大学院は頭がいい人だけが行くところ?進学に必要な力とは

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大学院に興味を持っていても、「自分はそれほど頭がよくないから難しいかもしれない」「大学時代の成績がよくなかったけれど、進学できるのだろうか」と不安に感じる方もいるのではないでしょうか。

大学院というと、成績優秀な学生や、難しい専門書を読みこなせる人だけが進学する場所という印象があるかもしれません。特に、大学を卒業してから時間がたっている社会人にとっては、もう一度勉強を始めること自体に不安を感じることもあるでしょう。

しかし、大学院で求められる力は、試験で高得点を取る能力だけではありません。自分で疑問を見つけ、必要な知識を学び、根拠をもとに考え続ける姿勢も大切です。

もちろん、大学院に進学するには入学試験に合格する必要があり、専門分野によっては十分な基礎学力が求められます。それでも、現在の成績や学歴だけで進学の可能性が決まるわけではありません。

この記事では、大学院で必要とされる力や、勉強に自信がない人が進学に向けて準備する方法について、具体的に解説します。


大学院に進学するには、特別に頭がよくないといけない?

大学院への進学を考えるとき、まず知っておきたいのは、大学院によって入試の内容や求められる能力が異なるということです。

専門科目の筆記試験を重視する大学院もあれば、研究計画書や面接を通して、研究への関心や適性を確認する大学院もあります。英語などの外国語能力が必要になる場合もあります。

そのため、「頭がいいかどうか」という漠然とした基準だけで、大学院進学の可能性を判断することはできません。

例えば、経済学の大学院では、経済理論や数学、統計学などの理解が重要になることがあります。一方、文学研究科では、研究対象となる作品や史料を読み解く力、先行研究を理解する力などが求められる場合があります。

どちらも専門的な準備が必要ですが、求められる知識や能力は同じではありません。

大学院進学を考える際には、自分の学力を漠然と評価するのではなく、志望する研究科で何が必要なのかを具体的に調べることが大切です。

「自分には難しい」と感じる場合も、何が難しいのかを整理してみましょう。専門知識が不足しているのか、英語に不安があるのか、研究計画書の書き方がわからないのかによって、必要な対策は変わります。

漠然とした不安を具体的な課題に置き換えることが、大学院受験の準備を始める第一歩になります。

大学院進学を目指して専門分野の学習に取り組む学生のイメージ

大学の成績がよくなくても大学院を目指せる?

大学時代の成績に自信がないことを理由に、大学院進学を諦めてしまう人もいるかもしれません。

しかし、大学院入試における成績の扱いは、大学院や選抜方式によって異なります。出願時に成績証明書の提出を求められることはありますが、過去の成績だけで合否が決まるとは限りません。

例えば、学部時代には明確な目標を持てず、勉強に十分取り組めなかった人が、卒業後に仕事を経験し、改めて専門分野を学びたいと考える場合もあります。

そのような人にとって重要なのは、過去の成績を気にし続けることよりも、現在の自分に何が不足しているのかを把握し、必要な準備を進めることです。

ただし、研究科によっては成績に関する出願条件が設けられていたり、選考で学業成績が重視されたりする場合もあります。

過去の成績を変えることはできませんが、現在の専門知識を補い、研究への関心を深めることはできます。まずは募集要項を確認し、出願資格や選考方法を正確に理解しましょう。

