
大学院では何をするの?授業・研究・修士論文の基本
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大学院への進学に興味を持ったとき、「大学院では毎日何をしているのだろう」「大学の授業とは何が違うのだろう」と疑問に思う方もいるのではないでしょうか。
大学院というと、研究室で実験をしたり、難しい論文を読んだりする姿を思い浮かべるかもしれません。しかし、大学院での学び方は研究分野によって異なります。文献を読みながら考察を深める人もいれば、アンケートやインタビューを行う人、企業や地域社会の課題を研究する人もいます。
大学院で特徴的なのは、授業で知識を身につけるだけでなく、自分自身で問いを立て、その答えを探していくことです。その過程では、思うように研究が進まなかったり、最初に考えていたテーマを見直したりすることもあります。
この記事では、大学院の授業やゼミ、研究活動、修士論文の執筆について、大学院進学を初めて考える方に向けてわかりやすく解説します。
大学院では授業と研究の両方に取り組む
大学院での学びは、大きく分けると授業と研究活動から成り立っています。
授業では、専門分野の理論や研究方法について学びます。一方、研究活動では、自分が関心を持つテーマについて資料を集めたり、調査や分析を行ったりします。
例えば、教育学の大学院で学ぶ場合、授業では教育心理学や教育社会学などの知識を深めながら、自分の研究では「子どもの学習意欲に影響する要因」について調べることが考えられます。
大学の学部でもゼミや卒業研究に取り組みますが、大学院では研究活動の重要性がさらに高まる傾向があります。
ただし、授業と研究の比重は大学院によって異なります。専門職大学院などでは、実務的な授業や演習、事例研究を重視する場合もあります。
大学院を選ぶ際には、研究に集中できる環境を求めているのか、体系的な授業を通じて専門能力を高めたいのか、自分の目的を整理しておくことが大切です。

大学院の授業は大学と何が違う?
大学院の授業では、少人数での議論や発表を取り入れることがあります。
大学の学部では、教員の講義を聞き、試験やレポートで理解度を確認する授業も多くあります。一方、大学院では、事前に指定された論文を読み、その内容を発表したり、参加者同士で意見を交換したりする授業もあります。
例えば、経営学の授業で企業の人材育成について学ぶ場合、研究論文を読んだうえで、研究結果の意味や実際の企業活動との関係について議論することが考えられます。
その際に求められるのは、論文の内容を正確に説明することだけではありません。「なぜその結論になるのか」「別の解釈はできないのか」「研究方法に限界はないのか」といった点について、自分なりに考えることも重要です。
最初は専門的な議論に難しさを感じるかもしれません。しかし、大学院で求められるのは、最初からすべての問いに正しく答えることではありません。わからないことを明確にし、必要な資料を調べ、自分の考えを少しずつ深めていく姿勢が大切です。
ゼミや研究指導では何をするの?
大学院では、指導教員のもとで研究を進める機会があります。
研究指導では、自分の研究テーマや研究方法について相談し、研究の進み具合を報告します。教員から助言を受けることで、研究の方向性を見直したり、調査方法を改善したりします。
例えば、「若者のSNS利用と孤独感の関係」を研究したい場合、どのような先行研究があるのか、誰を調査対象とするのか、孤独感をどのように捉えるのかといった点を検討する必要があります。
研究指導では、こうした課題について教員と相談しながら、研究を具体化していきます。
ここで理解しておきたいのは、指導教員が研究の答えを教えてくれるわけではないということです。教員は研究の進め方について助言しますが、最終的に何を明らかにしたいのかを考え、研究に取り組むのは大学院生自身です。
また、ゼミや研究会では、他の大学院生の研究発表を聞く機会もあります。自分とは異なるテーマの研究であっても、研究の進め方や資料の扱い方など、参考になることがあります。
研究指導の頻度や方法は大学院によって異なるため、進学先を検討するときには、教員の研究分野だけでなく、指導体制についても確認するとよいでしょう。
大学院の研究はどのように進める?
