
- 1. アジア・アフリカ地域研究研究科には3つの専攻がある
- 2. 修士課程ではなく5年一貫制の博士課程
- 3. 複数の教員から指導を受けることも特徴
- 4. 第1回試験は9月に筆答・口述を連続して実施
- 5. 筆答試験は英語100点・専門科目100点
- 6. 口述試験は200点で筆答2科目と同じ重み
- 7. 口述試験ではフィールドワークの実現可能性も考える
- 8. 現地語をどう身につけるかも考えておく
- 9. 第2回試験はアフリカ地域研究専攻を志望する人が対象
- 10. 自薦書では研究したい地域と課題を具体的にする
- 11. 自薦書と口述試験は一つの対策として考える
- 12. 口述試験の想定質問を20問程度作る
- 13. 英語対策は自分の研究テーマに近い論文を使う
- 14. 専門科目は地域の知識と地域研究の方法を学ぶ
- 15. 2028年度第1回試験を目指す場合の準備
- 16. アフリカ地域研究専攻の第2回を目指す場合
- 17. まずは「どこで何を調べたいか」を言葉にする
京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科の入試|5年一貫制の博士課程と第1回・第2回試験
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京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科は、アジアやアフリカをはじめとする世界各地を対象に、現地でのフィールドワークを重視した地域研究に取り組む大学院です。文献を読むだけでなく、実際に現地へ行き、人々の生活や社会、文化、政治、経済、自然環境などを多角的に研究する点に大きな特徴があります。
また、一般的な大学院のように修士課程2年と博士後期課程3年に分かれているのではなく、5年一貫制の博士課程として学生を受け入れている点も特徴です。そのため、入試段階から「大学院で何を研究したいか」だけでなく、「どこで、誰を対象に、どのような方法で調査するのか」まで考えておくことが重要になります。
この記事では、2027年度入試の情報をもとに、3つの専攻、5年一貫制博士課程の特徴、第1回・第2回試験、英語・専門科目、200点が配点される口述試験、自薦書、フィールドワークを見据えた研究計画まで、受験準備の進め方を具体的に解説します。
アジア・アフリカ地域研究研究科には3つの専攻がある

アジア・アフリカ地域研究研究科には、東南アジア地域研究専攻、アフリカ地域研究専攻、グローバル地域研究専攻の3つの専攻があります。
2027年度入試の第1回試験では、東南アジア地域研究専攻が10名、アフリカ地域研究専攻が7名、グローバル地域研究専攻が8名の募集でした。
専攻を選ぶときは、「アフリカに興味があるからアフリカ地域研究専攻」というように地域名だけで決めるのではなく、自分が研究したいテーマと各専攻の研究内容を確認することが大切です。
同じ地域を扱う場合でも、政治、経済、文化、人類学、歴史、宗教、環境、生態など、さまざまな視点から研究できます。まず各専攻に所属する教員の研究テーマを調べ、自分の関心に近い教員の論文や著書を読んでみましょう。
修士課程ではなく5年一貫制の博士課程
アジア・アフリカ地域研究研究科への進学を考えるうえで、最初に理解しておきたいのが5年一貫制の博士課程です。
一般的な大学院では、修士課程や博士前期課程で2年間学び、その後、博士後期課程へ進学する形がよく見られます。一方、アジア・アフリカ地域研究研究科では、博士号取得までを見据えた5年一貫制の教育が行われています。
そのため、入試でも短期間の学修計画だけを考えるのではなく、長期的な研究の見通しを持っておくことが重要です。
もちろん、出願段階で博士論文の内容を完全に決める必要はありません。大学院に入ってからフィールドワークや文献調査を重ねることで、研究テーマが変化することもあります。ただし、「どの地域の、どのような問題に関心を持ち、なぜそれを研究したいのか」という研究の軸は整理しておきたいところです。
複数の教員から指導を受けることも特徴
地域研究では、単一の学問分野だけでは説明できない問題を扱うことがあります。そのため、複数の専門分野から研究を検討することが重要です。
アフリカ地域研究専攻の案内では、大学院生が主指導教員1名と副指導教員2名を決め、複数の教員から研究指導を受ける仕組みが紹介されています。