大学院で大切なのは、自分で問いを立てる力

大学院での研究では、与えられた問題を解くだけでなく、自分で研究課題を見つけることが求められます。

例えば、教育に関心がある人が「子どもたちにもっと勉強を好きになってほしい」と考えたとします。

これは研究の出発点になる関心ですが、そのままでは何を調べるのかが明確ではありません。

そこで、「授業中に自分の意見を発表する機会は、学習意欲とどのように関係するのか」といった具体的な問いに整理していきます。

さらに、その問いについて過去にどのような研究が行われているのかを調べ、どのような方法で検討できるかを考えます。

研究テーマは、特別な才能を持つ人だけが見つけられるものではありません。日常生活や仕事の中で感じた疑問が、研究の出発点になることもあります。

大切なのは、疑問を持ったところで終わらず、「なぜそうなるのか」「どのような根拠があるのか」と考えを深めていくことです。

最初から優れた研究テーマを思いつく必要はありません。授業や文献調査、教員との議論を通じて、問いを少しずつ具体化していくことができます。

研究論文や専門書を読みながら大学院での研究テーマを考える様子

わからないことを調べ、学び続ける力も必要

大学院では、専門書や研究論文を読んでいて、理解できない内容に出会うことがあります。

知らない専門用語が出てきたり、これまで学んだことのない理論が使われていたりすることもあるでしょう。

そのときに必要なのは、すべてを最初から理解できる能力ではなく、わからない部分を確認し、必要な知識を学び直す姿勢です。

例えば、社会学の研究で統計分析を使った論文を読む場合、統計学の知識が十分でなければ、分析方法を理解するのに時間がかかるかもしれません。

そのようなときは、基礎的な統計学の教材に戻ったり、関連する授業を受けたりしながら理解を深めていきます。

研究を進める中では、最初に立てた仮説が調査結果と一致しないこともあります。予想と違う結果が出たときに、理由を考え、研究方法を見直すことも重要です。

大学院では、知識の多さだけでなく、自分が何を理解していないのかを把握する力も役立ちます。

わからないことをそのままにせず、必要に応じて基礎に戻る。こうした学習の積み重ねが、専門的な研究に取り組むための土台になります。

自分の考えを言葉にする力はなぜ重要?

大学院では、研究内容を他の人に説明する機会があります。

ゼミや研究発表会では、自分が何を研究しているのか、なぜそのテーマを選んだのか、どのような方法で調べているのかを伝える必要があります。

例えば、「働きやすい職場について研究しています」と説明するだけでは、研究内容が十分に伝わらないかもしれません。

そこで、「企業の柔軟な勤務制度と従業員の仕事への満足度の関係を調べています」と説明すれば、研究の方向性がより具体的になります。

自分の考えを整理して伝える力は、大学院入試の面接や研究計画書の作成でも役立ちます。

ただし、人前で話すことが得意でなければ大学院に向いていない、というわけではありません。

まずは、自分が関心を持っていることについて、短い文章を書いてみることから始めてもよいでしょう。

「何に関心があるのか」「なぜ気になったのか」「何を明らかにしたいのか」という順番で整理すると、漠然とした考えを言葉にしやすくなります。

大学院受験の準備は、試験に合格するためだけでなく、自分の問題意識を整理する機会にもなります。

社会人経験は大学院での学びに役立つ?

社会人として働いてきた人の中には、大学を卒業してから長い時間がたっているため、学力に不安を感じる方もいるでしょう。

一方で、仕事を通じて得た経験が、研究テーマを考えるきっかけになることもあります。

例えば、営業職として働く中で、「同じ商品を扱っていても、顧客から信頼される担当者とそうでない担当者には、どのような違いがあるのだろう」と疑問を持つことがあります。

このような経験は、経営学や組織行動、マーケティングなどの研究に関心を持つきっかけになるかもしれません。

ただし、仕事での経験や個人的な印象だけでは、研究の結論を導くことはできません。

実務で感じた疑問を、先行研究や客観的な資料と結びつけ、検討できる問いへと整理する必要があります。

社会人経験は研究に役立つ可能性がありますが、それだけで専門知識や研究方法の学習が不要になるわけではありません。

これまでの経験を強みとして生かしながら、学問的な知識や考え方を新たに身につけていくことが大切です。

勉強が苦手な人は、何から準備すればいい?

大学院に興味はあっても、勉強に自信がない場合は、いきなり難しい専門書を読み始める必要はありません。

まずは、興味のある分野について、大学の学部レベルの入門書を一冊読んでみることをおすすめします。

例えば、心理学に興味があるなら心理学の概論書、経営学に興味があるなら経営学の入門書から始めるとよいでしょう。

読むときには、すべてを暗記しようとするのではなく、「どのようなテーマが扱われているのか」「自分はどの話題に関心があるのか」を意識してみてください。

次に、志望する大学院の公式サイトで、研究科の特徴や教員の研究分野を調べます。

研究したい内容が少し見えてきたら、入試科目や過去問を確認し、現在の知識との差を把握しましょう。

例えば、専門科目の筆記試験がある場合は、必要な基礎知識を整理し、出題範囲に合わせて勉強を進めます。

英語資格の提出が必要な大学院を目指す場合は、必要なスコアや提出期限、有効期限も確認しておく必要があります。

このとき、すべての課題を同時に解決しようとする必要はありません。入試までの期間や自分の得意・不得意を踏まえ、優先順位をつけて取り組みましょう。

大切なのは、「勉強が苦手」という漠然とした不安を、具体的な学習課題に変えることです。

大学院入試に向けて必要な学習内容を整理し勉強計画を立てる様子

大学院に向いているかどうかは、どう判断する?

