大学院ってどんなところ?大学との違いからわかりやすく解説

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大学院という言葉を聞いたことはあっても、実際にどのような場所なのか、詳しく知らない方も多いのではないでしょうか。大学を卒業した後に進学するところ、専門的な研究をするところ、研究者を目指す人が通うところ。こうしたイメージを持っている方もいると思います。

しかし、大学院で学ぶ目的は人によって異なります。大学で学んだ専門分野をさらに深めたい人もいれば、社会人として働く中で生まれた疑問を研究したい人、新しい分野に挑戦したい人もいます。

大学院進学を考えるうえで大切なのは、大学院に行くこと自体を目的にするのではなく、そこで何を学び、どのような力を身につけたいのかを考えることです。

この記事では、大学院と大学の違い、大学院での学び方、進学する人の特徴などを、初めて大学院に興味を持った方に向けてわかりやすく解説します。


大学院は、大学での学びをさらに深める場所

大学院での専門的な学びをイメージした画像

大学院とは、大学で身につけた知識などを土台として、特定の分野をより専門的に学び、研究するための教育機関です。

大学の学部では、専門分野の基礎から応用まで幅広く学びます。例えば、経済学部であれば、ミクロ経済学やマクロ経済学、統計学などを学びながら、経済の仕組みについて理解を深めていきます。

一方、大学院では、その中から自分が関心を持つテーマを選び、より深く掘り下げていきます。

例えば、「なぜ地域によって賃金に差があるのか」という疑問を持った場合、関連する研究や統計データを調べ、賃金格差が生じる背景を分析することが考えられます。

このとき重要なのは、単に自分の意見を述べることではありません。これまでに蓄積されてきた研究を理解し、客観的な資料やデータをもとに考えることが求められます。

大学院は、難しい知識を覚えるだけの場所ではなく、自分が知りたいことを明確にし、根拠をもとに答えを探していく場所でもあるのです。

大学と大学院では、学び方がどう違う?

大学と大学院の大きな違いの一つは、学習と研究の比重です。

大学では、講義を受けて知識を身につけたり、試験やレポートを通して理解度を確認したりする機会が多くあります。もちろん、大学でもゼミや卒業論文などを通じて研究に取り組みます。

大学院では、こうした学びに加えて、自分自身で研究課題を設定し、調査や分析を進めることが重要になります。

例えば、授業で少子化について学ぶ場合、大学では少子化の原因や社会への影響について理解することが中心になるかもしれません。

大学院では、そこから「地域によって子育て支援策の効果が異なるのはなぜか」といった具体的な問いを立て、先行研究や調査結果をもとに検討することが考えられます。

また、大学院では指導教員との関わりも重要です。研究テーマや研究方法について助言を受けながら、自分の考えを整理し、研究を進めていきます。

ただし、大学院の学び方は一様ではありません。研究活動に重点を置く課程もあれば、講義や演習、実務的な課題を中心に学ぶ課程もあります。進学先を選ぶ際には、こうした教育内容の違いを理解することも大切です。

大学院には修士課程と博士課程がある

大学院で専門分野について学び研究する様子

大学院には、主に修士課程と博士課程があります。

修士課程は、一般的に標準修業年限が2年間の課程です。専門分野について学びながら研究を進め、所定の単位を修得し、修士論文の審査などに合格することで修士の学位を取得します。ただし、修了要件は課程によって異なります。

博士課程は、さらに高度な研究を進めるための課程です。研究者として自立して研究を行う能力を身につけることなどを目的としています。

博士課程には、前期課程と後期課程に分かれているものもあります。一般に博士前期課程は修士課程に相当しますが、課程の構成は大学院によって異なります。

また、経営や法務、教職などの分野には、専門職大学院もあります。専門職大学院では、実務に必要な高度な専門能力を養うことを重視しています。

大学院に進学するからといって、必ず博士課程まで進む必要があるわけではありません。修士課程を修了して就職する人もいれば、専門職大学院で学んだことを仕事に生かす人もいます。

自分が何を学びたいのか、修了後にどのような進路を考えているのかによって、適した課程は変わります。

大学院では、どのような研究をするの?

大学院で研究できるテーマは非常に幅広く、身近な生活や社会の問題も研究対象になります。

例えば、教育学では「子どもの学習意欲はどのような環境で高まるのか」、心理学では「人はなぜ他人の評価を気にするのか」、経営学では「働きやすい職場にはどのような特徴があるのか」といった問いを考えることができます。

文学では作品や作家、歴史的背景を研究することもありますし、社会学では家族、地域社会、SNSなどを取り上げることもあります。

研究テーマというと、最初から独創的で難しいものを考えなければならないと思うかもしれません。しかし、研究の出発点は、日常生活や仕事の中で感じた素朴な疑問であることも少なくありません。

例えば、「SNSが好きだからSNSについて研究したい」という関心も、「SNSの利用が大学生の人間関係にどのような影響を与えるのか」という具体的な問いへ発展させることができます。

ただし、興味を持ったことが、そのまま研究として成立するわけではありません。すでに何が明らかになっているのかを調べ、研究する目的や方法を整理する必要があります。

最初から完成された研究テーマを持っている必要はありません。まずは、自分が何に疑問を感じ、なぜそれを知りたいと思うのかを考えることが大切です。

身近な疑問から大学院の研究テーマを考える様子

大学院に進学するのは、研究者になりたい人だけ?