たとえば農村社会を研究するとしても、人類学だけでなく、農業、経済、歴史、環境など複数の視点が必要になる可能性があります。
受験前に教員を調べる際も、一人だけを見て終わるのではなく、自分の研究に関係しそうな教員を複数確認しておくとよいでしょう。「主にこの先生から指導を受けたいが、このテーマについては別の先生の研究とも関係する」というように研究環境全体を見ることが重要です。
第1回試験は9月に筆答・口述を連続して実施
2027年度入試の第1回試験では、出願期間が2026年8月17日から8月26日17時までとされていました。
第1次試験の筆答試験は9月9日、第2次試験の口述試験は翌日の9月10日に行われ、合格発表は9月11日でした。
出願から合格発表までの期間が比較的短く、筆答試験と口述試験も連続しています。そのため、「まず筆答試験を受けて、終わってから口述試験の準備をしよう」という進め方はできません。
出願する時点で、英語、専門科目、口述試験の準備を並行して進めておく必要があります。特に口述試験については、自薦書を完成させる段階から想定質問を考えておきましょう。
筆答試験は英語100点・専門科目100点

2027年度入試の第1回試験では、筆答試験として英語100点、専門科目100点が課されました。
英語対策では、一般的な大学受験英語だけでなく、地域研究や人類学、政治、経済、開発、環境などに関する学術的な英文に慣れておくことが重要です。
自分が研究したい地域に関する英語論文を教材にすると、英語試験対策と研究準備を同時に進めることができます。最初は一段落ずつ精読し、主語と述語、修飾関係、論理の流れを確認しながら日本語に訳してみましょう。
専門科目では、志望地域についての知識だけでなく、地域研究そのものをどのように行うのかという視点も重要です。歴史や政治、社会などの概説書だけでなく、地域研究やフィールドワークの方法論についても学んでおくと、口述試験の準備にもつながります。
口述試験は200点で筆答2科目と同じ重み
アジア・アフリカ地域研究研究科の入試で特に注目したいのが、口述試験の配点です。
2027年度入試では、英語100点、専門科目100点に対して、口述試験は200点とされていました。口述試験だけで筆答試験2科目の合計と同じ配点があります。
つまり、英語や専門科目で知識を身につけるだけでなく、自分が行いたい地域研究について口頭で説明する力も重要だと考えられます。
口述試験では、地域研究の方法や研究上の諸問題などについて問われます。自薦書に書いた研究テーマを覚えて説明するだけでなく、その研究を現地でどのように実行するのかまで考えておく必要があります。
出願書類を提出した段階で口述試験対策も始めるのではなく、自薦書を作成しながら「この部分について質問されたらどう答えるか」を考えておきましょう。
口述試験ではフィールドワークの実現可能性も考える
フィールドワークを重視する研究科だからこそ、「現地へ行って調査したい」という希望だけでは十分ではありません。
たとえば、どの国・地域で調査を行うのか、都市なのか農村なのか、どのような人々を対象とするのか、何を観察・調査するのかといった点を具体化しておきましょう。
さらに、現地で必要になる言語、調査地へのアクセス、安全面、調査期間などについても考える必要があります。
インタビューを予定している場合には、「誰に、どのような方法で話を聞くのか」を考えます。長期参与観察を考えているのであれば、どのようなコミュニティに入り、どの程度の期間を想定しているのかを整理します。
受験段階で現地調査のすべてを確定させる必要はありません。しかし、研究計画が現実に実行できるのかという視点を持っていることは重要です。
現地語をどう身につけるかも考えておく
地域研究では、英語だけで調査できるとは限りません。研究対象によっては、現地で使用されている言語を身につける必要があります。
現在その言語を話せない場合でも、それだけで研究を諦める必要はありません。ただし、「入学後に勉強します」というだけではなく、いつから、どのような方法で、どの程度の水準を目指すのかを考えておくとよいでしょう。
たとえば、入学前から基礎的な学習を始め、大学院入学後に語学授業や自主学習を続け、現地調査までに日常会話や聞き取りができる水準を目指すといった計画が考えられます。