大学院に向いているかどうかを、成績や学歴だけで判断することは難しいものです。

そこで、大学院進学を考えている方は、自分自身にいくつか質問してみてください。

例えば、「もっと詳しく知りたいと思うテーマがあるか」「一つの問題について時間をかけて考えることに関心があるか」「わからないことを調べることに抵抗がないか」といった質問です。

すべてに自信を持って答えられる必要はありません。今は研究テーマが見つかっていなくても、大学院について調べる中で関心が明確になることがあります。

一方、大学院では、文献を読む時間や研究成果をまとめる時間を確保する必要があります。学びたい気持ちだけでなく、生活や仕事との両立が可能かどうかも考えることが大切です。

また、研究中心の大学院と実務教育を重視する専門職大学院では、学び方や求められる能力が異なる場合があります。

大学院進学に向いているかどうかを一度の判断で決めるのではなく、どのような学び方なら自分の関心や目的を実現できるのかを考えてみましょう。

大学院進学に自信がないときに考えたいこと

大学院への進学を考え始めた段階では、専門知識や研究経験が十分でないこともあるでしょう。

しかし、現在の自分にできないことがあるからといって、将来もできないと決まっているわけではありません。

例えば、最初は研究論文を読むのに何時間もかかるかもしれません。それでも、基礎知識を学び、同じ分野の論文を読み続けることで、少しずつ理解できる部分が増えていきます。

もちろん、大学院入試には選考があり、希望する大学院に必ず合格できるわけではありません。志望先によっては、高い専門性や語学力が必要になります。

だからこそ、最初から自分には無理だと決めつけるのではなく、必要な条件を調べ、準備にどれくらいの時間がかかるのかを考えてみてください。

また、大学院で学ぶ目的が明確にならない場合は、すぐに進学を決める必要もありません。仕事を続けながら学びたい分野の本を読んだり、公開講座に参加したりする方法もあります。

大学院進学は、周囲と比較して決めるものではありません。自分が何を学びたいのか、そのために大学院という環境が必要なのかを考えることが重要です。

まとめ|大学院で求められる力は、準備を通じて伸ばせる

大学院に進学するためには、志望する分野の基礎知識や、入学試験に対応する力が必要です。しかし、それだけが大学院での学びを支えるわけではありません。

自分で問いを立てる力、わからないことを調べる力、根拠をもとに考える力、自分の考えを伝える力も重要です。

こうした力の中には、大学院進学に向けた準備や、入学後の学びを通じて伸ばしていけるものもあります。

大学院に興味がある方は、今の学力や学歴だけで可能性を判断せず、まずは自分が何を学びたいのか、どのような準備が必要なのかを調べてみましょう。

最初の一歩として、興味のある研究分野を一つ選び、その分野の入門書や大学院の研究紹介を読んでみてください。自分の関心と必要な知識が少しずつ見えてくるはずです。

次回は「大学院に進学する人はなぜ学び続けるのか?5つの進学理由」をテーマに、大学院を目指す人たちのさまざまな動機について紹介します。

※大学院の出願資格、選考方法、必要な学力や語学力などは大学院・研究科によって異なります。最新の情報は、志望する大学院の公式サイトや募集要項で必ずご確認ください。

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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。

この記事を監修した人

小杉樹彦(志樹舎 創業者)

小杉 樹彦(こすぎ・たつひこ)
志樹舎 創業者/博士(学術)
慶應義塾大学院修了後、2015年1月に院試専門オンライン予備校「志樹舎」を設立。 代表講師として10〜60代まで延べ5,000人以上の受験生を指導。 早慶・国公立をはじめとする難関大学院で合格率9割超の実績を持つ。 現在は大学院入試対策の専門家として、テレビ・新聞・雑誌など幅広いメディアで活動中。 ロングセラー『減点されない!勝論文』(エール出版社)ほか著書・論文多数。