明確にする
重要なのは、0か100かではなく、自分の理解の範囲を丁寧に示すことです。
NG例
「すみません、わかりません。」
OK例
「その用語の厳密な定義については存じ上げません。ただ、関連する〇〇という概念については理解しており、文脈としては××に近い意味ではないかと推測しておりますが、相違ないでしょうか。」
このように答えることで、
- 理解している範囲
- 思考のプロセス
- 学ぼうとする姿勢
を同時に伝えることができます。
2.推論力で考えを示す
知識として暗記していなくても、論理的に推論できる場合があります。
例:
「正確な数値は把握しておりませんが、〇〇の傾向から考えると、上昇傾向にある可能性が高いと考えます。なぜなら…」
このように、
- 前提
- 推論
- 結論
を示すことで、思考力を伝えることができます。
面接官が見ているのは、単なる知識量ではなく、未知の課題にどう向き合うかという姿勢です。
3.どうしても答えられない場合の伝え方
何も答えられない場合は、率直に認めたうえで、次の行動を示しましょう。
例:
「勉強不足で申し訳ありません。その点は私の研究テーマに関連する重要な視点だと感じましたので、帰宅後すぐに関連文献を確認し、入学までに理解を深めたいと思います。」
単なる謝罪ではなく、学ぶ意欲として伝えることが大切です。
まとめ:「知らない」を誠実に扱える人が信頼される
研究の世界では、「何を知らないか」を自覚していることも重要な資質です。
- 知っている範囲を示す
- 推論で考えを伝える
- 学ぶ姿勢を明確にする
わからないことを恐れる必要はありません。
誠実に向き合い、考え、学ぼうとする姿勢そのものが、研究者としての適性を伝えます。
落ち着いて、自分の言葉で答えてください。
その姿勢は、必ず面接官に伝わります。
志樹舎
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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。
この記事を監修した人
小杉 樹彦(こすぎ・たつひこ)
志樹舎 創業者/博士(学術)
慶應義塾大学院修了後、2015年1月に院試専門オンライン予備校「志樹舎」を設立。
代表講師として10〜60代まで延べ5,000人以上の受験生を指導。
早慶・国公立をはじめとする難関大学院で合格率9割超の実績を持つ。
現在は大学院入試対策の専門家として、テレビ・新聞・雑誌など幅広いメディアで活動中。
ロングセラー『減点されない!勝論文』(エール出版社)ほか著書・論文多数。



