研究計画書を書き始めた受験生が、最初に陥る沼。
それが「テーマが壮大すぎて収拾がつかない問題」です。

「日本の少子化対策について提言したい」
「AI時代における人間の幸福を定義したい」

志が高いのは素晴らしいことです。
しかし大学院入試において、風呂敷を広げすぎることは致命傷になります。

なぜなら、修士課程の2年間(実質的な研究期間は1年強)で、国家規模の社会問題を解決することは不可能だからです。

教授が求めているのは壮大な夢物語ではありません。
小さくても鋭く、検証可能な問い(リサーチ・クエスチョン)です。

1. 「テーマ」を「問い」に変換する

テーマ(Topic)は名詞ですが、問い(Question)は疑問文です。
合格する研究計画書は、この変換がうまくできています。

× テーマ: リモートワークの課題
(抽象的で、何を明らかにしたいのかが見えない)

○ 問い: フルリモート環境下において、雑談の減少は若手社員の離職率に有意な影響を与えるか?
(イエス・ノー、または程度で検証可能)

良い問いには必ず、変数(原因と結果)対象の限定が含まれています。

何が(原因)、何に(結果)、どのような影響を与えているのか。
この因果関係の構造を作ることが、研究のスタートラインです。

2. スコープ(範囲)を極限まで絞る

「日本」や「現代社会」といった大きな主語は、今すぐ捨ててください。
主語が大きいほどデータはぼやけ、分析は浅くなります。

研究の切れ味を出すために、スコープを限界まで絞り込みます。

場所を絞る:日本全体 → 〇〇県の限界集落
人を絞る:高齢者 → 独居かつ免許返納をした75歳以上の男性
場面を絞る:買い物 → 移動販売車を利用する際の購買行動

ここまで絞ると、「これなら聞き取り調査ができそうだ」というリアリティが生まれます。

教授は「世界を救うこと」を期待していません。
見ているのは、身の丈に合ったサイズで堅実なデータ分析ができるかです。

3. 「問い」は疑問形で明記する

研究計画書の冒頭(背景の最後)には、必ずリサーチ・クエスチョンを疑問文として明記してください。

本研究の目的は〇〇を明らかにすることである。
具体的には、以下の問いを設定する。
「××という条件下において、△△は□□にどのような変容をもたらすのか?」

これが書かれているだけで、読み手は「この計画書のゴールはここだ」と理解できます。

あなたの計画書に、明確な「?」はありますか。
もし見当たらなければ、それはまだ「問い」ではなく「感想」の段階です。

まとめ:針の穴を通すような具体性を

研究とは、広い海を漂うことではありません。
深海に向かって細い針を突き刺すような行為です。

「狭すぎるかな」と不安になるくらいで、ちょうどいいのです。

その狭い一点を、誰よりも深く掘り下げる。
それが専門家になるということです。

志樹舎 では、大学院入試の各種対策に特化した専門性の高いサポートを行っています。
研究計画書から志望理由書・小論文・面接・プレゼン対策まで、どこから手を付けるべきか個別にアドバイスします。

多くの受験生が「もっと早く相談すればよかった」と話されます。

「何から始めればいいか分からない」
「この研究テーマで通用するか不安」
そんな院試受験で迷いや不安がある方は、今すぐ 無料相談 にお申込みください。


※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。

この記事を監修した人

小杉樹彦(志樹舎 創業者)

小杉 樹彦(こすぎ・たつひこ)
志樹舎 創業者/博士(学術)
慶應義塾大学院修了後、2015年1月に院試専門オンライン予備校「志樹舎」を設立。 代表講師として10〜60代まで延べ5,000人以上の受験生を指導。 早慶・国公立をはじめとする難関大学院で合格率9割超の実績を持つ。 現在は大学院入試対策の専門家として、テレビ・新聞・雑誌など幅広いメディアで活動中。 ロングセラー『減点されない!勝論文』(エール出版社)ほか著書・論文多数。