研究というと、特別な設備を使った実験を想像するかもしれません。しかし、研究の方法は分野やテーマによってさまざまです。
文学や歴史学では、作品や史料を読み解き、これまでの研究と比較しながら考察を深めることがあります。
心理学や教育学では、アンケート調査や実験、インタビューなどを用いる場合があります。経済学では統計データを分析することもありますし、経営学では企業の事例を調べることもあります。
例えば、「働きやすい職場にはどのような特徴があるのか」というテーマを研究する場合、関連する論文を調べたうえで、企業の制度を比較したり、従業員への調査を検討したりすることが考えられます。
ただし、調査を行う際には、対象者の同意や個人情報の保護など、研究倫理にも配慮する必要があります。研究内容によっては、調査開始前に大学の倫理審査を受けることもあります。
大学院での研究は、思いついたことを自由に調べるだけではありません。自分の問いに対して適切な方法を選び、根拠を示しながら考察を進めることが求められます。
論文を読むことも大学院での大切な学び
大学院では、専門分野の研究論文を読む機会が増えます。
研究論文には、研究の目的、これまでの研究との関係、調査や分析の方法、結果、考察などがまとめられています。
自分の研究を進めるためには、すでに何が明らかになっているのかを知る必要があります。そのため、関連する論文を探し、内容を理解することが重要です。
例えば、学習意欲について研究したい場合、学習動機や教育環境に関する研究を読むことで、どのような視点から研究が進められてきたのかを知ることができます。
論文を読む際には、結論だけでなく、どのような対象を調査し、どのような方法で分析したのかにも注目します。
また、論文に書かれた結論をそのまま受け入れるのではなく、研究対象や調査方法によって結果の解釈が変わる可能性も考えます。
最初は専門用語が多く、読むのに時間がかかるかもしれません。まずは研究目的と結論を確認し、次に研究方法や考察を読み込むなど、自分に合った読み方を見つけていくとよいでしょう。

修士論文とは何か?
修士課程では、多くの場合、研究成果を修士論文としてまとめます。
修士論文は、自分で設定した研究課題について、先行研究を踏まえながら調査や分析を行い、その結果と考察をまとめたものです。
例えば、「地域によって大学進学率に差があるのはなぜか」というテーマであれば、関連する統計資料や先行研究を調べ、地域差に関わる要因を検討することが考えられます。
修士論文では、研究の背景、目的、方法、結果、考察などを整理し、読み手に伝わる形で文章にまとめます。
重要なのは、単に多くの情報を集めることではありません。何を明らかにしたいのか、そのためにどのような方法を用いたのか、得られた結果から何がいえるのかを、一貫した流れで説明することです。
ただし、修士課程の修了要件は大学院によって異なります。修士論文以外の特定の課題についての研究成果を求める課程もあり、すべての大学院で同じ形式の論文を書くわけではありません。
進学先を選ぶ際には、修了要件や研究成果の提出方法についても確認しておきましょう。
修士論文はいつから書き始める?
修士論文の執筆は、修了直前になって突然始めるものではありません。
一般的な2年間の修士課程では、入学後から研究テーマを具体化し、先行研究を調べながら研究を進めていきます。
例えば、1年目には専門分野の授業を受けながら、研究テーマや研究方法を検討します。2年目には調査や分析を進め、研究成果を論文としてまとめていく流れが考えられます。
ただし、これは一例であり、研究分野や大学院のカリキュラムによって進め方は異なります。
研究を進める中で、最初に考えていたテーマを修正することもあります。調査が予定どおりに進まなかったり、先行研究を読むことで新しい疑問が生まれたりするためです。
テーマを変更することが、必ずしも研究の失敗を意味するわけではありません。調べた結果を踏まえて問いを見直すことも、研究の重要な過程です。
ただし、修了までの期間には限りがあります。研究の方向性を見直す際には、指導教員と相談しながら、実現可能な計画を立てることが大切です。
大学院生の1日はどんな流れ?