調査対象者とのコミュニケーションが研究の中心になる場合には、語学力そのものが研究方法の一部になります。自分の研究テーマにどの言語が必要なのかを早い段階で確認しておきましょう。
第2回試験はアフリカ地域研究専攻を志望する人が対象
2027年度入試では、第2回試験がアフリカ地域研究専攻で実施されました。
出願期間は2027年1月8日から1月19日17時までとされ、試験は2月2日と3日に行われる日程でした。
学部4年生の場合、第1回試験の時期にはまだ卒業論文や研究テーマが十分に固まっていなくても、冬までに研究を深めて第2回試験へ挑戦するという選択肢を検討できます。
ただし、東南アジア地域研究専攻やグローバル地域研究専攻を志望する場合、第2回試験が実施されない年度であれば、秋の第1回試験を逃すことができません。
「第2回もあるから第1回は様子を見よう」と考えるのではなく、自分の志望専攻で第2回募集が実施されるかを必ず確認してください。
自薦書では研究したい地域と課題を具体的にする

出願準備の中でも重要なのが自薦書です。過年度の出願では、入学願書などとあわせて自薦書の提出が求められています。
自薦書には、志望動機に加えて、関心を持っている地域や研究課題などを記載します。アフリカ地域研究専攻の案内でも、受験生自身が調査地や研究テーマを設定して自薦書を作成することが示されています。
「東南アジアの文化に興味があります」「アフリカの開発問題を研究したいです」というだけでは、研究対象が広すぎます。
たとえば、「特定地域における若者の都市移住」「農村地域における農業と生計戦略」「観光開発による地域社会の変化」など、対象と問題を少しずつ絞っていきます。
さらに、「なぜその地域なのか」「なぜその問題を研究するのか」「これまでの研究では何が分かっているのか」「現地で何を調査すれば問いに答えられるのか」を整理すると、自薦書の内容が研究計画として具体的になっていきます。
自薦書と口述試験は一つの対策として考える
自薦書は出願のためだけに作る書類ではありません。自薦書に書いた内容は、口述試験の準備にもつながります。
自薦書を書き終えたら、一文ずつ読み直して「なぜそう考えたのか」と自分に問いかけてみましょう。
たとえば「○○地域でフィールドワークを行う」と書いたのであれば、「なぜその地域なのか」「ほかの地域ではだめなのか」「現地へのアクセスは可能なのか」といった質問が考えられます。
「現地住民へのインタビューを行う」と書いたのであれば、「誰を対象にするのか」「何人程度を想定しているのか」「どの言語で聞き取りをするのか」といった点まで考えます。
自薦書の各文章から想定質問を作っていけば、自然に口述試験対策の質問集を作ることができます。
口述試験の想定質問を20問程度作る
口述試験に向けては、自薦書をもとに20問程度の質問を作り、声に出して答える練習をしておくとよいでしょう。
研究テーマ、研究目的、対象地域、先行研究、研究方法、フィールドワーク、現地語、調査期間、安全面、研究倫理、志望理由、指導を希望する教員など、複数の観点から質問を作ります。
「なぜ京都大学のアジア・アフリカ地域研究研究科なのか」という質問にも答えられるようにしましょう。単に「フィールドワークが充実しているから」とするのではなく、自分の研究テーマと教員の専門性、研究環境との接点まで説明できると具体的になります。
回答を文章として丸暗記する必要はありません。質問ごとに「最初に結論を答える」「理由を説明する」「必要なら具体例を出す」という骨組みを作っておくと、予想外の聞かれ方をしても対応しやすくなります。
英語対策は自分の研究テーマに近い論文を使う
英語試験の準備では、地域研究、人類学、国際関係、開発研究などの英語論文を継続的に読むことをおすすめします。
ただし、「週に2本読む」という量だけを目標にするのではなく、正確に内容を理解することを優先しましょう。
最初は短い論文や一部の章を使い、一文ずつ構文を確認します。分からない専門用語は単語帳にまとめ、同じ分野の文献で繰り返し出てくる表現を覚えます。
慣れてきたら、時間を決めて一定量を読み、日本語で要点をまとめます。試験直前には過去問などを使い、本番を想定した時間で解く練習に移行しましょう。
専門科目は地域の知識と地域研究の方法を学ぶ
専門科目の勉強では、志望する地域についての基礎知識を身につけるだけでなく、地域研究という研究方法そのものについて理解を深めることが大切です。