大学院というと、将来は大学教授や研究者になる人が進学する場所だと思われることがあります。

もちろん、研究者を目指して大学院に進学する人もいます。しかし、進学理由はそれだけではありません。

大学で学んだ専門知識をさらに深めたい人、専門性を生かした仕事に就きたい人、仕事で経験した課題を学術的に考えたい人など、さまざまな目的を持つ人がいます。

例えば、企業で人材育成に携わっている社会人が、組織における学習や人材開発について研究することも考えられます。また、学校現場で働く教員が教育方法を研究したり、行政に携わる人が公共政策について学んだりする場合もあります。

大学院で学ぶことは、必ずしも転職や昇進に直結するとは限りません。それでも、これまでの経験を別の視点から捉え直したり、専門的な知識を身につけたりする機会になる可能性があります。

大切なのは、大学院に進学すれば何かが自動的に変わると考えるのではなく、そこで得た学びを自分の将来にどう生かしたいのかを考えることです。

大学院に進学するためには何が必要?

大学院に進学するには、原則として各大学院が定める出願資格を満たし、入学試験に合格する必要があります。

修士課程では、大学卒業者や卒業見込み者などを対象とすることが一般的ですが、大学院によっては個別の入学資格審査などを通じて出願できる場合もあります。

入学試験の内容も大学院によって異なります。専門科目の筆記試験、外国語試験、研究計画書、面接などが課される場合があります。

ここで意識したいのは、大学院受験が単に知識量を確認する試験ではないということです。

研究計画書や面接が課される場合には、何を研究したいのか、なぜその大学院で学びたいのかを、自分の言葉で説明することが求められます。

そのため、大学院受験の準備は、自分の関心や問題意識を整理する機会にもなります。

まだ研究テーマが決まっていなくても、大学院について調べ始めることはできます。必要な知識や準備方法を知りながら、少しずつ進学の目的を明確にしていきましょう。

大学院に興味を持ったら、まず何をすればいい?

大学院に少しでも興味を持ったら、まずは自分が学んでみたいことを考えてみましょう。

大学の授業で面白いと感じたこと、仕事で疑問に思ったこと、ニュースを見て気になったことなど、身近な関心から始めて構いません。

例えば、ノートに「最近気になっていること」を3つ書き出してみてください。そして、それぞれについて「なぜ気になるのか」「何をもっと知りたいのか」を考えてみます。

次に、そのテーマを研究している大学院や教員がいるかを調べてみましょう。

大学院の公式サイトでは、研究科や専攻の特徴、教員の研究分野、授業内容などを紹介していることがあります。最初は気になる大学院をいくつか見つけるだけでも十分です。

その際、大学名や知名度だけで判断するのではなく、自分の関心に近い研究が行われているか、どのような環境で学べるかにも目を向けてみてください。

また、大学院進学には学費や生活費、学習時間の確保など、現実的に考えるべきこともあります。特に社会人の場合は、仕事との両立や修了後のキャリアも重要な検討事項になります。

大学院に進学するかどうかは、こうした情報を集めたうえで判断しても構いません。進学しないという選択も含め、自分に合った道を考えることが大切です。

大学院進学に向けて志望先や学びたい分野の情報を集める様子

まとめ|大学院は、自分の関心を深く学べる場所

大学院は、大学で学んだことをさらに専門的に深めたり、社会で感じた疑問を研究したりできる場所です。

研究者を目指す人だけでなく、専門性を高めたい人や、社会人として学び直したい人など、さまざまな人が進学を考えています。

ただし、大学院に進学すること自体が目的になると、入学後に何を学びたいのかが曖昧になってしまうこともあります。

まずは、自分が何に関心を持ち、何を知りたいと思っているのかを整理してみてください。その疑問を深く考えるために大学院という環境が必要なのかを調べることが、進路を考える第一歩になります。

次回は「大学院にはどんな人が通っている?学生・社会人・留学生の学び方」をテーマに、大学院で学ぶ人たちの多様な背景について紹介します。

※大学院の課程、出願資格、入試制度などは大学院によって異なります。最新の情報は、志望する大学院の公式サイトや募集要項で必ずご確認ください。

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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。

この記事を監修した人

小杉樹彦(志樹舎 創業者)

小杉 樹彦(こすぎ・たつひこ)
志樹舎 創業者/博士(学術)
慶應義塾大学院修了後、2015年1月に院試専門オンライン予備校「志樹舎」を設立。 代表講師として10〜60代まで延べ5,000人以上の受験生を指導。 早慶・国公立をはじめとする難関大学院で合格率9割超の実績を持つ。 現在は大学院入試対策の専門家として、テレビ・新聞・雑誌など幅広いメディアで活動中。 ロングセラー『減点されない!勝論文』(エール出版社)ほか著書・論文多数。