大学院生の生活は、授業の時間割や研究内容によって大きく異なります。
例えば、文系の修士課程で学ぶ学生であれば、午前中に論文を読み、午後に授業へ参加し、夕方に研究発表の準備を進める日もあるでしょう。
別の日には授業がなく、図書館で資料を調べたり、指導教員との面談に向けて研究内容を整理したりすることも考えられます。
理系の研究室では、実験や観測、データ分析などの予定に合わせて活動する場合もあります。研究室によっては、共同研究や定期的なミーティングに参加することもあります。
一方、働きながら大学院に通う社会人は、平日の夜間や休日に授業を受け、仕事の合間に文献を読んだり、研究を進めたりすることがあります。
大学院生活では、自分で時間を管理する力も重要になります。授業が少ない日であっても、研究のために使う時間が必要になるからです。
進学前には、授業時間だけでなく、予習や研究活動にどの程度の時間を使えそうか、現在の生活と照らし合わせて考えてみましょう。

大学院での学びは、答えを覚えることだけではない
大学院での学びの特徴は、すでに用意された答えを理解するだけでなく、自分で問いを立てて考えることにあります。
研究論文を読んでも、明確な答えが見つからないことがあります。研究者によって考え方が異なったり、調査結果が一致しなかったりすることもあります。
そのようなときに、どのような根拠をもとに考えるのか、何を明らかにする必要があるのかを検討することが、研究の大切な部分です。
大学院で学ぶ価値は、専門知識を増やすことだけにあるわけではありません。複雑な問題を整理し、根拠を確かめ、自分なりの考えを組み立てる経験にも意味があります。
こうした力は、研究の場面だけでなく、仕事や社会生活の中で問題に向き合う際にも役立つ可能性があります。
もちろん、最初から高度な研究ができる必要はありません。授業や研究指導を通じて、少しずつ研究の進め方を身につけていきます。
ただし、大学院によって求められる基礎知識や研究能力は異なります。進学を考える際には、現在の自分に不足している知識や、入学までに準備すべきことも確認しておきましょう。
大学院で学ぶ自分を想像してみよう
大学院で何をするのかが少しわかってきたら、自分ならどのような研究に取り組みたいかを考えてみましょう。
例えば、大学の授業で興味を持ったテーマや、仕事の中で疑問に感じていることはないでしょうか。
教育に関心があるなら、学習意欲や教育格差について考えることができます。企業で働いているなら、人材育成や組織運営について研究することも考えられます。
最初から研究テーマを一つに決める必要はありません。まずは、気になることをいくつか書き出し、それについて調べたり考えたりする時間を持ってみてください。
そのうえで、大学院の公式サイトに掲載されている授業科目や教員の研究分野を確認すると、自分の関心と大学院での学びがどのようにつながるのかを具体的にイメージしやすくなります。
大学院進学を考えるうえでは、大学名や知名度だけでなく、そこで自分が何を学び、どのような時間を過ごしたいのかを想像することも大切です。
まとめ|大学院では自分の問いを深く考えていく
大学院では、専門的な授業を受けながら、自分の研究テーマについて調査や分析を進めます。
ゼミや研究指導では、教員や他の学生と意見を交換しながら研究を深めます。また、修士課程では、研究成果を修士論文などの形にまとめることが一般的です。
大学院での学びは、知識を増やすだけでなく、自分で疑問を見つけ、根拠をもとに考え、他者に伝える力を育てることにもつながります。
大学院に興味を持った方は、まず「自分なら何を研究してみたいだろう」と考えてみてください。そして、気になる大学院の授業内容や研究分野を調べ、自分の関心と重なる部分を探してみましょう。
次回は「大学院は頭がいい人だけが行くところ?進学に必要な力とは」をテーマに、大学院進学に対する不安や、研究に取り組むために必要な姿勢について紹介します。
※大学院の授業内容、研究指導体制、修了要件などは大学院や研究科によって異なります。最新の情報は、各大学院の公式サイトや募集要項で必ずご確認ください。
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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。
この記事を監修した人
小杉 樹彦(こすぎ・たつひこ)
志樹舎 創業者/博士(学術)
慶應義塾大学院修了後、2015年1月に院試専門オンライン予備校「志樹舎」を設立。
代表講師として10〜60代まで延べ5,000人以上の受験生を指導。
早慶・国公立をはじめとする難関大学院で合格率9割超の実績を持つ。
現在は大学院入試対策の専門家として、テレビ・新聞・雑誌など幅広いメディアで活動中。
ロングセラー『減点されない!勝論文』(エール出版社)ほか著書・論文多数。