志望地域の歴史、政治、社会、文化、経済などの概説書を読み、研究対象となる地域の背景を整理します。同時に、フィールドワーク、参与観察、インタビューなどの方法についても学びましょう。
研究方法について理解しておくと、専門科目の筆答試験だけでなく、自薦書や口述試験にも生かせます。
概説書を読んだら内容を覚えるだけではなく、「この地域の重要な課題は何か」「なぜその問題が生じているのか」「研究するならどのような資料や調査が必要か」という視点から考えてみてください。
2028年度第1回試験を目指す場合の準備
2028年4月入学を目指し、第1回試験を受験する場合には、2027年春までに志望専攻、研究対象となる地域、研究課題の候補を決めておきたいところです。
春には関連する日本語・外国語文献を読み、先行研究を整理します。同時に、必要になる現地語があれば基礎的な学習を始めます。
5月から6月には自薦書の初稿を作り、研究の問いと調査方法を具体化します。7月には自薦書を何度か修正し、英語・専門科目の過去問を使った実践的な練習を増やします。
8月の出願時点では、自薦書だけでなく、筆答試験と口述試験の準備もほぼ整っている状態を目指しましょう。出願後から試験までの期間が短いため、出願後に一から口述対策を始めるのは避けたいところです。
アフリカ地域研究専攻の第2回を目指す場合
アフリカ地域研究専攻を志望し、第2回試験を利用する場合には、秋から冬にかけて研究内容をさらに深める時間を確保できます。
学部4年生であれば、卒業論文で調べた内容を自薦書や口述試験へつなげることも考えられます。ただし、卒業論文の提出と大学院入試の時期が近くなるため、スケジュール管理が重要です。
12月中には自薦書をほぼ完成させ、年末年始は英語、専門科目、口述試験の最終調整に使える状態を目指しましょう。
卒業論文の提出が1月の場合には、12月までに卒業論文の大部分を書き終えるなど、大学院入試と同時進行にならないよう前倒しで進めることが重要です。
まずは「どこで何を調べたいか」を言葉にする
京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科を目指すなら、最初に「どの地域で、何を研究したいのか」を100~200字程度で書いてみましょう。
その内容をもとに3つの専攻を比較し、自分のテーマに近い研究を行っている教員を探します。気になる教員が見つかったら、論文や著書を読み、研究対象だけでなく調査方法にも注目してください。
次に、自分が実際にその地域へ行った場合、誰に会い、何を見て、どのような情報を集めれば研究上の問いに答えられるのかを考えます。この作業を進めると、自薦書だけでなく口述試験への準備にもつながります。
アジア・アフリカ地域研究研究科の入試では、英語や専門知識だけでなく、研究を自分で構想し、現地で実行していく力も重要です。5年一貫制で博士論文まで取り組むことを意識しながら、研究テーマ、自薦書、筆答試験、口述試験を一つにつなげて準備していきましょう。
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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。
※この記事で紹介した専攻、募集人員、出願期間、試験日程、試験科目、配点、第2回試験、自薦書などには2027年度入試や過年度の情報が含まれています。入試制度や募集する専攻、提出書類などは年度によって変更される場合がありますので、出願の際は必ず京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科の公式サイトと、対象年度の最新の募集要項を確認してください。
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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。
この記事を監修した人
小杉 樹彦(こすぎ・たつひこ)
志樹舎 創業者/博士(学術)
慶應義塾大学院修了後、2015年1月に院試専門オンライン予備校「志樹舎」を設立。
代表講師として10〜60代まで延べ5,000人以上の受験生を指導。
早慶・国公立をはじめとする難関大学院で合格率9割超の実績を持つ。
現在は大学院入試対策の専門家として、テレビ・新聞・雑誌など幅広いメディアで活動中。
ロングセラー『減点されない!勝論文』(エール出版社)ほか著書・論文多数。



